LPCVD(低圧化学気相成長)は、10〜100Pa程度の減圧環境下で化学反応を起こし、ウェハ表面に高品質な薄膜を堆積させるCVD技術です。Atmospheric CVDと比べてガスの拡散性が格段に高まるため、1バッチに50〜150枚のウェハを縦積みで一括処理しても、ウェハ間・ウェハ面内ともに均一な膜厚を実現できるのが最大の特長です。
低圧化によってガス分子の平均自由行程が伸びるため、複雑な立体形状のトレンチやビア内部でも高い段差被覆性(ステップカバレッジ)を確保できます。一般的なプロセス温度は600〜900℃と比較的高温ですが、その分だけ膜の緻密さ・純度・機械的強度が高く、絶縁膜やハードマスクとして長期的な信頼性が求められる用途に最適です。
主な堆積材料は、ポリシリコン(ゲート電極・抵抗)、シリコン窒化膜(SiN、エッチングストッパー・スペーサー)、シリコン酸化膜(SiO₂、フィールド酸化膜)、タングステンシリサイド(WSi₂、コンタクト抵抗低減)などです。これらの材料はロジック・メモリ・パワー半導体の製造において広く用いられています。
装置形態は縦型炉(バーティカルファーネス)が主流で、東京エレクトロン(TEL)、ASM International、国際電気(Kokusai Electric)などが主要サプライヤーです。一括処理による低コストと高膜質が両立できるため、先端ロジックだけでなくコスト重視のレガシーノードでも根強く使用されています。
一方、高温プロセスであるためアルミニウム配線が既に形成されたバックエンド工程には使いにくく、そのような用途ではPECVD(プラズマ励起CVD)が用いられます。デバイスの微細化が進んでも、ポリシリコンゲートや窒化膜スペーサーの形成においてLPCVDの役割は引き続き重要です。