GLOSSARY

オーバーレイ計測とは

Overlay Metrology
最終更新:2026-08-02計測装置前工程装置

オーバーレイ計測とは?

オーバーレイ計測とは、多層構造の半導体において、上下の層のパターンがどれだけ正確に重なっているかを測定する工程です。露光装置の位置合わせ精度を評価する最重要指標で、ずれが大きいとコンタクト不良や配線ショートを招くため、計測結果を露光装置へフィードバックして補正します。マルチパターニングでは誤差が累積するため要求精度がさらに厳しくなります。

定義・解説

検索意図の要は「層と層のパターンが設計どおり重なっているか」をナノ単位で測ることです。露光直後にマークを読み取り、並進・回転・歪み成分を分解して露光装置に補正をかけるループの中核です。EUVでは工程が減る一方、1層あたりの許容が厳しくなるため計測の重要性が増します。

計測装置カテゴリ(CD-SEM・オーバーレイ等の位置づけ)→

オーバーレイ計測は、半導体製造における多層配線構造において、各層のパターンがどれだけ正確に重なっているかを測定する計測工程です。オーバーレイ精度は、露光装置の位置合わせ精度を評価する最も重要な指標であり、デバイスの電気特性と歩留まりに直接影響を与えます。

現代の半導体デバイスは、数十層から100層を超える多層配線構造を持ちます。各層のパターンが設計通りに正確に重なっていなければ、配線の短絡や断線が発生し、デバイスが正常に動作しません。オーバーレイ計測は、こうした層間のずれ(オーバーレイエラー)をナノメートル単位で測定し、製造プロセスの品質を保証する役割を果たします。

オーバーレイ計測装置は、主に光学式測定方式を採用しています。ウェハ上にあらかじめ形成されたオーバーレイマーク(アライメントマーク)を光学的に観察し、前工程で形成されたマークと現工程で形成されたマークの相対位置を測定します。マークの設計は、バー・イン・バー型、ボックス・イン・ボックス型など、測定精度や工程との適合性に応じて選択されます。

測定方式には、イメージベース方式とスキャトロメトリ方式の2つの主流があります。イメージベース方式は、オーバーレイマークの画像を取得し、画像処理により位置ずれを算出する方式です。直感的で理解しやすく、従来から広く使用されています。一方、スキャトロメトリ方式は、回折光の波長分布パターンを解析してオーバーレイを測定する方式で、マークサイズを小さくでき、より高精度な測定が可能です。

オーバーレイ計測は、露光工程後に実施されるのが一般的です。露光装置でパターンを転写した直後に計測を行い、その結果を次のロットの露光条件にフィードバックします。このフィードバック制御により、露光装置のアライメント精度を継続的に改善し、安定した製造を実現します。また、エッチング工程や成膜工程後にも計測を行い、プロセス誘起のウェハ変形を評価することがあります。

先端半導体製造では、極めて厳しいオーバーレイ精度が要求されます。3nmプロセスノード以下では、オーバーレイ許容値が1nm以下となることもあり、測定精度も0.1nm(3σ)レベルが求められます。この超高精度を実現するため、露光装置側では高度なアライメント技術、ウェハステージの精密制御、光学系の収差補正などが必要です。計測装置側でも、測定再現性の向上、マーク設計の最適化、環境振動の抑制などが重要な課題となっています。

ウェハ全面のオーバーレイ分布を測定し、その傾向を解析することで、露光装置の補正パラメータを最適化します。一般的には、ウェハを複数のフィールドに分割し、各フィールド内の複数点でオーバーレイを測定します。測定データから、ウェハ全体の並進、回転、倍率変化、非線形歪みなどの成分を分離し、それぞれに対応した補正を露光装置に適用します。この高度なフィードバック制御により、プロセス変動の影響を最小化できます。

