空乏層(くうぼうそう)とは、pn接合や金属-半導体接合の境界付近にできる、電子・正孔などの自由キャリアがほとんど存在しない領域のことです。空乏領域・空間電荷領域とも呼ばれ、ダイオードやトランジスタ、太陽電池など、あらゆる半導体デバイスの動作の中心となる構造です。
pn接合を作ると、n型側の電子とp型側の正孔が界面を越えて拡散し、互いに再結合して消滅します。その結果、界面付近にはキャリアが枯渇した空乏層が残り、n側にはプラスのドナーイオン、p側にはマイナスのアクセプタイオンが取り残されます。このイオンが作る電界が内蔵電位(電位障壁)となり、それ以上のキャリアの拡散を妨げて平衡状態になります。
空乏層の幅は印加電圧で変化します。逆方向電圧を加えると空乏層は広がり、順方向電圧では狭くなります。この可変性はバラクタ(可変容量)ダイオードやMOSキャパシタの動作原理であり、また空乏層幅の広がりが逆方向の耐圧やリーク電流、CMOSイメージセンサの感度などデバイス特性を左右します。
空乏層はエネルギーバンド図の上では、バンドが曲がっている領域として現れます。空乏層の両端のバンドの高低差が内蔵電位qVbi(シリコンで約0.6〜0.7V)に対応し、順・逆バイアスによる障壁の上下がダイオードの整流作用を生みます。