オーバーレイ計測とは

オーバーレイ計測は、半導体製造における多層配線構造において、各層のパターンがどれだけ正確に重なっているかを測定する計測工程です。オーバーレイ精度は、露光装置の位置合わせ精度を評価する最も重要な指標であり、デバイスの電気特性と歩留まりに直接影響を与えます。

現代の半導体デバイスは、数十層から100層を超える多層配線構造を持ちます。各層のパターンが設計通りに正確に重なっていなければ、配線の短絡や断線が発生し、デバイスが正常に動作しません。オーバーレイ計測は、こうした層間のずれ(オーバーレイエラー)をナノメートル単位で測定し、製造プロセスの品質を保証する役割を果たします。

オーバーレイ計測装置は、主に光学式測定方式を採用しています。ウェハ上にあらかじめ形成されたオーバーレイマーク(アライメントマーク)を光学的に観察し、前工程で形成されたマークと現工程で形成されたマークの相対位置を測定します。マークの設計は、バー・イン・バー型、ボックス・イン・ボックス型など、測定精度や工程との適合性に応じて選択されます。

測定方式には、イメージベース方式とスキャトロメトリ方式の2つの主流があります。イメージベース方式は、オーバーレイマークの画像を取得し、画像処理により位置ずれを算出する方式です。直感的で理解しやすく、従来から広く使用されています。一方、スキャトロメトリ方式は、回折光の波長分布パターンを解析してオーバーレイを測定する方式で、マークサイズを小さくでき、より高精度な測定が可能です。

オーバーレイ計測は、露光工程後に実施されるのが一般的です。露光装置でパターンを転写した直後に計測を行い、その結果を次のロットの露光条件にフィードバックします。このフィードバック制御により、露光装置のアライメント精度を継続的に改善し、安定した製造を実現します。また、エッチング工程や成膜工程後にも計測を行い、プロセス誘起のウェハ変形を評価することがあります。

先端半導体製造では、極めて厳しいオーバーレイ精度が要求されます。3nmプロセスノード以下では、オーバーレイ許容値が1nm以下となることもあり、測定精度も0.1nm(3σ)レベルが求められます。この超高精度を実現するため、露光装置側では高度なアライメント技術、ウェハステージの精密制御、光学系の収差補正などが必要です。計測装置側でも、測定再現性の向上、マーク設計の最適化、環境振動の抑制などが重要な課題となっています。

ウェハ全面のオーバーレイ分布を測定し、その傾向を解析することで、露光装置の補正パラメータを最適化します。一般的には、ウェハを複数のフィールドに分割し、各フィールド内の複数点でオーバーレイを測定します。測定データから、ウェハ全体の並進、回転、倍率変化、非線形歪みなどの成分を分離し、それぞれに対応した補正を露光装置に適用します。この高度なフィードバック制御により、プロセス変動の影響を最小化できます。

EUV露光の導入に伴い、オーバーレイ計測の重要性はさらに高まっています。EUV露光では、従来のDUV露光と比較して露光工程数を削減できる一方、1工程あたりのオーバーレイ許容値がより厳しくなります。また、マスク製造誤差やレチクル熱変形の影響も考慮する必要があり、より高精度な計測とフィードバックが不可欠です。

機械学習とAI技術の応用も進んでいます。従来のオーバーレイ補正は、測定データから数学的モデルで補正パラメータを算出する手法が主流でしたが、近年では機械学習を用いた予測モデルにより、より効果的な補正が可能になっています。また、異常パターンの自動検出や、測定点の最適配置にもAI技術が活用されています。

今後の技術方向性として、インライン計測の高速化と測定点数の増加が挙げられます。製造スループットを維持しながら、より多くの測定点でプロセスを管理することが求められています。また、3D NAND や積層デバイスにおける層間オーバーレイの測定技術、非破壊での内部構造評価技術なども重要な開発課題です。オーバーレイ計測は、半導体製造の微細化を支える基盤技術として、今後も継続的な技術革新が期待されています。

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