最終更新 2026-10-19

エピタキシーとは(エピ成長)

Epitaxy

エピタキシー(エピ成長)とは、結晶基板の上に、基板と同じ結晶構造・格子定数を持つ単結晶薄膜を成長させる技術です。基板の結晶方位に倣って原子が規則正しく並ぶため、不純物濃度と膜厚を独立に設計でき、パワー半導体の耐圧層、SiGeによる歪みチャネル、GaN-on-Siなど、基板そのものの性質では作れない層を必要とするデバイスで使われます。

目次9項目
  1. 定義・解説
  2. 製造工程フローでの位置
  3. 図解
  4. よくある質問
  5. 設備の製造メーカー
  6. 関連する製品
  7. 関連用語
  8. 比較・違いを学ぶ
  9. 出典・参考資料

定義・解説

エピタキシー(Epitaxy)とは、結晶基板の上に、基板と同じ結晶構造・格子定数を持つ薄い単結晶薄膜(エピタキシャル層)を気相または液相から成長させる技術です。「Epitaxy」はギリシャ語で「その上に配置する」を意味し、基板の結晶方位に倣って原子が規則正しく並ぶことが特徴です。

主な手法は3種類です。CVD(化学気相成長)を基本とするエピタキシーをVPE(気相エピタキシー)と呼び、シリコンエピタキシー・SiGeエピタキシーが代表例です。MOCVD(有機金属化学気相成長)は化合物半導体(GaN、GaAs、InP)のエピタキシーに広く使われます。MBE(分子線エピタキシー)は超高真空中で分子ビームを照射する最高精度の手法で、研究・開発や特殊デバイスに使われます。

シリコン半導体製造でのエピタキシーの主な用途は、パワーMOSFETや bipolar トランジスタの高抵抗層形成(エピウェハ)、CMOSロジックのソース/ドレイン部へのSiGe(コンプレッシブストレイン)またはSiC(テンサイルストレイン)エピタキシャル層の選択成長、FinFETのフィン形成・GAAナノシート形成のためのSi/SiGe交互積層などです。

化合物半導体(GaN、GaAs)向けのエピタキシーはMOCVD装置が主流で、トリメチルガリウム(TMGa)や窒素(NH₃)などの有機金属・水素化物ガスを精密に制御します。LED・パワーデバイス(GaN)・高周波デバイス(GaAs、InP)の性能はエピ膜の品質(不純物濃度・欠陥密度・膜厚均一性)に大きく依存します。

主要装置メーカーはApplied Materials(シリコンエピ:Centura Epi)、ASM International(Epsilon)、Veeco Instruments(GaN MOCVD)、AIXTRON(MOCVD)などです。エピタキシーはFinFET・GAAトランジスタの製造における中核プロセスであり、先端ノードでの重要性はますます高まっています。

製造工程フローでの位置

エピタキシー(エピ成長)は全21ステップのうち STEP 2 にあたります(青枠)。

前工程(ウェハプロセス)後工程(組立・実装・テスト)01シリコンウェハの準備02エピタキシャル成長03↻洗浄04熱酸化05↻成膜06↻レジスト塗布07↻露光(リソグラフィ)08↻エッチング09↻アッシング(レジスト除去)10イオン注入11アニール(活性化熱処理)12↻CMP(平坦化)13↻配線形成(ダマシン)14↻ウェハ検査・計測15ウェハテスト(プロービング)16ウェハ薄化(裏面研削)17ダイシング18ダイボンディング19ワイヤボンディング20モールディング(封止)21最終テスト
↻ は配線などの層の数だけ繰り返す工程です。各工程をクリックすると用語解説へ進みます。

図解

エピタキシャル成長の原子配列模式図。左:エピ層は単結晶基板の結晶格子を引き継ぎ原子が規則正しく整合して積層され低欠陥・高品質となる。右:通常の堆積膜は原子が無秩序に並び粒界・欠陥が多く電気特性が劣ることを対比して示す。
エピタキシャル成長 ─ 基板の結晶方位を継承して単結晶薄膜が整合成長(左)。無秩序に積もる通常膜(右)との違い

