比較成膜最終更新 2026-10-07

CVDとPVDの違い(成膜プロセス比較)

CVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)は気相の化学反応で薄膜を堆積し、PVD(Physical Vapor Deposition:物理気相成長)はスパッタリング・蒸着など物理的な手法でターゲット材をウェハに付着させます。CVDは段差被覆性(コンフォーマル性)に優れ絶縁膜・バリア膜に多用され、PVDは膜の純度と低温成膜の制御性から金属配線・バリアメタルに適しています。現代の半導体製造ではCVD・PVD・ALDを工程ごとに使い分けることが不可欠です。

結論

CVDとPVDの最大の違いは「成膜の原理」です。CVDは原料ガスを熱やプラズマで反応させる化学気相成長で、高アスペクト比構造でも均一に覆える段差被覆性に優れ、絶縁膜・バリア膜に多用されます。PVDはスパッタリングや蒸着でターゲット材を物理的に飛ばす方式で、段差の側壁が薄くなりやすい反面、室温〜300°Cの低温で高純度の金属膜を成膜でき、金属配線・バリアメタルに適します。

主な違い

CVD(化学気相成長)とPVD(物理気相成長)の観点別比較
観点CVD(化学気相成長)PVD(物理気相成長)
成膜の原理気相の化学反応(熱・プラズマ等で原料ガスを分解・反応させ基板上に堆積)物理的蒸着(スパッタリングや蒸着でターゲット粒子を飛ばし基板に付着)
代表プロセスPECVD(プラズマCVD)・LPCVD(熱CVD)・ALD・SACVD・HDPCVDDCスパッタ・RFスパッタ・マグネトロンスパッタ・電子ビーム蒸着・イオンプレーティング
段差被覆性(コンフォーマル性)優れる(PECVD・ALD等は高アスペクト比構造でも均一被覆)Line-of-sightが支配的で段差部の側壁・底部が薄くなりやすい
成膜温度膜種により200〜900°C(PECVDは低温、LPCVDは高温)比較的低温(室温〜300°C程度)でも成膜可能
膜の純度・組成副生成物(H・Cl等)が膜中に混入する場合がある。組成は原料ガスで制御ターゲット組成に近い高純度膜が得やすい。合金ターゲットも利用可
主な膜種・用途SiO₂(STI・ILD)・Si₃N₄・poly-Si・W-plug・High-k絶縁膜(HfO₂等)Al・Cu seed・Ti・TiN・Ta・TaN(バリアメタル)・磁性膜(MRAM)
代表装置メーカーApplied Materials(Centura)・Lam Research・TEL(Trias)・ASM InternationalApplied Materials(Endura)・ULVAC・Canon Anelva・芝浦メカトロニクス
装置価格帯(目安)数億〜数十億円(PECVD:5〜20億円、ALD系:10〜30億円以上)数億〜20億円程度(スパッタ機の機種・チャンバー数による)
真空度要件低〜中真空(PECVD:0.1〜10 Torr程度)高真空(10⁻⁶ Torr以下)が必要

CVDの主な種類とその特徴

CVDにはエネルギー源と圧力条件によって複数の方式があります。PECVD(プラズマ強化CVD)はRFプラズマで低温(200〜450°C)成膜を可能にし、金属配線後のILD(層間絶縁膜)やパッシベーション膜に多用されます。LPCVD(低圧CVD)は高温(550〜900°C)で高品質膜を形成し、poly-Si・Si₃N₄・TEOS酸化膜に使われます。ALD(原子層堆積)はCVDの一種で、前駆体を交互供給することで1原子層ずつ制御成膜できる最高精度プロセスです。

PVDの主な種類とその特徴

PVDの主流はスパッタリングで、ターゲット材料にArイオンを衝突させて原子を弾き飛ばし、ウェハに堆積させます。マグネトロンスパッタは磁場でプラズマを閉じ込め高効率成膜を実現します。IMP(イオン化金属プラズマ)スパッタはArイオンで成膜粒子を再イオン化し、高アスペクト比の穴底へのステップカバレッジを改善します。銅配線プロセスではバリアメタル(TaN/Ta)とCuシードの成膜にPVDが使われます。

