最終更新 2026-10-07

シリコンウェハとは

Silicon Wafer

シリコンウェハとは、単結晶シリコンのインゴットを薄く切り出して鏡面研磨した円形の基板で、あらゆる半導体デバイス製造の出発点となる材料です。先端ロジック・DRAM・NANDでは直径300mm(12インチ)が主流、パワー半導体やMEMSでは200mm(8インチ)が現役です。信越化学工業とSUMCOの日本2社で世界シェアの過半を占めます。

目次10項目
  1. 定義・解説
  2. 製造工程フローでの位置
  3. 図解
  4. 紛らわしい言葉の切り分け
  5. よくある質問
  6. 設備の製造メーカー
  7. 関連する製品
  8. 関連用語
  9. 比較・違いを学ぶ
  10. 出典・参考資料

定義・解説

一言で言うと「半導体ウェハ(シリコンウェハ)とは、チップを製造するための土台となる円盤状の薄い基板」です。高純度シリコンのインゴットを薄くスライスして作られ、1枚のウェハから数百〜数千個のチップが同時に製造されます。信越化学工業・SUMCOなど日本企業が世界市場を主導しています。シリコンウェハの基礎は「半導体基礎:半導体とは」も参考にどうぞ。

シリコンウェハとは(基本定義)

シリコンウェハは、半導体デバイスを製造するための基板(サブストレート)として使われる、単結晶シリコンを薄く切り出して研磨した円形の板です。集積回路(IC)・ロジックチップ・メモリ・パワーデバイスなどの製造において、すべてのプロセスはシリコンウェハ上で行われます。ウェハの品質はデバイスの歩留まりと性能に直結する最も基礎的な材料です。

シリコンウェハの製造工程(チョクラルスキー法→スライス→鏡面研磨)

ウェハの製造工程は主に2段階です。まず、チョクラルスキー法(CZ法)により石英るつぼ内でシリコン融液から高純度の単結晶インゴット(棒状の結晶)を引き上げます。次に、インゴットをワイヤーソーでスライス(薄切り)し、ラッピング・エッチング・両面研磨・エピタキシャル成長など多くの仕上げ工程を経て鏡面仕上げのウェハが完成します。

ウェハのサイズ(300mm・200mm・150mm)と用途

ウェハ径は大きいほど1枚当たりのチップ取得数が増え、製造コストを低減できます。現在の主流は300mmウェハ(直径12インチ)で、先端ロジック・DRAM・NAND Flashなどの大量生産に使われます。450mmウェハへの移行は業界で長年議論されていますが、設備投資の規模と標準化の課題から実用化は見通せていません。レガシーノード・MEMS・パワー半導体では150mm(6インチ)・200mm(8インチ)が今も主流です。

ウェハの仕様・種類(エピタキシャル・SOI・FZ法)

ウェハの主要仕様は、直径(150/200/300mm)、厚さ(300mmで775μm程度)、結晶方位(<100>または<111>)、導電型(N型/P型)、抵抗率(ドーパント濃度)、酸素濃度(CZ法で混入)などです。さらに、デバイスの特性に合わせたエピタキシャルウェハ(表面に薄い単結晶層を気相成長させたもの)、SOI(Silicon On Insulator)ウェハ、FZ法(フローティングゾーン法)ウェハなど多様な種類があります。

主要メーカーのシェア

主要メーカーは信越化学工業(世界シェア約30%)、SUMCO(約26%)、Siltronic(独)、SK Siltron(韓)の4社で世界市場の約90%以上を占めます。ウェハ市場は半導体サイクルに連動して変動しますが、先端ノードへの移行とともに高品質ウェハへの需要は長期的に増加傾向にあります。

ウェハサイズ(直径)別の用途と特徴

直径別名主な用途備考
300mm12インチ先端ロジック(3nm〜7nm)・DRAM・3D NAND現在の主流。1枚あたりのチップ数が最多
200mm8インチアナログ・パワー半導体・センサー・成熟ロジックコスト効率が高く今も現役。需要が再拡大
150mm6インチSiC・GaN・化合物半導体・レガシーノードパワー・高周波デバイス向け
100mm以下4インチ以下研究開発・MEMS試作量産用途は限定的

シリコンウェハ主要メーカーの世界シェア(300mm)

メーカー国世界シェア(目安)特徴
信越化学工業🇯🇵 日本約30%世界首位。先端ロジック向け高品質品でトップシェア
SUMCO🇯🇵 日本約26%世界2位。300mm専業比率が高い
Siltronic🇩🇪 ドイツ約13%GlobalWafersが買収試みるも不成立
GlobalWafers🇹🇼 台湾約17%SunEdison Semiconductor買収で急拡大
SK Siltron🇰🇷 韓国約12%SK Groupのウェハ事業会社

※ シェアは概算値。年度・品種により変動します。

半導体基礎(入門記事シリーズ)→

製造工程フローでの位置

シリコンウェハは全21ステップのうち STEP 1 にあたります(青枠)。

前工程(ウェハプロセス)後工程(組立・実装・テスト)01シリコンウェハの準備02エピタキシャル成長03↻洗浄04熱酸化05↻成膜06↻レジスト塗布07↻露光(リソグラフィ)08↻エッチング09↻アッシング(レジスト除去)10イオン注入11アニール(活性化熱処理)12↻CMP(平坦化)13↻配線形成(ダマシン)14↻ウェハ検査・計測15ウェハテスト(プロービング)16ウェハ薄化(裏面研削)17ダイシング18ダイボンディング19ワイヤボンディング20モールディング(封止)21最終テスト
↻ は配線などの層の数だけ繰り返す工程です。各工程をクリックすると用語解説へ進みます。

