SoC(System on Chip)は、コンピュータシステムを構成する複数の機能ブロック(CPU・GPU・メモリコントローラ・通信回路・AI演算ユニットなど)を1枚のシリコンチップ上に高密度に集積した半導体デバイスです。複数の専用チップを基板上に並べる従来のアーキテクチャと比べて、小型・軽量・低消費電力・低コストを実現できるため、スマートフォン・タブレット・ウェアラブルデバイス・車載システム・IoTデバイスなど幅広い用途で採用されています。
代表的なSoCとして、Apple A17 Pro(iPhone 15 Pro向け、TSMC 3nmプロセス)、Qualcomm Snapdragon 8 Gen 3(Android フラッグシップ向け)、MediaTek Dimensity 9300、Apple M3 Ultra(Mac向け)などがあります。これらはCPUコア(高性能・高効率の組み合わせ、ARM big.LITTLEアーキテクチャ)、GPU、Neural Engine(AI推論ユニット)、Image Signal Processor(ISP)、通信モデム(Cellular/WiFi)などを統合しています。
SoCの設計はEDAツール(Synopsys・CadenceのIPライブラリ、論理合成・配置配線ツール)を用いて行われます。自社設計のIPコアとARMから購入したIPコアを組み合わせ、RTL(レジスタ転送レベル)から物理設計・マスクデータ(GDSII)まで仕上げます。製造はTSMC・Samsung・Globalfoundriesなどのファウンドリに委託するファブレスモデルが一般的です(Apple・Qualcomm・MediaTek・Nvidiaなど)。
最先端SoC(3nm・2nm)の製造は、EUVリソグラフィ・ALDゲート絶縁膜・GAAトランジスタ・多重配線(10層以上)・先進パッケージング(Fan-out WLPや3D積層)などを組み合わせた極めて複雑なプロセスが必要です。製造コストは1枚のウェハで数万ドルに達し、製品コストの相当部分を占めます。
チップレットアーキテクチャの普及により、単一モノリシックSoCからチップレット(機能ブロック別に分割した小型チップを先進パッケージで統合)への移行が進んでいます(AMDのEPYC、IntelのXeon)。これにより歩留まり向上とコスト最適化が可能になり、SoCの定義は「1チップへの集積」から「1パッケージへの統合」へと拡張されつつあります。