一言で言うと「ALD(原子層堆積)とは、反応ガスを交互に少しずつ流すことで、原子1層ずつ均一に薄膜を積み上げる成膜技術」です。CVDと違い自己制限反応のため膜厚が原子レベルで制御でき、複雑な凹凸形状にも均一に成膜できます。FinFET/GAAのゲート絶縁膜(HfO₂等)に必須の技術です。
ALD(Atomic Layer Deposition/原子層堆積)は、自己制限的な表面反応を利用して、原子層1層分ずつ精密に薄膜を積層する成膜技術です。CVD(化学気相成長)の発展形に位置づけられ、スウェーデンのTuomo Suntolaが1974年に発明しました。半導体の微細化が極限まで進んだ現代において、最も精密な成膜技術の一つです。
ALDの基本サイクルは、1)前駆体Aの供給(表面への吸着)→ 2)パージ(余剰前駆体の除去)→ 3)前駆体B(反応剤)の供給(表面反応)→ 4)パージ(副生成物の除去)という4ステップで構成されます。各サイクルで1原子層分(約0.05〜0.2nm)の膜が形成されるため、サイクル数で膜厚を原子レベルで制御できます。
最大の特長はコンフォーマル性(conformal coverage)の高さです。深さ50nm、幅5nmのような超高アスペクト比のホール・トレンチ内部でも、側壁・底面を均一に被覆できます。これはCVD・PVDでは困難な特性であり、3D NAND・FinFET・GAAナノシートなどの立体デバイス製造において不可欠な技術です。
主な適用材料と用途:High-k誘電体(HfO₂、ZrO₂)はゲート絶縁膜として3nm以降のロジックに必須、Al₂O₃・TiO₂は3D NANDの電荷蓄積層、窒化チタン(TiN)・窒化タンタル(TaN)はバリアメタル・ゲート電極、酸化アルミニウムはDRAMのキャパシタ絶縁膜などに使われます。
熱ALD(Thermal ALD)は300℃以上のプロセス温度が必要ですが、プラズマを用いたPE-ALD(Plasma Enhanced ALD)は低温(室温〜200℃)での成膜を可能にし、温度感受性の高い材料やバックエンド工程への展開を広げています。装置メーカーはASM International(世界最大シェア)、Lam Research、Applied Materialsなどが主要サプライヤーです。