最終更新 2026-10-19

ALDとは

Atomic Layer Deposition

ALD(原子層堆積)とは、自己制限的な表面反応を利用して薄膜を少しずつ積み上げる成膜技術です。前駆体が表面を覆い尽くすと反応が自動的に止まる(自己飽和)ため、1サイクルの成長量は約0.3〜2Å(1原子層分以下)に固定され、サイクル数でÅ単位の膜厚制御と深孔の均一被覆を両立できます。1970年代にTuomo Suntolaらが開発しました。

目次9項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. 紛らわしい言葉の切り分け
  4. よくある質問
  5. 設備の製造メーカー
  6. 関連する製品
  7. 関連用語
  8. 比較・違いを学ぶ
  9. 出典・参考資料

定義・解説

一言で言うと「ALD(原子層堆積)とは、反応ガスを交互に少しずつ流すことで、原子1層ずつ均一に薄膜を積み上げる成膜技術」です。CVDと違い自己制限反応のため膜厚が原子レベルで制御でき、複雑な凹凸形状にも均一に成膜できます。FinFET/GAAのゲート絶縁膜(HfO₂等)に必須の技術です。

ALD(Atomic Layer Deposition/原子層堆積)は、自己制限的な表面反応を利用して薄膜を少しずつ積み上げる成膜技術です。CVD(化学気相成長)の一種に位置づけられ、フィンランドのTuomo Suntolaらが1970年代に原子層エピタキシー(ALE)として開発したのが始まりです。半導体の微細化と3D化が進んだ現在、最も精密な成膜技術の一つです。

ALDの基本サイクルは、1)前駆体Aの供給(表面への化学吸着が飽和すると反応が止まる)→ 2)パージ(余剰前駆体の除去)→ 3)反応ガスBの供給(吸着層と反応)→ 4)パージ(副生成物の除去)の4ステップです。1サイクルで成長する膜厚(GPC:Growth Per Cycle)は約0.3〜2Å(0.03〜0.2nm)で、前駆体分子の立体障害などにより1原子層分に満たないことが一般的です。例えばAl₂O₃(TMA/H₂O)やHfO₂では約1Åです。膜厚はサイクル数で決まるため、数Å単位で制御できます。

最大の特長はコンフォーマル性(段差被覆性)の高さです。前駆体が表面全体で飽和するまで吸着するため、高アスペクト比のホールやトレンチの側壁・底面もほぼ同じ膜厚で覆えます。これはCVD・PVDでは難しい特性で、3D NAND・FinFET・GAAナノシートなどの立体構造の製造に欠かせません。

主な用途:High-k誘電体(HfO₂、ZrO₂)はロジックのゲート絶縁膜やDRAMキャパシタの誘電膜、TiN・TaNはバリアメタルやゲート電極、Al₂O₃は3D NANDのブロッキング膜やパッシベーション膜、SiO₂・SiNはマルチパターニングのスペーサーやライナーに使われます。

熱ALD(Thermal ALD)のプロセス温度は材料によりおおむね150〜400℃です。プラズマで反応ガスを活性化するPEALD(Plasma Enhanced ALD)は、さらに低温(室温〜200℃程度)でも成膜でき、温度に弱い材料の上やバックエンド工程にも使えます。装置の方式(枚葉式・空間分割・バッチ式)と主要メーカーは「ALD装置」の用語ページで扱います。

図解

ALDの1サイクル(前駆体の吸着・パージ・反応ガス・パージ)と自己飽和の仕組み
AとBを同時に流すCVDと違い、ALDは交互に流して表面だけで反応させる。

紛らわしい言葉の切り分け

ALDとCVD。CVDは原料ガスを同時に流して連続的に反応させます。ALDは原料を交互に流し、1サイクルで約0.3〜2Å(1原子層分以下)だけ成長させます。膜厚をサイクル数で数えて決められるのがALDの特徴です。 比較記事 →

ALDとPVD。PVDは材料が直進して付くため、深い穴の底や側面には付きにくくなります。ALDは表面反応で成長するため、高アスペクト比の構造でも均一な膜を付けられます。 比較記事 →

ALDとALE。ALE(原子層エッチング)は、ALDと同じく自己停止する表面反応を使い、1原子層ずつ削る技術です。ALDが「積む」、ALEが「削る」側にあたります。 比較記事 →

関連するデータ・ツール

データALD装置の選び方(方式比較と選定チェックリスト)図解半導体前工程の断面図解(MOSFETができるまで)計算・換算ツール圧力・真空度の単位換算ツール(Torr・Pa・mbar)計算・換算ツールEOT・MOSキャパシタ(C–V特性)計算ツール計算・換算ツールALD サイクル数・成膜時間 計算ツール計算・換算ツールALD 段差被覆・露光量 計算ツール計算・換算ツールALD 方式別スループット比較ツール

この用語を扱う職種

前工程(ウェハプロセス)成膜エンジニア(CVD・ALD工程)

よくある質問(FAQ)

ALDとは何ですか?
前駆体ガスを交互に供給し原子層1層ずつ成膜する技術です。自己制限反応で膜厚を原子レベルで制御でき、極薄・均一な膜を作れます。
ALDとCVDの違いは?
CVDは連続的に成膜、ALDは1層ずつ自己制限的に成膜します。ALDは高アスペクト比でも均一に被覆でき、超薄膜に向きます。
ALDはどこで使われますか?
FinFET/GAAのHigh-kゲート絶縁膜、3D NAND、配線バリアメタルなど、極薄で均一な膜が必要な先端プロセスに不可欠です。

設備の製造メーカー

この用語に関連する製品

型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

TELINDY PLUS東京エレクトロン(TEL)・拡散炉
SONORAASMインターナショナル・拡散炉
Olympia® ALDApplied Materials・ALD装置
TSURUGI-C²®Kokusai Electric(国際電気)・ALD装置
Striker®Lam Research・ALD装置
NOWPakEntegris・ALD/CVD前駆体材料
TELINDY PLUS™ IRad™東京エレクトロン(TEL)・ALD装置
XP4 EmerALD®ASMインターナショナル・ALD装置
Centris™ Spectral™ Mo ALDApplied Materials・ALD装置
Advanced TSURUGI Plus-Ⅲ 剱Kokusai Electric(国際電気)・ALD装置
ALTUS®Lam Research・CVD装置
NT333™東京エレクトロン(TEL)・ALD装置

ほか 11 製品は製品一覧から探せます。

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ジュソンエンジニアリング(Jusung Engineering)韓国カート・J・レスカー(Kurt J. Lesker)米国オックスフォード・インストゥルメンツ英国CVDエクイップメント(CVD Equipment Corporation)米国

比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. ASM International「Atomic Layer Deposition (ALD)」(2026/10/07 確認)
  2. Lam Research「Deposition」(2026/10/07 確認)
  3. 東京エレクトロン(TEL)「TELINDY PLUS 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  4. ASMインターナショナル「SONORA 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  5. Applied Materials「Olympia® ALD 製品ページ」(2026/10/07 確認)