比較露光最終更新 2026-10-07

EUV露光装置とDUV露光装置の違い

いずれもフォトレジスト上に回路パターンを転写する露光装置ですが、光源の波長と装置構成が根本的に異なります。EUVは13.5nmの極紫外線で単一露光による微細化が可能ですが真空・反射光学が必須です。DUVは193nm(ArF)や248nm(KrF)などで成熟度とコストバランスに優れ、液浸露光やマルチパターニングと組み合わせて広いノード帯をカバーします。

結論

EUV露光とDUV露光の最大の違いは「光源の波長」です。EUVは13.5nmの極紫外線を使い、単一露光で微細パターンを形成できますが、真空環境と反射型光学系が必須で装置は1台200億円超と高価です。DUVは193nm(ArF)・248nm(KrF)で、液浸露光やマルチパターニングと組み合わせて広いノード帯をカバーし、コストとスループットで優位に立ちます。7nm以下の最先端ロジックではEUVが中核です。

主な違い

EUV露光とDUV露光の観点別比較
観点EUV露光DUV露光
代表波長13.5nm(極紫外)193nm(ArF)/248nm(KrF)/365nm(i線)など
開口数(NA)0.33(現行機)/0.55(High-NA)ArF液浸1.35/ArFドライ約0.93/KrF約0.93
解像限界の目安(ハーフピッチ)約12nm(NA0.33)/約7nm(NA0.55)ArF液浸 約43nm/KrF 約80nm(単一露光)
光学系真空環境・反射型光学(レンズ不可)屈折レンズ中心、液浸露光(ArF)で解像度向上可
微細化の考え方単一露光で微細パターン形成しやすい多重露光・マルチパターニングと組み合わせて対応する場合が多い
装置・運用コスト極めて高価、メンテナンスも高度EUVより相対的に導入しやすい帯が広い
主な適用イメージ7nm以下〜最先端ノードの中核成熟〜中先端ノード、またはEUV補完・一部層

解像度の差はどこから来るか(レイリーの式で試算)

露光で形成できる最小のハーフピッチRは、レイリーの式 R = k₁ × λ / NA で見積もれます(λ:波長、NA:投影レンズの開口数、k₁:プロセス係数)。k₁を0.3としてそろえると、ArF液浸(λ=193nm、NA=1.35)は約43nm、EUV(λ=13.5nm、NA=0.33)は約12nm、High-NA EUV(NA=0.55)は約7nmになります。ArF液浸はNAを1.35まで上げても波長が14倍以上長いため、40nmより細かい配線ピッチはSADP・SAQPなどのマルチパターニングで作るしかありません。表の解像限界はこの試算値で、実際の値はk₁を下げる照明・マスク技術(OPC等)によって変わります。

コストの考え方:装置価格ではなく「層あたりの工程数」で比べる

EUV装置は1台200億円を超え、DUV液浸機より大幅に高価です。ただし比較すべきは装置単価ではなく、1つの層を作るのに必要な工程の総数です。DUVで40nm以下のピッチを作るSAQPでは、露光1回に対してスペーサー成膜・エッチング・洗浄・計測が何度も加わり、工程数と欠陥リスク、サイクルタイムが増えます。EUVで単一露光に置き換えられれば、これらの工程をまとめて省けます。このため最先端ノードでは、最も細い配線層とビア層をEUV、それ以外をDUVで作る使い分けが一般的です。

まとめ(どちらを選ぶか)

最先端ロジックの微細化ではEUVが前提となる領域が広がっています。一方で、DUVは多様なノードで依然として大量に使われ、コストとスループットのバランスが重要な場面で選ばれます。自社のプロセスノードと露光回数・オーバーレイ要求を踏まえ、装置投資と工程設計を一体で検討することが重要です。

よくある質問

DUVだけで最先端は製造できますか?
液浸・マルチパターニング等で一定まで対応した事例はありますが、現在の最先端ロジックではEUVが主役となるケースが一般的です。ノードとチップ設計によります。
EUV露光装置を作っているのはどこですか?
量産用のEUV露光装置を供給しているのはオランダのASMLだけです。投影光学系(多層膜ミラー)はドイツのZEISSが製造しています。DUV露光装置はASMLのほか、ニコンとキヤノンも供給しています。
EUVはなぜ真空と反射ミラーが必要なのですか?
波長13.5nmの極紫外線は空気やガラスに強く吸収されるため、光路全体を真空にし、レンズの代わりに多層膜ミラーで光を反射させて集光・投影します。DUVの193nm光は石英レンズを透過できるので、屈折光学系を使えます。

あわせて読む


出典・参考資料

  1. ASML「EUV lithography systems」(2026/10/07 確認)
  2. ASML「DUV lithography systems」(2026/10/07 確認)
  3. ASML「The Rayleigh criterion for resolution」(2026/10/07 確認)
  4. ZEISS SMT「EUV lithography and technology」(2026/10/07 確認)
  5. ZEISS SMT「DUV lithography for chip manufacturing」(2026/10/07 確認)
  6. ASML「Light & lasers - Lithography principles」(2026/10/07 確認)