一言で言うと「半導体ウェハ(シリコンウェハ)とは、チップを製造するための土台となる円盤状の薄い基板」です。高純度シリコンのインゴットを薄くスライスして作られ、1枚のウェハから数百〜数千個のチップが同時に製造されます。信越化学工業・SUMCOなど日本企業が世界市場を主導しています。シリコンウェハの基礎は「半導体基礎:半導体とは」も参考にどうぞ。
半導体ウェハ(シリコンウェハ)は、半導体デバイスを製造するための基板となる円盤状の薄い板です。高純度(イレブンナイン:99.999999999%以上)の単結晶シリコンを引き上げたインゴットを、薄くスライスし、鏡面研磨して作られます。チップ製造の出発点であり、すべての前工程はこのウェハの上で行われます。
シリコンウェハの製造工程は、大きく「インゴット育成」「スライシング」「研磨・洗浄」の3ステップに分けられます。インゴット育成には主にチョクラルスキー(CZ)法が使われ、高純度シリコンを溶融した石英るつぼから種結晶を用いてゆっくりと単結晶棒を引き上げます。得られたインゴットをワイヤーソーで薄くスライスし(ウェーハリング)、面取り・ラッピング・エッチング・鏡面研磨(CMP)・洗浄の各工程を経て出荷されます。
ウェハのサイズ(直径)は半導体産業の歴史とともに拡大してきました。1970年代の50mm(2インチ)から始まり、150mm(6インチ)、200mm(8インチ)を経て、現在の先端ロジック・メモリ製造では300mm(12インチ)が主流です。直径が大きいほど1枚あたりから取れるチップ数が増え、製造コスト(ウェハコスト÷チップ数)が下がります。次世代の450mm(18インチ)移行についてはコスト・投資規模の課題から現在も業界での議論が続いています。
ウェハの品質は複数の指標で管理されます。代表的なものとして、ウェハ全体の厚さばらつき(TTV:Total Thickness Variation)、ナノメートル級の表面粗さ(Ra)、酸素・炭素の不純物濃度(インゴット育成時に管理)、および表面の結晶欠陥密度(LPD:Light Point Defects)があります。先端ロジックノードでは露光のフォーカス精度維持のため平坦度要求が年々厳しくなっており、サイトフラットネス(SFQR)のスペックも継続的に縮小しています。
日本企業は世界のシリコンウェハ市場で圧倒的な競争力を持ちます。信越化学工業とSUMCO(住友電気工業・三菱マテリアルが設立)の2社だけで世界供給量の約60%を占め、300mmウェハ市場ではさらに高いシェアを持ちます。残りはドイツのSiltronic、台湾のGlobalWafers(旧Sino American Silicon)、韓国のSK Siltroncなどが分担します。日本政府もシリコンウェハを「半導体サプライチェーンの重要材料」と位置づけており、国内設備投資への補助金制度が整備されています。
コスト面では、300mmウェハ1枚の単価は品種や仕様によって異なりますが、一般的な汎用品で100〜200ドル前後、先端ロジック向けの高品質品では300ドルを超えるものもあります。ウェハコストはチップ製造コストの10〜20%程度を占めるため、直径拡大・歩留まり向上・ウェハ再生利用(リサイクルウェハ)などによるコスト削減が各ファウンドリの重要課題です。