ALD装置(Atomic Layer Deposition Equipment)は、原子層堆積(ALD)プロセスを実行するための成膜装置です。前駆体ガスと反応剤を交互にチャンバーに供給し、それぞれの間にパージを行うサイクルを繰り返すことで、原子層1層ずつ(0.05〜0.2nm/サイクル)精密に薄膜を形成します。膜厚の原子レベル制御と高アスペクト比構造への完全被覆性(コンフォーマル性)が最大の特徴です。
ALD装置の主要な方式はバッチ式(縦型炉型:複数ウェハを一括処理、スループット重視)と枚葉式(シングルウェハ:均一性・清浄度優先、先端ロジック向け)です。さらに、プラズマを用いてプロセス温度を大幅に下げるPE-ALD(Plasma Enhanced ALD)は、室温〜200℃での低温成膜を可能にし、熱耐性の低い材料が形成された後の工程に適用できます。
主な適用材料と用途:High-k誘電体(HfO₂、ZrO₂)はゲート絶縁膜・DRAMキャパシタ絶縁膜に、TiN・TaN・WNはバリアメタル・ゲート電極に、Al₂O₃は電荷蓄積層・封止膜に、Ruはバリアレス銅配線のシード層候補として研究されています。3D NAND製造ではSiO₂/SiN積層のうちALD成膜が普及し、200層超の積層に対応します。
先端ロジック(3nm以下)のGAA(Gate-All-Around)製造ではALDが核心技術です。Si/SiGe積層からSiGe選択除去で宙吊りになったSiナノシートの全周を、HfO₂(ゲート絶縁膜)とTiN/TiAlC(ゲートメタル)のALD成膜で均一に包み込みます。このInner Spacer形成もALD-SiCNが使われます。
主要ALD装置メーカーはASM International(世界最大シェア、Polygon・Pulsar・Eagle系)が際立つ競争優位を持ち、Lam Research(ALTUS・VECTOR ALD)、Applied Materials(Centura ALD・Producer Nanocure系)、東京エレクトロン(Telindy ALD系)が続きます。ALD装置は先端ノードへの移行とともに最も高成長している装置カテゴリの一つです。