MEMS(Micro Electro Mechanical Systems/微小電気機械システム)は、半導体微細加工技術を応用して、機械的な構造体(センサー・アクチュエータ・マイクロ流路など)と電気回路を同一基板上に集積化したデバイス・技術の総称です。マイクロメートルからミリメートルスケールの微細な可動部位を持ち、物理量の検出や機械的な動作を電気信号と双方向に変換することができます。
代表的なMEMSデバイスには、スマートフォンの姿勢検出に使われる加速度センサー・ジャイロスコープ、自動車のエアバッグ制御用圧力センサー、DLPプロジェクターのデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、インクジェットプリンターのプリントヘッド、補聴器用シリコンマイクロフォン(MEMS Mic)などがあります。IoT・ウェアラブル・車載・医療分野での需要拡大に伴い、市場規模は急速に成長しています。
MEMS製造には、通常の半導体プロセス(フォトリソグラフィ、CVD、スパッタ)に加え、MEMS特有の技術が必要です。代表的なものは、深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)による高アスペクト比の垂直トレンチ形成、犠牲層エッチング(可動部を解放するための選択エッチング)、陽極接合・直接接合・低温接合などのウェハボンディング技術です。
MEMS製造は通常の半導体ファブ(CMOS fab)で製造できるものもありますが、MEMSに特化したファブ(例:Bosch、STMicroelectronics、MEMSCAP)や、ファブレスで設計しファウンドリに委託するモデルが一般的です。日本ではセイコーエプソン、ミネベアミツミなどが参入しています。
近年は、CMOSロジック回路とMEMSを同一チップに集積するCMOS-MEMS集積化技術や、ウェハレベルパッケージング(WLP)による小型化・コスト削減が進んでいます。また、バイオMEMS(マイクロ流体チップ)やフォトニックMEMS(光スイッチ)など、応用領域は急速に拡大しています。