エピタキシー(Epitaxy)とは、結晶基板の上に、基板と同じ結晶構造・格子定数を持つ薄い単結晶薄膜(エピタキシャル層)を気相または液相から成長させる技術です。「Epitaxy」はギリシャ語で「その上に配置する」を意味し、基板の結晶方位に倣って原子が規則正しく並ぶことが特徴です。
主な手法は3種類です。CVD(化学気相成長)を基本とするエピタキシーをVPE(気相エピタキシー)と呼び、シリコンエピタキシー・SiGeエピタキシーが代表例です。MOCVD(有機金属化学気相成長)は化合物半導体(GaN、GaAs、InP)のエピタキシーに広く使われます。MBE(分子線エピタキシー)は超高真空中で分子ビームを照射する最高精度の手法で、研究・開発や特殊デバイスに使われます。
シリコン半導体製造でのエピタキシーの主な用途は、パワーMOSFETや bipolar トランジスタの高抵抗層形成(エピウェハ)、CMOSロジックのソース/ドレイン部へのSiGe(コンプレッシブストレイン)またはSiC(テンサイルストレイン)エピタキシャル層の選択成長、FinFETのフィン形成・GAAナノシート形成のためのSi/SiGe交互積層などです。
化合物半導体(GaN、GaAs)向けのエピタキシーはMOCVD装置が主流で、トリメチルガリウム(TMGa)や窒素(NH₃)などの有機金属・水素化物ガスを精密に制御します。LED・パワーデバイス(GaN)・高周波デバイス(GaAs、InP)の性能はエピ膜の品質(不純物濃度・欠陥密度・膜厚均一性)に大きく依存します。
主要装置メーカーはApplied Materials(シリコンエピ:Centura Epi)、ASM International(Epsilon)、Veeco Instruments(GaN MOCVD)、AIXTRON(MOCVD)などです。エピタキシーはFinFET・GAAトランジスタの製造における中核プロセスであり、先端ノードでの重要性はますます高まっています。