光学的クリティカルディメンション計測(OCD:Optical Critical Dimension Scatterometry)とは、半導体ウェーハ上の微細なパターン構造に光を照射し、回折・散乱した光のスペクトル情報を解析することでパターンの形状寸法(線幅、高さ、側壁角度、膜厚等)を非破壊・非接触で測定する計測技術である。Scatterometryとも呼ばれ、AFM(原子間力顕微鏡)やCD-SEM(Critical Dimension SEM)と補完的に使用される。
OCDの原理は、周期的なパターン構造(グレーティング)に光を照射した際の回折効率が、パターンの形状・寸法に依存することを利用する。実測したスペクトル(反射率、楕円偏光パラメータ等)と、理論計算した「ライブラリ」または機械学習モデルを照合することで、実際のパターン形状を逆推定(インバースモデリング)する。
KLAのSpectraShape、Onto InnovationのNova ONOXなどが主要なOCD製品として市場に展開されている。OCDは測定速度(数秒/点)と高い繰り返し精度(σ<0.1nm)が特徴で、量産ラインでの高頻度サンプリング計測に適している。FinFETの3次元形状や3D NANDの積層数確認にも応用されている。
EUVリソグラフィー後の微細パターン(ピッチ16nm以下)に対するOCDの限界として、光の回折限界に近づくため解析モデルの精度低下が問題となっている。この課題に対し、X線を使ったCD-SAXS(Critical Dimension Small Angle X-ray Scattering)やTEM(透過電子顕微鏡)との組み合わせ計測が研究されている。
OCD計測データはAPC(Advanced Process Control)システムに統合され、露光・エッチング・CMP等の前後工程へのフィードバックと露光フォーカス/ドーズ補正に活用される。近年はAIによるスペクトル解析高速化が進み、計測時間のさらなる短縮が実現されている。半導体製造の微細化ロードマップにおいて、OCD計測は工程管理の核心技術として位置づけられている。