GLOSSARY

OPC(光近接効果補正)とは

Optical Proximity Correction
最終更新:2026-04-22露光装置

定義・解説

OPC(Optical Proximity Correction/光近接効果補正)は、半導体リソグラフィ工程において、光の回折・干渉によって生じるパターン変形(光近接効果)を事前に補正するためにフォトマスクの設計データを修正する技術です。理想のパターンをそのままマスクに描いても、露光時の光学的な変形により、ウェハ上では線端が丸まったり線幅が変化したりします。OPCはこれを予測し、マスクパターンを意図的に変形させることでウェハ上の転写精度を高めます。

光近接効果の主な原因は、回折光の干渉による強度分布の不均一化です。隣接パターンの間隔・密度によって局所的な露光量が変化し、孤立パターンと密集パターンでは同じマスクサイズでも転写線幅が異なります。OPCではモデルベースシミュレーションにより各パターンの転写結果を予測し、それを打ち消すように補助パターン(SRAF:Sub-Resolution Assist Feature)や輪郭の微調整を施します。

OPCの計算は非常に大規模で、最先端チップのマスク1枚あたり数百GBのデータを処理するために数千CPUコアを使ったサーバーファームで数十時間かけて計算します。近年は機械学習・AIによる予測モデルがOPCエンジンに組み込まれ、計算精度の向上と時間短縮が図られています。

OPCはリソグラフィプロセス最適化(LPO)の一部として、SMO(Source Mask Optimization:光源形状最適化)、ILT(Inverse Lithography Technology:逆解析リソグラフィ)などの技術と組み合わせて使われます。EUV露光においても(波長が短く解像性が高いものの)OPCは依然として重要であり、マスク3D効果(マスクの凹凸が引き起こす波面収差)の補正も必要になっています。

OPCソフトウェアの主要ベンダーはSynopsys(Proteus OPC)、Siemens EDA(Calibre OPC)の2社が市場を独占しており、半導体設計フローに深く組み込まれています。OPCはフォトマスクのデータ準備(DPコンピューティング)の核心技術であり、微細化が進むほどその重要性と計算コストは増大しています。

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