EUV露光の導入に伴い、オーバーレイ計測の重要性はさらに高まっています。EUV露光では、従来のDUV露光と比較して露光工程数を削減できる一方、1工程あたりのオーバーレイ許容値がより厳しくなります。また、マスク製造誤差やレチクル熱変形の影響も考慮する必要があり、より高精度な計測とフィードバックが不可欠です。

機械学習とAI技術の応用も進んでいます。従来のオーバーレイ補正は、測定データから数学的モデルで補正パラメータを算出する手法が主流でしたが、近年では機械学習を用いた予測モデルにより、より効果的な補正が可能になっています。また、異常パターンの自動検出や、測定点の最適配置にもAI技術が活用されています。

今後の技術方向性として、インライン計測の高速化と測定点数の増加が挙げられます。製造スループットを維持しながら、より多くの測定点でプロセスを管理することが求められています。また、3D NAND や積層デバイスにおける層間オーバーレイの測定技術、非破壊での内部構造評価技術なども重要な開発課題です。オーバーレイ計測は、半導体製造の微細化を支える基盤技術として、今後も継続的な技術革新が期待されています。

図解

オーバーレイ計測の概念図:多層パターンの位置ずれ(オーバーレイエラー)の測定
オーバーレイ計測の概念:上下層のパターン位置ずれをナノメートル単位で測定し、露光装置に補正をフィードバックする。

関連するデータ・ツール

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この用語を扱う職種

前工程(ウェハプロセス)検査・計測エンジニア(メトロロジー)

よくある質問(FAQ)

オーバーレイ計測とは何ですか?
オーバーレイ計測は、半導体の多層配線製造において、各層のパターンが上下方向に正確に重なっているかを測定する工程です。位置ずれをナノメートル単位(先端プロセスでは1nm以下)で測定し、露光装置の補正にフィードバックすることで、デバイスの歩留まりと電気特性を保証します。
オーバーレイ計測の許容値(スペック)はどのくらいですか?
プロセスノードによって異なります。一般的にオーバーレイ許容値はノードサイズの約1/4〜1/3です。3nmプロセスでは±1nm以下、5nmプロセスでは±1.5nm以下、7nmプロセスでは±2nm以下が目安です。測定精度は許容値のさらに1/10以下が求められ、先端プロセスでは0.1nm(3σ)レベルが要求されます。
オーバーレイ計測にはどんな装置が使われますか?
オーバーレイ計測の主要装置メーカーはKLA(米国)で、Archerシリーズが広く使用されています。計測方式は画像を取得するイメージベース方式と、回折光を解析するスキャトロメトリ(DBO)方式の2種類が主流です。ASMLの露光装置内蔵アライメントセンサーと組み合わせてフィードバック制御が行われます。
オーバーレイ計測とアライメントの違いは何ですか?
アライメントは露光装置がウェハ上のマークを読んで位置合わせを行う工程(露光前のリアルタイム制御)です。オーバーレイ計測は露光・現像後に専用の計測装置で実際のパターン位置ずれを測定するプロセス評価工程(事後測定)です。両者を組み合わせてAPC(先進プロセス制御)ループを構成します。
EUV露光でオーバーレイ計測が重要なのはなぜですか?
EUV露光は従来のDUVと比較して1工程あたりのパターン密度が高く、位置ずれの許容値がより厳しくなります。またEUVのマスク(レチクル)は熱変形の影響を受けやすく、精密なオーバーレイ計測と動的補正が不可欠です。3nm/2nm世代のEUVプロセスでは、オーバーレイ精度がデバイス性能の直接の決定因子になっています。
オーバーレイ計測とCD-SEM(クリティカルディメンション測定)はどう違いますか?
CD-SEMはパターンの幅(寸法)を測定する装置で、電子線(SEM)を使用します。オーバーレイ計測は層間の位置関係(ずれ量)を主に光学式で測定します。目的が異なり、CD-SEMは「太さ」、オーバーレイ計測は「重なり位置」を評価します。両者は相補的な計測工程として半導体製造で組み合わせて使用されます。

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