3nmプロセスとは|3ナノ半導体・GAA構造・TSMC N3の仕組みと日本での動向

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一言で言うと「3ナノ半導体(3nmプロセス)とは、GAA構造とEUV露光を組み合わせた最先端チップ製造技術の世代名称」です。実際の配線幅は3nmではなく約12nm相当で、トランジスタ密度の技術世代を指します。日本では、TSMCが熊本第2工場で2028年に国内初の3nm量産を計画しています。

3nmプロセスは、最小ゲート長が3nm相当の微細化レベルを示す最先端半導体製造プロセス技術です。実際の物理的寸法は必ずしも3nmではありませんが、業界標準としてのプロセスノード名称として使用されています。TSMCやSamsungが量産化に成功しており、Apple A17 ProなどのハイエンドスマートフォンのプロセッサやNVIDIA・AMD向けのデータセンターチップに採用されています。

3nmプロセスでは、GAA(Gate-All-Around)トランジスタ構造やEUV(極紫外線)露光技術が不可欠です。従来のFinFETと比較して、GAAトランジスタはゲートがチャネルを完全に囲むため、より優れた電流制御と低リーク電流を実現できます。これにより、5nmプロセスと比較して約10-15%の性能向上と20-25%の消費電力削減が可能になります。

3nmプロセスの代表的な採用チップとして、TSMC N3プロセスを使用したApple A17 Pro(iPhone 15 Pro搭載)があります。A17 Proは60億個のトランジスタを搭載し、前世代のA16 Bionic(4nm)と比較してCPU性能約10%向上、GPU性能約20%向上を達成しています。また、Samsungの3nm GAA(SF3)プロセスはExynos向けチップに採用されています。

3nmプロセスの製造には、最先端のEUV露光装置、高度なALD(原子層堆積)装置、超精密なエッチング装置など、極めて高価で複雑な製造装置が必要です。製造コストも非常に高く、先端ファブの建設には数兆円規模の投資が必要となるため、TSMCやSamsungなど限られたファウンドリのみが製造能力を持っています。

「3ナノ半導体」という呼び方についても補足します。3nmプロセスの実際の物理的な配線幅は約12nm相当であり、3nmというのは技術世代を示すマーケティング名称です。業界では「ノード」と呼ばれるこの命名体系は、14nm世代を境にITRS(国際半導体技術ロードマップ)の物理基準から乖離しており、各社が独自の定義でノード名を用いています。比較の際にはトランジスタ密度(MTr/mm²)で比較するのが正確です。

日本における3ナノ半導体の動向として、TSMCが熊本県に建設する第2工場(JASM)で3nm相当プロセスの量産を2028年に開始する計画が2026年3月に台湾当局から認可されました。AI・自動運転・次世代スマートフォン向けの先端チップを日本国内で安定供給するのが狙いです。また国産半導体の製造を目指すRapidus(ラピダス)は、北海道千歳市で2nm世代の量産を目指しており、3nmは次のマイルストーンとして位置づけられています。

FinFET vs GAA(Gate-All-Around)トランジスタ構造比較図
FinFET(5nm世代)からGAA(3nm世代)への構造変化。GAAはゲートがチャネルを完全に囲む。
半導体プロセスノード ロードマップ 7nm→5nm→3nm→2nm
半導体プロセスノードのロードマップ。各世代で性能向上と消費電力削減が進む。

よくある質問(FAQ)

3ナノ半導体(3nmプロセス)とは何ですか?
3ナノ半導体とは、トランジスタ密度の技術世代を示す半導体製造ノード名です。実際の物理的配線幅が3nmを意味するわけではなく(実測は約12nm相当)、5nmより高密度・高効率なチップを製造できる最先端プロセス技術の世代を指します。GAA(Gate-All-Around)構造とEUV露光が採用される最先端ノードです。
3nmプロセスはどのスマートフォン・CPUに使われていますか?
Apple A17 Pro(iPhone 15 Pro / 15 Pro Max搭載)、Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3、Apple M3シリーズ(MacBook Pro等搭載)が3nmプロセス採用の代表例です。TSMCのN3プロセスで製造されたA17 Proは60億個のトランジスタを搭載します。
日本で3nmの半導体を作っているのはどこですか?
現在(2026年時点)、日本国内で3nmを量産しているファウンドリはありません。TSMCが熊本県の第2工場(JASM)で3nm相当プロセスの量産を2028年に開始する計画があります。また、Rapidus(ラピダス)は北海道千歳で2nm世代の量産に向けたパイロットライン構築を進めています。
3nmプロセスと5nmプロセスの違いは何ですか?
最大の違いはトランジスタ構造です。5nmまでのFinFETから、3nmではGAA(Gate-All-Around)ナノシート構造に移行しました。GAAはゲートがチャネルを四方向から囲むため電流制御が向上し、性能は約15%向上・消費電力は約20〜25%削減されます。
3nmとは実際に物理サイズが3nmなのですか?
いいえ。3nmという数字は技術世代を示すマーケティング名称であり、実際の最小配線幅は約12nm相当です。業界ではトランジスタ密度(MTr/mm²)を実態の指標として使います。14nm世代以降、各社の命名がITRS基準から乖離しているため、ノード名の数字を物理寸法と混同しないよう注意が必要です。
3nmと2nmの違いは何ですか?
2nmプロセス(TSMCのN2)はGAA構造をさらに進化させ、3nmより約10〜15%の性能向上・約25〜30%の消費電力削減が期待されます。TSMCはN2を2025年に量産開始し、Apple A19シリーズへの採用が見込まれます。トランジスタ密度も3nmの約1.7倍に達する見通しです。
3nmプロセスを製造しているのはどこですか?
現在3nmを量産しているのはTSMC(N3・N3E・N3Pプロセス)とSamsung(SF3 GAAプロセス)の2社のみです。IntelもIntel 3(3nm相当)を開発中で、限られた先端ファウンドリだけが製造能力を持ちます。
TSMC N3とN3Eの違いは何ですか?
N3はTSMCの3nm世代の初期バリアント、N3EはN3を改良した量産向けバリアントです。N3Eは歩留まりとコストを優先し、FinFETとGAAのハイブリッド構造を採用。N3Pはさらに性能を高めたバリアントで、Apple A18 Proへの採用が報告されています。
Rapidusが目指すのは3nmですか、それとも2nmですか?
Rapidusが目指すのは2nm世代(GAA構造)の量産です。IBMとの提携でGAA技術を取得し、北海道千歳市のIIM(Innovative Integration for Manufacturing)ファブでパイロット生産を進めています。2025年〜2026年のパイロットライン稼働、2027〜2028年の量産開始を目指しています。
3nmプロセスの次は何nmになりますか?
3nmの次世代はTSMC N2(2nm)で、2025年量産開始済みです。その後はN16A(1.6nm相当)、N14A(1.4nm相当)と続く予定で、Intelも14A(1.4nm世代)を計画しています。数字が小さくなるにつれ高密度・高性能化しますが、製造コストと技術難易度も急増します。

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