i線ステッパー(i-line Stepper)は、水銀ランプの輝線スペクトルのうちi線(波長365nm)を光源として使用する縮小投影露光装置です。1980年代から普及し、微細加工の点では現代のArFi・EUV露光装置に譲りますが、装置コストが低く信頼性が高いため、現在でもMEMS・パワー半導体・アナログIC・センサー・ディスプレイドライバICなどのレガシーノード(0.35μm〜数μm)の製造ラインで広く使われています。
i線の波長365nmは、KrF(248nm)・ArF(193nm)・EUV(13.5nm)に比べて長く、解像度は約0.35〜0.5μm程度が実用的な下限です。この解像度では最先端のロジックチップやDRAMには対応できませんが、回路の線幅が1μm前後のパワーMOSFET・IGBT・アナログIC・車載向けセンサーでは、i線ステッパーで十分な精度が確保できます。
「ステッパー」という名称は、ウェハステージをステップ移動させながらウェハ各部を1ショットずつ露光する方式(Step and Repeat)に由来します。現代の最先端装置は「スキャナー」方式(Step and Scan:レチクルとウェハを同期スキャン)が主流ですが、i線装置では古いステッパー方式も現役で稼働しています。
i線ステッパーが活躍する主な分野:MEMS(加速度センサー・圧力センサー・マイクロミラー)、SiCパワーデバイス、化合物半導体(GaAs・GaN)、アナログ/混合信号IC、ファウンドリの200mm(8インチ)ラインなどです。特に自動車・産業用電子機器の急成長に伴い、200mmラインの設備需要が再び増加しています。
主要メーカーはNikon(NSR-i14G等)とCanon(FPA-3030EX6等)が長年i線ステッパー市場をリードしており、ASMLも一部ラインナップを持ちます。装置の耐用年数が長く(15〜25年以上)、中古市場も活発です。