価電子帯(かでんしたい)とは、半導体や絶縁体において、絶対零度で電子が完全に満たされている最もエネルギーの高いバンド(電子のエネルギー帯)のことです。価電子帯の電子は原子に束縛されており、通常はそのままでは電気伝導に寄与しません。
価電子帯の電子が禁止帯(バンドギャップ)を越えて伝導帯へ励起されると、価電子帯には電子の抜け穴である正孔(ホール)が生じます。この正孔が移動することでp型半導体の電気伝導が起こります。価電子帯の頂上と伝導帯の底のエネルギー差がバンドギャップであり、半導体の電気的特性を決定づけます。
価電子帯の電子は化学結合に使われており、外部から十分なエネルギーを受け取らない限り移動できません。シリコンでは各原子が4個の価電子を共有結合に使い、価電子帯を満たしています。温度が上がると一部の電子が熱エネルギーで伝導帯へ飛び移り、後に正孔を残します。
p型半導体ではアクセプタ不純物によって価電子帯のすぐ上に準位ができ、価電子帯の電子がそこへ移ることで多数の正孔が生まれます。この正孔が価電子帯内を移動して電流を運ぶため、価電子帯の状態を理解することはp型動作の理解に直結します。