正孔(せいこう、ホール)とは、半導体の価電子帯で電子が抜けた後に残る「電子の空席」のことで、あたかも正の電荷を持つ粒子のように振る舞い電気を運びます。電子が一つ抜けると周囲の電子が次々と移動して空席を埋めるため、結果的に正孔が電子と逆方向に動いて電流が流れます。
正孔はp型半導体の多数キャリアであり、電子とともに半導体の電気伝導を担う2種類のキャリアの一方です。正孔の移動度は一般に電子より小さいため、p型MOSFETはn型より動作が遅く、CMOS設計ではこの差を補償する工夫が必要です。
正孔の正体は「電子が抜けた空席」ですが、多数の電子がその空席を次々に埋めながら移動する集団的な振る舞いを、1個の正電荷を持つ仮想粒子として扱うと現象を簡潔に記述できます。正孔は電界を加えると電子と逆向きに動き、電流に寄与します。
正孔の移動度はシリコンで約450cm²/V·sと電子(約1,400cm²/V·s)より小さいため、正孔をキャリアとするp型MOSFETはn型より電流が流れにくくなります。CMOS回路ではp型トランジスタのサイズを大きくするなどしてこの差を補償します。