差動増幅回路(Differential Amplifier)は、2つの入力信号の「差」を増幅し、両方に共通して乗るノイズ(同相信号)を打ち消して除去する回路です。この同相除去比(CMRR:Common-Mode Rejection Ratio)の高さから、ノイズに強い高精度なアナログ増幅の基本ブロックとして、あらゆるアナログICに使われます。
基本構成は、2つのトランジスタのソース(またはエミッタ)を共通の定電流源(テール電流)で結んだ対称回路で、負荷にカレントミラーを用いると差動信号を単一出力へ効率よく変換できます。対称性が高いほど、温度変化や電源変動の影響を相殺できます。
差動回路は、オペアンプの入力段、コンパレータ、AD/DA変換器、高速インターフェース(差動伝送)など、アナログ・ミックスドシグナル回路の心臓部を構成します。差動で信号を送ることで、伝送線路上のノイズにも強くなります。
高精度・低ノイズが要求される計測・通信・車載向けICで不可欠な回路で、Analog Devices・Texas Instruments・ルネサスなどが高性能品を提供します。adc-dacやrf-semiconductorの各項とあわせて読むと、アナログ回路設計の基礎が理解できます。