最終更新 2026-10-07

ALD装置とは(原子層堆積装置)

ALD Equipment

ALD装置とは、ALD(原子層堆積)を量産ラインで実行する成膜装置です。1サイクルで約0.3〜2Åしか膜が積めないため、方式(枚葉式・空間分割式・バッチ式)の選択がスループットとコストを大きく左右します。ASM International・Lam Research・Applied Materials・東京エレクトロン・KOKUSAI ELECTRICが代表的なメーカーです。

目次9項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. 紛らわしい言葉の切り分け
  4. よくある質問
  5. 設備の製造メーカー
  6. 関連する製品
  7. 関連用語
  8. 比較・違いを学ぶ
  9. 出典・参考資料

定義・解説

ALD装置(Atomic Layer Deposition Equipment)は、原子層堆積(ALD)を量産ラインで実行するための成膜装置です。前駆体ガスと反応ガスを交互に供給し、その間をパージで隔てるサイクルを繰り返します。1サイクルで積める膜は約0.3〜2Å(0.03〜0.2nm、多くの酸化膜で約1Å)と1原子層分に満たないため、ALDの原理そのものより「いかに速く、均一に、欠陥なくサイクルを回すか」が装置の設計課題になります。ALDの原理と自己制限反応については「ALD(原子層堆積)」の用語ページで扱います。

量産向けALD装置は大きく3方式に分かれます。①枚葉式(1枚ずつ処理、またはチャンバー内に複数ステーションを持つ方式):ガスの切り替えが速く膜質と均一性を詰めやすいため、ロジックのHigh-k/メタルゲートや微細パターニングのスペーサーに使われます。②空間分割(スペーシャル)方式:ウェハを載せたサセプタを回転させ、ガスごとに仕切られたゾーンを通過させることで1回転=1サイクルとし、パージ待ちをなくしてスループットを上げます。③バッチ式(縦型炉・ミニバッチ):数十〜100枚以上を一括で熱ALDし、DRAMやNANDの厚めの絶縁膜をウェハ1枚あたり低コストで成膜します。

装置選定では、膜種と温度のほかに、サイクル時間(パルス+パージ)、1台あたりのスループット(WPH)、前駆体の消費量、パーティクル(チャンバー内の副生成物)、メンテナンス周期が比較軸になります。プラズマを使うPEALD(Plasma Enhanced ALD)は低温で成膜でき、配線工程後やレジストパターン上のスペーサー成膜に使われますが、下地へのプラズマダメージと段差被覆の両立が課題です。

主な装置と方式:ASM International(XP4 Pulsar・XP4 EmerALDの枚葉式、XP8系の多チャンバー熱ALD/PEALD)、Lam Research(Striker:枚葉式の絶縁膜ALD)、Applied Materials(Olympia:回転型の空間分割ALD)、東京エレクトロン(NT333:1チャンバー6枚のセミバッチ空間分割ALD、TELINDY PLUS IRad:バッチ式ALD)、KOKUSAI ELECTRIC(TSURUGI-C²などミニバッチ式)です。ASM Internationalは自社をALD装置の主要サプライヤーと位置づけています。

図解

ALD(原子層堆積)の1サイクル模式図。①前駆体Aのパルス供給で表面に化学吸着し飽和すると反応が止まる自己制限性→②不活性ガスのパージで余剰分子を排気→③反応ガスB(H₂O・O₂プラズマ・NH₃等)のパルスで吸着Aと反応し1原子層分以下の膜を形成→④パージしてサイクルを反復、の4ステップで膜厚をサイクル数で制御すること(1サイクル約0.3〜2Å、Al₂O₃やHfO₂では約1Å)を示す。
ALDの1サイクル ─ 前駆体パルス→パージ→反応ガス→パージの4ステップを繰り返し、自己制限反応で原子層を1枚ずつ等角に堆積

紛らわしい言葉の切り分け

ALDとCVD。違いは反応が自己停止するかどうかです。ALDは原料を交互に流し、1サイクルで1原子層分以下(約0.3〜2Å)ずつ積むため、膜厚と段差被覆の精度が非常に高くなります。CVDは原料を同時に流して連続的に成膜するため速く、厚い膜に向きます。 比較記事 →

