一言で言うと「半導体ウェハ(シリコンウェハ)とは、チップを製造するための土台となる円盤状の薄い基板」です。高純度シリコンのインゴットを薄くスライスして作られ、1枚のウェハから数百〜数千個のチップが同時に製造されます。信越化学工業・SUMCOなど日本企業が世界市場を主導しています。シリコンウェハの基礎は「半導体基礎:半導体とは」も参考にどうぞ。
シリコンウェハとは(基本定義)
シリコンウェハは、半導体デバイスを製造するための基板(サブストレート)として使われる、単結晶シリコンを薄く切り出して研磨した円形の板です。集積回路(IC)・ロジックチップ・メモリ・パワーデバイスなどの製造において、すべてのプロセスはシリコンウェハ上で行われます。ウェハの品質はデバイスの歩留まりと性能に直結する最も基礎的な材料です。
シリコンウェハの製造工程(チョクラルスキー法→スライス→鏡面研磨)
ウェハの製造工程は主に2段階です。まず、チョクラルスキー法(CZ法)により石英るつぼ内でシリコン融液から高純度の単結晶インゴット(棒状の結晶)を引き上げます。次に、インゴットをワイヤーソーでスライス(薄切り)し、ラッピング・エッチング・両面研磨・エピタキシャル成長など多くの仕上げ工程を経て鏡面仕上げのウェハが完成します。
ウェハのサイズ(300mm・200mm・150mm)と用途
ウェハ径は大きいほど1枚当たりのチップ取得数が増え、製造コストを低減できます。現在の主流は300mmウェハ(直径12インチ)で、先端ロジック・DRAM・NAND Flashなどの大量生産に使われます。450mmウェハへの移行は業界で長年議論されていますが、設備投資の規模と標準化の課題から実用化は見通せていません。レガシーノード・MEMS・パワー半導体では150mm(6インチ)・200mm(8インチ)が今も主流です。
ウェハの仕様・種類(エピタキシャル・SOI・FZ法)
ウェハの主要仕様は、直径(150/200/300mm)、厚さ(300mmで775μm程度)、結晶方位(<100>または<111>)、導電型(N型/P型)、抵抗率(ドーパント濃度)、酸素濃度(CZ法で混入)などです。さらに、デバイスの特性に合わせたエピタキシャルウェハ(表面に薄い単結晶層を気相成長させたもの)、SOI(Silicon On Insulator)ウェハ、FZ法(フローティングゾーン法)ウェハなど多様な種類があります。
主要メーカーのシェア
主要メーカーは信越化学工業(世界シェア約30%)、SUMCO(約26%)、Siltronic(独)、SK Siltron(韓)の4社で世界市場の約90%以上を占めます。ウェハ市場は半導体サイクルに連動して変動しますが、先端ノードへの移行とともに高品質ウェハへの需要は長期的に増加傾向にあります。
ウェハサイズ(直径)別の用途と特徴
| 直径 | 別名 | 主な用途 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 300mm | 12インチ | 先端ロジック(3nm〜7nm)・DRAM・3D NAND | 現在の主流。1枚あたりのチップ数が最多 |
| 200mm | 8インチ | アナログ・パワー半導体・センサー・成熟ロジック | コスト効率が高く今も現役。需要が再拡大 |
| 150mm | 6インチ | SiC・GaN・化合物半導体・レガシーノード | パワー・高周波デバイス向け |
| 100mm以下 | 4インチ以下 | 研究開発・MEMS試作 | 量産用途は限定的 |
シリコンウェハ主要メーカーの世界シェア(300mm)
| メーカー | 国 | 世界シェア(目安) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 信越化学工業 | 🇯🇵 日本 | 約30% | 世界首位。先端ロジック向け高品質品でトップシェア |
| SUMCO | 🇯🇵 日本 | 約26% | 世界2位。300mm専業比率が高い |
| Siltronic | 🇩🇪 ドイツ | 約13% | GlobalWafersが買収試みるも不成立 |
| GlobalWafers | 🇹🇼 台湾 | 約17% | SunEdison Semiconductor買収で急拡大 |
| SK Siltron | 🇰🇷 韓国 | 約12% | SK Groupのウェハ事業会社 |
※ シェアは概算値。年度・品種により変動します。