一言で言うと「EUVとは、光の波長を極限まで短くして、より細かい回路を描ける露光装置」です。波長13.5nmはArF液浸(193nm)の約1/14で、7nm以下の先端ノードで不可欠な技術です。DUVとの比較やHigh-NA EUVへの展開は下記の関連リンクもご覧ください。
EUV(極紫外線)露光装置とは、波長13.5nmの極端紫外線を光源として用いる最先端の半導体露光装置です。EUVはExtremeUltraviolet(極端紫外線)の略で、従来のDUV(ArF液浸、193nm)に対し約1/14の極めて短い波長を持ちます。この短波長により、7nm以下の先端プロセスノードにおけるパターン形成が単一露光で可能となり、現代の最先端チップ製造に不可欠な技術となっています。
EUV露光装置の最大の特徴は、短い波長により単一露光で微細なパターンを形成できる点です。従来のArF液浸では7nm以下の解像度を得るために複数回露光を重ねる「マルチパターニング」が必要でしたが、EUVは1回の露光でこれを置き換えられます。これにより製造工程を大幅に簡素化でき、ウェハあたりのコスト削減と歩留まり向上が期待できます。一方でEUV光は大気・ガラスレンズに吸収されるため、装置内部を高真空(10⁻⁶Pa以下)に保ち、光学素子はすべて多層膜コーティングを施した反射ミラーで構成する必要があります。この構造の複雑さが装置コストを極めて高くしている根本的な理由です。
EUV光源の仕組みは独特です。スズ(Sn)の微小液滴に高出力CO₂レーザーを照射してプラズマを発生させ、13.5nmの光を生成する「レーザー生成プラズマ(LPP)方式」を採用しています。発生した光を楕円形コレクターミラーで集光し、多層膜ミラーからなる照明光学系・投影光学系を経てウェハへ投影します。ArFエキシマレーザーを用いるDUVとは光源の原理が根本的に異なります。
反射光学系に用いる多層膜ミラーは、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)を交互に数十層積層したもので、13.5nmの光に対し最大約70%の反射率を持ちます。この反射率を維持するために、ミラーの製造精度・表面粗さ・汚染管理が極めて重要となります。投影光学系には通常6枚のミラーが使われ、マスクパターンを1/4に縮小してウェハ上に転写します。
現在、EUV露光装置の量産サプライヤーは世界でASMLのみです。1台あたりの価格はNA0.33の標準機で約200〜350億円、次世代High-NA EUV(NA0.55)では500億円超とされています。High-NA EUVは解像度がさらに向上し、2nm・1.4nm世代の超微細パターン形成に対応します。ASMLのEXE:5000シリーズとして開発が進み、Intel・TSMC・Samsungが導入を進めています。
日本との関連では、2nm世代の先端半導体量産を目指すRapidus(ラピダス)が北海道千歳市のファブにEUV装置を導入する計画を進めています。また日本の素材・部品メーカーはEUV用フォトレジスト・マスクブランクス・ペリクルなどEUVエコシステムの重要部材を供給しており、EUVのサプライチェーンにおける日本の存在感は非常に大きいです。
EUVを取り巻く主な技術課題として、①フォトレジストの感度・解像度・ラインエッジラフネス(LER)のトレードオフ、②ペリクルの高透過率と耐熱・耐久性の両立、③光源のEUV変換効率と装置稼働率(UPH)の向上、④マスクのインスペクションとクリーニング技術の高度化、が挙げられます。これらの解決が先端ノードでのEUV活用コストと歩留まりを左右します。