関連するデータ・ツール

データALD装置の選び方(方式比較と選定チェックリスト)データ半導体製造装置サプライヤー相関図(工程別)計算・換算ツールALD サイクル数・成膜時間 計算ツール計算・換算ツールALD 段差被覆・露光量 計算ツール計算・換算ツールALD 方式別スループット比較ツール

よくある質問(FAQ)

半導体ALDとは何ですか?(ALD 半導体)
ALD(原子層堆積・Atomic Layer Deposition)とは、2種類の前駆体ガスをパルス状に交互に供給し、基板表面での自己制限反応を利用して薄膜を少しずつ積み上げる成膜技術です。1サイクルで堆積する膜厚(GPC)は約0.3〜2Å(0.03〜0.2nm)で1原子層分に満たないことが多く、サイクル数で膜厚・組成を精密に制御できます。
ALDとCVDの違いは何ですか?(ALD CVD 違い)
CVD(化学気相成長)は複数の前駆体ガスを同時に供給して連続的に薄膜を堆積しますが、ALDは前駆体ガスを交互にパルス供給し、各ステップで表面反応が自己制限(飽和)することで原子層単位の制御を実現します。ALDはCVDより成膜レートは遅いものの、段差被覆性(コンフォーマル性)と極薄膜の膜厚均一性が大幅に優れます。高アスペクト比構造や数nm以下の薄膜が必要な先端ノードではALDが選ばれます。
ALD装置とは何ですか?(ALD装置とは)
ALD装置(原子層堆積装置)は、前駆体ガスのパルス供給・パージ・反応ガス供給・パージの4ステップを高速で繰り返す成膜装置です。方式は枚葉式・空間分割式・バッチ式に分かれ、処理温度・前駆体の供給量・パージ時間を精密に制御します。主要装置メーカーはASM International(XP4 Pulsar・EmerALD)、Lam Research(Striker)、Applied Materials(Olympia)、東京エレクトロン(NT333・TELINDY PLUS IRad)、KOKUSAI ELECTRIC(TSURUGI-C²)などです。
ALDはFinFET・GAAでなぜ必要ですか?
FinFETやGAAナノシートでは、ゲート絶縁膜(High-k:HfO₂等)に求められる膜厚が1〜2nm程度まで薄くなっています。さらにフィン・ナノシートの三次元形状を均一に被覆する等角性が必要で、段差被覆が劣るCVDでは対応困難です。ALDの自己制限反応は三次元形状での均一成膜と原子層精度の膜厚制御を同時に実現するため、先端ロジック・メモリに不可欠な技術となっています。
ALD装置の主要メーカーはどこですか?
ALD装置(原子層堆積装置)の主要メーカーは、ASM International(XP4 Pulsar・EmerALD、XP8系)、Lam Research(Striker)、Applied Materials(Olympia)、東京エレクトロン(NT333、TELINDY PLUS IRad)、KOKUSAI ELECTRIC(TSURUGI-C²)です。ASM Internationalは自社をALD装置の主要サプライヤーと位置づけ、High-k/メタルゲート向けの枚葉式で実績があります。そのほか、Beneq(バッチALD)、Veeco(MEMSや化合物半導体向け)なども手がけています。

設備の製造メーカー

この用語に関連する製品

型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

Olympia® ALDApplied Materials・ALD装置
TELINDY PLUS™ IRad™東京エレクトロン(TEL)・ALD装置
TSURUGI-C²®Kokusai Electric(国際電気)・ALD装置
Striker®Lam Research・ALD装置
NT333™東京エレクトロン(TEL)・ALD装置

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TSMC(台湾積体電路製造)台湾HOYA日本Samsung Electronics(サムスン電子)韓国AGC(旭硝子)日本Intel米国Air Products米国

比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. ASM International「Atomic Layer Deposition (ALD)」(2026/10/07 確認)
  2. Lam Research「Striker Product Family」(2026/10/07 確認)
  3. Tokyo Electron「NT333™ Series」(2026/10/07 確認)
  4. Kokusai Electric(国際電気)「TSURUGI-C²® 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  5. Applied Materials「Olympia® ALD 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  6. 東京エレクトロン(TEL)「TELINDY PLUS™ IRad™ 製品ページ」(2026/10/07 確認)