多重パターニング(Multi-Patterning)は、1回の露光では解像できない微細なパターンを、露光・成膜・エッチング工程を複数回繰り返すことで実現するリソグラフィ補完技術です。露光波長(ArF: 193nm)の回折限界を超える微細パターン形成を可能にし、EUV露光装置が普及する前の10〜7nmノードの量産を支えました。
主な手法はLELE(Litho-Etch-Litho-Etch)とSADP/SADP(Self-Aligned Double/Quadruple Patterning)の2種類です。LELE(ダブルパターニング、DP)は2回の露光・エッチングを行い、1回の露光の2倍の密度のパターンを形成します。各露光のオーバーレイ精度(重ね合わせ精度)が最終パターン精度に直結するため、极めて高い露光装置の重ね合わせ精度(<2nm OVL)が要求されます。
SADP(Self-Aligned Double Patterning)は、フォトリソグラフィで形成したコアパターン(マンドレル)の側壁にスペーサー材料をALD成膜し、マンドレルを除去することでスペーサーをパターンとして残す手法です。スペーサーピッチは露光解像度に依存せずスペーサー膜厚で決まるため、露光装置の限界を超えた微細ピッチが実現できます。QP(Quadruple Patterning:SAQP)ではこれを2回繰り返すことでさらなる高密度化を図ります。
多重パターニングの課題は、工程数の増加によるコスト増・スループット低下と、各層の重ね合わせ誤差(オーバーレイエラー)の蓄積です。LELE方式では各露光のオーバーレイが重要であり、SADP方式ではスペーサー膜厚の均一性(ALD精度)とマンドレル除去の選択比が品質を決定します。
EUVリソグラフィの普及(7nm以降への適用拡大)により、単一EUV露光でArF多重パターニングを置き換えるトレンドが強まっています。ただし、最先端ロジック(2nm以下)では一部の層でEUV多重パターニング(EUV SADP、EUV DP)が再び必要になることが見込まれており、多重パターニング技術は今後も重要であり続けます。