GAA(Gate-All-Around)は、トランジスタのゲート電極がチャネル(電流路)を四方向(全周)から包囲する立体的なトランジスタ構造です。FinFETがチャネルを三方向から囲む「フィン型」であるのに対し、GAAではシリコンやSiGe等の超薄い「ナノシート」または「ナノワイヤー」状のチャネルをゲートが完全に取り囲みます。ゲートの制御性が飛躍的に向上するため、FinFETで深刻化する短チャネル効果(漏れ電流・電流制御の低下)を物理的に解決できます。
Samsungは2022年に世界で初めて3nmノードにGAA構造(MBCFET:Multi-Bridge Channel FET)を採用した製品の量産を開始しました。TSMCは2nmノードでGAA(N2)の量産を計画しており、IntelもIntel 20A/18AでRibbon FETとして採用予定です。各社のGAA実装は構造の細部(ナノシートの幅・スタック数)や製造アプローチに差があります。
GAA製造の核心プロセスは、Si/SiGe交互積層膜のエピタキシャル成長から始まります。リソグラフィ・エッチングでフィン形状を形成後、SiGeを選択的に除去(Release Etch)してSiナノシートを「宙吊り」状態にし、そこにHigh-kゲート絶縁膜(HfO₂)とメタルゲートをALDで均一に被覆します。この「Inner Spacer」形成やSiGe選択除去の制御精度がプロセス難易度の最大のポイントです。
設計・製造上の課題として、ナノシートの均一な積層(Stacking uniformity)、ゲートメタル充填(Gate fill)のボイドレス化、ソース・ドレインのコンタクト低抵抗化、Inner Spacerの形状制御などが挙げられます。これらにはALD・ALE(原子層エッチング)・選択エピタキシャル成長など最先端プロセスの組み合わせが不可欠です。
装置サプライヤーとしては、Si/SiGe積層エピにApplied Materials・ASM International、ゲートALDにASM International・Lam Research・Applied Materials、SiGe選択除去エッチングにLam Research・東京エレクトロンなどが深く関与しています。GAA世代の装置需要は先端ロジック市場の成長と直結しており、各社の戦略製品となっています。