ALD装置(Atomic Layer Deposition Equipment)は、原子層堆積(ALD)を量産ラインで実行するための成膜装置です。前駆体ガスと反応ガスを交互に供給し、その間をパージで隔てるサイクルを繰り返します。1サイクルで積める膜は約0.3〜2Å(0.03〜0.2nm、多くの酸化膜で約1Å)と1原子層分に満たないため、ALDの原理そのものより「いかに速く、均一に、欠陥なくサイクルを回すか」が装置の設計課題になります。ALDの原理と自己制限反応については「ALD(原子層堆積)」の用語ページで扱います。
量産向けALD装置は大きく3方式に分かれます。①枚葉式(1枚ずつ処理、またはチャンバー内に複数ステーションを持つ方式):ガスの切り替えが速く膜質と均一性を詰めやすいため、ロジックのHigh-k/メタルゲートや微細パターニングのスペーサーに使われます。②空間分割(スペーシャル)方式:ウェハを載せたサセプタを回転させ、ガスごとに仕切られたゾーンを通過させることで1回転=1サイクルとし、パージ待ちをなくしてスループットを上げます。③バッチ式(縦型炉・ミニバッチ):数十〜100枚以上を一括で熱ALDし、DRAMやNANDの厚めの絶縁膜をウェハ1枚あたり低コストで成膜します。
装置選定では、膜種と温度のほかに、サイクル時間(パルス+パージ)、1台あたりのスループット(WPH)、前駆体の消費量、パーティクル(チャンバー内の副生成物)、メンテナンス周期が比較軸になります。プラズマを使うPEALD(Plasma Enhanced ALD)は低温で成膜でき、配線工程後やレジストパターン上のスペーサー成膜に使われますが、下地へのプラズマダメージと段差被覆の両立が課題です。
主な装置と方式:ASM International(XP4 Pulsar・XP4 EmerALDの枚葉式、XP8系の多チャンバー熱ALD/PEALD)、Lam Research(Striker:枚葉式の絶縁膜ALD)、Applied Materials(Olympia:回転型の空間分割ALD)、東京エレクトロン(NT333:1チャンバー6枚のセミバッチ空間分割ALD、TELINDY PLUS IRad:バッチ式ALD)、KOKUSAI ELECTRIC(TSURUGI-C²などミニバッチ式)です。ASM Internationalは自社をALD装置の主要サプライヤーと位置づけています。