ファブインフラ(Fab Infrastructure)とは、半導体製造工場(ファブ)の製造装置を安定稼働させるために必要な建物・設備・ユーティリティの総称です。超純水(UPW)、特殊ガス(SiH₄、WF₆など)、化学薬品(HF、H₂O₂など)の供給システム、クリーンルーム空調(FFU、チラー)、電力(大型ファブで100〜500MW超)、排気処理・廃液処理設備などが含まれます。
超純水(UPW:Ultra Pure Water)は半導体製造において洗浄・薬液希釈・リンスに大量に使用される最重要ユーティリティの一つです。金属イオン・有機物・微生物・溶存酸素をppbレベル以下まで除去した超純水を製造するために、逆浸透膜・イオン交換樹脂・UV酸化・膜ろ過など多段の精製工程が必要です。大型ファブでは1日数千〜数万トンのUPWを消費します。
プロセスガスは、CVD・ALD・エッチング・洗浄などの工程で多様な材料ガスが使われます。シラン(SiH₄)はCVD成膜の原料、フッ素系ガス(SF₆、NF₃、C₄F₈)はエッチングやチャンバークリーニングに使用、窒素(N₂)・アルゴン(Ar)は不活性ガス・パージに使われます。特殊高純度ガスは高圧ボンベから超純化・精密流量制御(MFC)を経て各装置に供給されます。
電力はファブの最大の運用コストの一つです。300mmファブは数百MWの電力を消費し、製造装置・クリーンルーム空調・冷却システムが主な消費源です。再生可能エネルギー(太陽光・風力)の調達や、工場廃熱の再利用がファブの脱炭素化の課題となっています。TSMCは2030年までに再エネ100%を目標に掲げています。
ファブインフラの建設・維持管理には専門企業が関与しています。ガス・化学品はEntegris・Merck・Air Liquide・大陽日酸・岩谷産業が供給し、UPW設備は栗田工業・オルガノ・Veolia Waterが構築・運営します。半導体製造規模の拡大とともに、ファブインフラ企業の市場重要性も高まっています。