正孔(ホール)とは、半導体の価電子帯で電子が抜けた後に残る「電子の空席」のことで、正の電荷を持つ粒子のように振る舞って電気を運びます。電子が一つ抜けると周囲の電子が次々と移動して空席を埋めるため、結果として正孔は電子と逆方向に動きます。P型半導体では、この正孔が多数キャリアとなります。
目次6項目
- 定義・解説
- 図解
- よくある質問
- 関連用語
- 比較・違いを学ぶ
- 出典・参考資料
定義・解説
正孔(せいこう、ホール)とは、半導体の価電子帯で電子が抜けた後に残る「電子の空席」のことで、あたかも正の電荷を持つ粒子のように振る舞い電気を運びます。電子が一つ抜けると周囲の電子が次々と移動して空席を埋めるため、結果的に正孔が電子と逆方向に動いて電流が流れます。
正孔はp型半導体の多数キャリアであり、電子とともに半導体の電気伝導を担う2種類のキャリアの一方です。正孔の移動度は一般に電子より小さいため、p型MOSFETはn型より動作が遅く、CMOS設計ではこの差を補償する工夫が必要です。
正孔の正体は「電子が抜けた空席」ですが、多数の電子がその空席を次々に埋めながら移動する集団的な振る舞いを、1個の正電荷を持つ仮想粒子として扱うと現象を簡潔に記述できます。正孔は電界を加えると電子と逆向きに動き、電流に寄与します。
正孔の移動度はシリコンで約450cm²/V·sと電子(約1,400cm²/V·s)より小さいため、正孔をキャリアとするp型MOSFETはn型より電流が流れにくくなります。CMOS回路ではp型トランジスタのサイズを大きくするなどしてこの差を補償します。
図解
p型半導体では、正孔が多数キャリアになる。よくある質問(FAQ)
正孔(ホール)とは何ですか?
半導体の価電子帯で電子が抜けた後に残る空席のことで、正の電荷を持つ粒子のように振る舞い電気を運びます。p型半導体の多数キャリアです。
正孔と電子の違いは何ですか?
電子は負電荷で伝導帯を動く実在の粒子、正孔は正電荷として振る舞う電子の空席です。両者は電界中で逆向きに動きますが、どちらも電流に寄与します。
なぜ正孔の移動度は電子より低いのですか?
正孔は価電子帯内を電子が次々に移動して運ばれるため、伝導帯を動く自由電子より動きにくく、移動度が小さくなります。このためp型MOSFETはn型より動作が遅くなります。
同じトピックの用語
半導体物理・結晶の基礎 のトピックで関連する用語です。
出典・参考資料
- 東京エレクトロン nanotec museum「半導体用語集:正孔」(2026/10/07 確認)