EUV露光装置とDUV露光装置の違い
いずれもフォトレジスト上に回路パターンを転写する露光装置ですが、光源の波長と装置構成が根本的に異なります。EUVは13.5nmの極紫外線で単一露光による微細化が可能ですが真空・反射光学が必須です。DUVは193nm(ArF)や248nm(KrF)などで成熟度とコストバランスに優れ、液浸露光やマルチパターニングと組み合わせて広いノード帯をカバーします。
結論
EUV露光とDUV露光の最大の違いは「光源の波長」です。EUVは13.5nmの極紫外線を使い、単一露光で微細パターンを形成できますが、真空環境と反射型光学系が必須で装置は1台200億円超と高価です。DUVは193nm(ArF)・248nm(KrF)で、液浸露光やマルチパターニングと組み合わせて広いノード帯をカバーし、コストとスループットで優位に立ちます。7nm以下の最先端ロジックではEUVが中核です。
主な違い
| 観点 | EUV露光 | DUV露光 |
|---|---|---|
| 代表波長 | 13.5nm(極紫外) | 193nm(ArF)/248nm(KrF)/365nm(i線)など |
| 開口数(NA) | 0.33(現行機)/0.55(High-NA) | ArF液浸1.35/ArFドライ約0.93/KrF約0.93 |
| 解像限界の目安(ハーフピッチ) | 約12nm(NA0.33)/約7nm(NA0.55) | ArF液浸 約43nm/KrF 約80nm(単一露光) |
| 光学系 | 真空環境・反射型光学(レンズ不可) | 屈折レンズ中心、液浸露光(ArF)で解像度向上可 |
| 微細化の考え方 | 単一露光で微細パターン形成しやすい | 多重露光・マルチパターニングと組み合わせて対応する場合が多い |
| 装置・運用コスト | 極めて高価、メンテナンスも高度 | EUVより相対的に導入しやすい帯が広い |
| 主な適用イメージ | 7nm以下〜最先端ノードの中核 | 成熟〜中先端ノード、またはEUV補完・一部層 |
解像度の差はどこから来るか(レイリーの式で試算)
露光で形成できる最小のハーフピッチRは、レイリーの式 R = k₁ × λ / NA で見積もれます(λ:波長、NA:投影レンズの開口数、k₁:プロセス係数)。k₁を0.3としてそろえると、ArF液浸(λ=193nm、NA=1.35)は約43nm、EUV(λ=13.5nm、NA=0.33)は約12nm、High-NA EUV(NA=0.55)は約7nmになります。ArF液浸はNAを1.35まで上げても波長が14倍以上長いため、40nmより細かい配線ピッチはSADP・SAQPなどのマルチパターニングで作るしかありません。表の解像限界はこの試算値で、実際の値はk₁を下げる照明・マスク技術(OPC等)によって変わります。
コストの考え方:装置価格ではなく「層あたりの工程数」で比べる
EUV装置は1台200億円を超え、DUV液浸機より大幅に高価です。ただし比較すべきは装置単価ではなく、1つの層を作るのに必要な工程の総数です。DUVで40nm以下のピッチを作るSAQPでは、露光1回に対してスペーサー成膜・エッチング・洗浄・計測が何度も加わり、工程数と欠陥リスク、サイクルタイムが増えます。EUVで単一露光に置き換えられれば、これらの工程をまとめて省けます。このため最先端ノードでは、最も細い配線層とビア層をEUV、それ以外をDUVで作る使い分けが一般的です。
まとめ(どちらを選ぶか)
最先端ロジックの微細化ではEUVが前提となる領域が広がっています。一方で、DUVは多様なノードで依然として大量に使われ、コストとスループットのバランスが重要な場面で選ばれます。自社のプロセスノードと露光回数・オーバーレイ要求を踏まえ、装置投資と工程設計を一体で検討することが重要です。
よくある質問
DUVだけで最先端は製造できますか?
EUV露光装置を作っているのはどこですか?
EUVはなぜ真空と反射ミラーが必要なのですか?
あわせて読む
出典・参考資料
- ASML「EUV lithography systems」(2026/10/07 確認)
- ASML「DUV lithography systems」(2026/10/07 確認)
- ASML「The Rayleigh criterion for resolution」(2026/10/07 確認)
- ZEISS SMT「EUV lithography and technology」(2026/10/07 確認)
- ZEISS SMT「DUV lithography for chip manufacturing」(2026/10/07 確認)
- ASML「Light & lasers - Lithography principles」(2026/10/07 確認)