半導体とは|導体・絶縁体との違いと、なぜ電子機器に使われるか
半導体(semiconductor)とは、電気を通す「導体」と通さない「絶縁体」の中間的な電気的性質を持つ材料です。シリコン(Si)に代表されるこの材料は、不純物の添加(ドーピング)や電圧の制御によって電気の流れをスイッチングできるため、トランジスタや集積回路(IC)の根幹材料として現代のあらゆる電子機器に使われています。
ポイント
- ▸電気伝導率が導体と絶縁体の中間(常温で約10⁻⁴〜10⁴ S/m)
- ▸シリコン(Si)が量産コストと加工性の観点から最も広く使われる代表材料
- ▸ドーピングでN型(電子キャリア)とP型(ホールキャリア)に制御できる
- ▸バンドギャップ(禁制帯幅)の大小が材料の電気特性と用途を左右する
- ▸SiC・GaNなどワイドバンドギャップ半導体はEV・電力変換に活躍
導体・半導体・絶縁体の違い
物質の電気的性質はバンド理論で説明されます。金属(導体)は価電子帯と伝導帯が重なっているため電子が自由に動け、電流が流れやすい状態です。絶縁体はバンドギャップが大きく(5eV以上)電子が伝導帯へ移れないため電流がほとんど流れません。半導体はバンドギャップが小さく(シリコンで約1.1eV)、熱や光のエネルギーで電子が伝導帯へ励起され、適度に電流が流れます。この「制御しやすい」性質がトランジスタ動作の基盤です。
シリコン結晶とドーピング
シリコンは原子価4の元素で、隣接原子と共有結合して規則正しいダイヤモンド構造を形成します。純粋なシリコン(真性半導体)に微量のリン(P)やヒ素(As)などの5価元素を加えると自由電子が増えてN型半導体になり、ボロン(B)などの3価元素を加えると正孔(ホール)が増えてP型半導体になります。このドーピング技術とPN接合がトランジスタ設計の出発点であり、製造工程ではイオン注入や拡散炉によって精密に実施されます。
なぜシリコンが主役なのか
シリコンが半導体産業を支配する理由はいくつかあります。まず地球上に豊富に存在するケイ素(SiO₂)から精製できるためコストが低い点。次に熱酸化で良質なSiO₂(ゲート絶縁膜に使える)を自然に形成できる点。そして高純度単結晶シリコンウェハの製造技術(チョクラルスキー法)が確立されており、直径300mmウェハが量産されている点が挙げられます。GaAs・InP・SiC・GaNなどの化合物半導体も高周波・光・電力用途で使われますが、Si程の汎用性はありません。
半導体の応用範囲
半導体材料から作られるデバイスは多岐にわたります。ロジック半導体(CPU・GPU・FPGA)は論理演算を担い、メモリ半導体(DRAM・NAND)はデータ記憶に使われます。パワー半導体はEVや電源回路での電力変換に活躍し、センサーや発光ダイオード(LED)・レーザーも半導体デバイスです。これらはすべてシリコンウェハやGaN・SiCなどの半導体材料を出発点として、前工程(回路形成)・後工程(パッケージ・試験)を経て製品になります。