図解

シリコンウェハの製造工程図。①チョクラルスキー法でシリコン融液から単結晶インゴットを引き上げ→②ダイヤモンドワイヤーソーで薄い円盤にスライス→③面取り・ラッピング・エッチング・鏡面研磨を経て直径300mm/200mm/150mmの鏡面ウェハが完成する3ステップを示す。
シリコンウェハ製造の3ステップ ─ CZ法インゴット育成 → ワイヤーソーでスライス → 鏡面研磨・洗浄で完成

紛らわしい言葉の切り分け

ウェハ・チップ・ダイ。ウェハは回路を作り込む円盤の基板で、ダイはウェハから切り出した1個分の回路片です。チップはダイとほぼ同じ意味で使われますが、パッケージに入った完成品を指すこともあります。

ポリッシュドウェハとエピタキシャルウェハ。ポリッシュドウェハは単結晶を切り出して鏡面に磨いたもの、エピタキシャルウェハはその上にさらに単結晶の薄い層を成長させたものです。表層の不純物濃度と欠陥を基板と別に作り込めます。 比較記事 →

300mmと200mm。直径の違いで、300mmは1枚あたりの面積が200mmの約2.25倍です。先端のロジックとメモリは300mm、パワー半導体やアナログでは200mm以下のラインも多く使われています。 比較記事 →

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この用語を扱う職種

事業・サプライチェーン半導体の購買・調達

よくある質問(FAQ)

半導体ウェハとは何ですか?
半導体ウェハとは、チップ(集積回路)を製造するための土台となる円盤状の薄い基板です。高純度の単結晶シリコンを主原料とし、トランジスタや配線などの回路パターンが繰り返しこの上に形成されます。最終的にウェハを切断(ダイシング)して個々のチップに分割します。
シリコンウェハはどうやって作られますか?
まずチョクラルスキー(CZ)法で高純度シリコンを溶融し、種結晶を使って単結晶インゴットを引き上げます。次にインゴットをワイヤーソーで薄くスライスし、面取り・ラッピング・エッチング・鏡面研磨(CMP)・洗浄の各工程を経て製品となります。
ウェハのサイズはなぜ大きくなっているのですか?
直径が大きいほど1枚あたりから取れるチップ数が増え、製造コストを下げられるからです。歴史的に50mm→150mm→200mm→300mmと拡大してきました。次世代の450mmはコスト・投資規模の課題から業界で検討が続いています。
300mmウェハと200mmウェハの違いは何ですか?
直径の差(300mm vs 200mm)により、ウェハ面積は約2.25倍になります。先端ロジック(3nm・5nm等)やDRAMはほぼ300mm専用ですが、アナログ・パワー・センサー分野では200mmファブが現役であり、成熟ノードのコスト効率が高い場合は200mmを使い続けるケースがあります。
日本のシリコンウェハメーカーはどこですか?
代表的な日本企業は信越化学工業(Shin-Etsu Chemical)とSUMCOの2社です。この2社だけで世界のシリコンウェハ供給量の約60%を占め、特に先端ロジック向け300mmウェハではさらに高いシェアを持ちます。他にSiltronic(ドイツ)、GlobalWafers(台湾)、SK Siltron(韓国)が続きます。
半導体ウェハのサイズ(直径)は何mmですか?(半導体 ウエハ サイズ)
現在の主要ウェハサイズは①300mm(12インチ):先端ロジック(3nm〜7nm)・DRAM・3D NANDの主流、②200mm(8インチ):アナログ・パワー・センサー・成熟ロジックで現役、③150mm(6インチ)以下:SiC・GaN・化合物半導体など特殊用途、の3段階が中心です。直径が大きいほど1枚あたりの取れるチップ数が増えコスト効率が上がります。次世代の450mmは投資規模が大きく業界での普及は現時点で見通しが立っていません。
半導体ウェハのサイズ(直径)は何mmですか?(半導体 ウエハ サイズ)
現在の主要ウェハサイズは①300mm(12インチ):先端ロジック・DRAM・3D NANDの主流、②200mm(8インチ):アナログ・パワー・センサーで現役、③150mm(6インチ)以下:SiC・GaNなど特殊用途、の3段階が中心です。直径が大きいほど1枚あたりのチップ数が増えコスト効率が上がります。
シリコンウェハと半導体ウェハの違いは何ですか?
一般的には同義で使われることが多いです。厳密には「半導体ウェハ」はSiCウェハ・GaNウェハ・GeウェハなどSi以外を含む広義の呼称で、「シリコンウェハ」はSiを素材とするものを指します。現在の半導体産業ではSiウェハが大多数のため、両者はほぼ同じ意味として用いられます。
半導体ウェハの価格はどのくらいですか?
品種・仕様により異なりますが、汎用300mmシリコンウェハは1枚あたり100〜200ドル前後が目安です。先端ロジック向けの高品質品は300ドルを超えることもあります。ウェハコストはチップ製造コスト全体の10〜20%程度を占めます。
シリコンウェハの品質はどのような指標で管理されますか?
主な品質指標はTTV(Total Thickness Variation:厚みの全体ばらつき)、SFQR(サイトフラットネス)、表面粗さ(Ra)、LPD(Light Point Defects:表面欠陥密度)、酸素・炭素濃度などです。先端ノードほど露光の焦点精度維持のため平坦度スペックが年々厳しくなっています。

設備の製造メーカー

この用語に関連する製品

型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. SUMCO「製品情報(シリコンウェーハ)」(2026/10/07 確認)
  2. 東京エレクトロン nanotec museum「半導体用語集:シリコン・ウェーハ」(2026/10/07 確認)
  3. SUMCO「シリコンウェーハの製造方法」(2026/10/07 確認)
  4. リガク(Rigaku)「TXRF 3760 製品ページ」(2026/10/07 確認)