CVDとPVDの選び方の考え方

膜の機能と工程条件でプロセスを選択します。絶縁膜(SiO₂・Si₃N₄)や極薄ゲート絶縁膜(High-k)はCVD/ALD、バリアメタル(TiN・TaN・Ta)や金属シード層はPVD(スパッタ)が基本です。高アスペクト比のビア・トレンチ埋め込みはALD、メタル配線はCVD(W-plug)またはCVD+電気めっき(Cu)、磁気・光学薄膜はスパッタPVDという組合せが典型です。

よくある質問

CVDとPVDの最大の違いは何ですか?
最大の違いは成膜のメカニズムです。CVDは気相での化学反応を利用して薄膜を形成し、段差被覆性(コンフォーマル性)に優れます。PVDはスパッタリングや蒸着などの物理的な手法でターゲット材を基板に付着させ、膜の純度が高く低温成膜がしやすい特長があります。用途は膜種によって使い分けられ、絶縁膜にはCVD、バリアメタルや金属配線にはPVDが多く使われます。
スパッタリングはCVDとPVDどちらですか?
スパッタリングはPVD(物理気相成長)の一種です。固体のターゲット材料にArイオンを衝突させ、弾き飛ばされたターゲット原子をウェハ上に堆積させます。DCスパッタ・RFスパッタ・マグネトロンスパッタなどの方式があり、金属膜(Al・Cu seed・Ti・TaN等)の成膜に広く使われます。
PECVDとはどのような成膜方法ですか?(PECVD とは)
PECVD(Plasma Enhanced CVD:プラズマ強化化学気相成長)は、RFまたはマイクロ波プラズマで反応ガスを低温で活性化させ化学反応を促進するCVDの一方式です。プラズマ活性化により、通常のCVD(熱CVDのみ)では必要な600〜900°Cを200〜450°Cに下げることができます。そのため金属配線工程(Back-end-of-line)後の低温絶縁膜(ILD・パッシベーション)形成に欠かせない技術です。
半導体製造でCVDとPVDはどの工程で使われますか?
前工程(FEOL:素子形成)では、ゲート絶縁膜(High-k CVD/ALD)・poly-Si(LPCVD)・STI埋め込み酸化膜(HDPCVD)にCVDが使われます。後工程の配線形成(BEOL)では、バリアメタル(TaN/TaをPVDスパッタ)・Cuシード(PVDスパッタ)・層間絶縁膜(SiO₂をPECVD)・W-plug(WF₆ CVD)という組合せが一般的です。
CVDとPVDはどちらが段差被覆性に優れていますか?
一般にCVDのほうが段差被覆性(コンフォーマル性)に優れています。特にALD(原子層堆積、CVDの一種)はアスペクト比50:1以上の構造でも均一な膜厚を実現します。PVDはLine-of-sightで粒子が飛来するため、深い溝や穴の側壁・底部が薄くなりやすいのが弱点です。ただしIMP(イオン化金属プラズマ)スパッタなどの改良型PVDは指向性を高め段差部カバレッジを改善しています。
CVDとPVDの装置メーカーは同じですか?
Applied Materials(アプライドマテリアルズ)はCVD(Centura PECVD等)とPVD(Enduraスパッタ)の両方で世界トップシェアを持ちます。Lam ResearchもCVD・ALDで主力メーカーです。PVD(スパッタ)では日本のULVAC・Canon Anelva・芝浦メカトロニクスも強みを持ちます。CVD系ではTEL(東京エレクトロン)・ASM Internationalが有力です。

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出典・参考資料

  1. Lam Research「Deposition」(2026/10/07 確認)
  2. 東京エレクトロン nanotec museum「半導体用語集:CVD」(2026/10/07 確認)
  3. 東京エレクトロン nanotec museum「半導体用語集:スパッタリング」(2026/10/07 確認)