関連するデータ・ツール

計算・換算ツール露点 ⇔ 水分濃度(ppm)換算ツール計算・換算ツール格子不整合・臨界膜厚 計算ツール

この用語を扱う職種

前工程(ウェハプロセス)エピタキシャル成長エンジニア

よくある質問(FAQ)

半導体エピ(エピタキシャル成長)とは何ですか?
半導体エピ(エピタキシャル成長、Epitaxial Growth)とは、シリコンなどの単結晶基板上に、基板と同じ結晶構造・格子定数を持つ薄い単結晶薄膜(エピタキシャル層)を成長させる技術です。基板の結晶方位に倣って原子が規則正しく積層されるため、欠陥密度が低く電気特性に優れた膜が得られます。パワーMOSFET・FinFET・GaNデバイスなど先端半導体製造の中核プロセスです。
エピ成長(エピタキシー)はなぜ半導体製造に必要ですか?
エピ成長が必要な理由は、バルクウェハでは実現できない精密な不純物プロファイルと結晶品質を持つ薄膜を形成できるためです。例えばパワーMOSFETでは高耐圧の低ドーズエピ層が必要であり、CMOSロジックではSiGe(SiGeC)エピによるキャリア移動度向上(ストレインエンジニアリング)が先端ノードの性能向上に不可欠です。
エピタキシャル成長とCVDの違いは何ですか?
CVD(化学気相成長)は多結晶・アモルファス・単結晶を問わず薄膜を堆積する汎用技術です。エピタキシャル成長はCVDの一形態ですが、単結晶基板の結晶方位を継承して単結晶薄膜のみを成長させる点が特徴です。エピ成長には高温・高純度ガス環境と基板の精密な前処理が必要で、通常のCVDよりも制御要件が厳しくなります。
半導体エピ装置(エピタキシャル成長装置)の主要メーカーはどこですか?
シリコンエピ装置ではApplied Materials(Centura Epi)とASM International(Epsilon)が主要サプライヤーです。GaN・GaAsなどの化合物半導体向けMOCVD装置ではAIXTRON(独)とVeeco Instruments(米)が2強です。MBE装置ではVeeco、Riber(仏)などが知られています。
エピタキシャル成長の種類(VPE・MBE・MOCVD)の違いは?
VPE(気相エピタキシー)はCVD原理を用いたシリコンエピの主流方式で、高スループットが特長です。MOCVD(有機金属化学気相成長)はGaN・GaAsなど化合物半導体のエピに使われ、LEDやパワーデバイス製造に不可欠です。MBE(分子線エピタキシー)は超高真空中で最高の膜質を実現しますが、スループットが低く研究・開発用途が中心です。

設備の製造メーカー

この用語に関連する製品

型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

Sym3™ Z Magnum™ EtchApplied Materials・シリコンエッチャー
Propel® GaN MOCVDVeeco Instruments・エピタキシャル成長装置
QUIXACE®-LVKokusai Electric(国際電気)・エピタキシャル成長装置
MBE 6000Riber・MBE装置(分子線エピタキシー)
RC1100エピクエスト・MBE装置(分子線エピタキシー)
G10-GaNAIXTRON・MOCVD装置
SR-4000HT大陽日酸(Taiyo Nippon Sanso)・MOCVD装置
Epsilon® 2000ASMインターナショナル・エピタキシャル成長装置
SEGul-200ULVAC(アルバック)・化合物半導体
Centura™ Prime™ EpiApplied Materials・エピタキシャル成長装置
GENxplor™Veeco Instruments・MBE装置(分子線エピタキシー)
G10-SiCAIXTRON・化合物半導体基板製造装置(SiC/GaN)

ほか 6 製品は製品一覧から探せます。

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. 東京エレクトロン nanotec museum「半導体用語集:エピタキシャル成長」(2026/10/07 確認)
  2. Applied Materials「Sym3™ Z Magnum™ Etch 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  3. Veeco Instruments「Propel® GaN MOCVD 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  4. Kokusai Electric(国際電気)「QUIXACE®-LV 製品ページ」(2026/10/07 確認)