CMOSイメージセンサーとCCDの違い

デジタルカメラの普及を支えたのはCCDイメージセンサーでしたが、現在のスマートフォンや車載カメラに入っているのはほぼすべてCMOSイメージセンサー(CIS)です。どちらもフォトダイオードで光を電荷に変える点は同じで、違いはその電荷を画像信号として取り出す仕組みにあります。ここでは読み出し方式の違いを出発点に、両者の特性、主役が入れ替わった理由、製造技術の違いを整理します。

最終更新: 2026-09-14

結論:CMOSイメージセンサー(CIS)CCDイメージセンサーの違いは?

最大の違いは「光で生じた電荷をどう読み出すか」です。CCDは各画素の電荷を失わないようにバケツリレーで運び、出力部の1か所でまとめて電圧に変換します。変換回路が共通なので均一でノイズの少ない画像が得られますが、高い駆動電圧と大きな消費電力が必要で、読み出しも遅くなります。CMOSイメージセンサーは画素ごとに電荷を電圧に変換して増幅し、行と列を選んで読み出すため、低電圧・低消費電力で高速に動作し、AD変換や画像処理の回路まで1チップに集積できます。かつてはCCDが画質で優位でしたが、裏面照射型や積層型の技術でCMOSが追いつき、現在はスマートフォン・車載・監視カメラなどほぼすべての民生用途でCMOSが主流です。

比較表

CMOSイメージセンサー(CIS)CCDイメージセンサー
CMOSイメージセンサー(CIS)CCDイメージセンサー観点別比較
観点CMOSイメージセンサー(CIS)CCDイメージセンサー
光電変換フォトダイオードフォトダイオード
電荷の読み出し画素ごとに電圧へ変換・増幅し、行と列を選択して読み出す電荷を垂直・水平の転送路でバケツリレーし、出力部でまとめて変換する
駆動電圧・消費電力低電圧で動作し、低消費電力複数の高い駆動電圧が必要で、消費電力が大きい
読み出し速度高速。高フレームレートや部分読み出しが容易全画素を順に転送するため遅い
周辺回路の集積AD変換・タイミング制御・画像処理まで1チップに集積できる駆動回路や信号処理は別チップが基本
ノイズ・均一性画素ごとのアンプのばらつきに補正が必要だったが、現在は大きく改善変換回路が共通で、均一性と低ノイズに優れる
シャッター方式ローリングシャッターが主流(グローバルシャッター品もある)インターライン型はグローバルシャッターが基本
特有の画像の乱れ高速に動く被写体の歪み(ローリングシャッター歪み)強い光源から縦に筋が伸びるスミア
製造プロセスCMOSロジックの製造技術を応用。裏面照射型・積層型が主流電荷転送に特化した専用プロセスが必要
主な用途スマートフォン、車載、監視、デジタルカメラ、産業用科学計測、天体観測、一部の産業用・医療用

読み出し方式の違い

CCDでは、各画素に溜まった電荷を、隣り合う電極に順番に電圧をかけることで少しずつ隣へ移し、最終的に出力部まで運びます。電荷をほとんど失わずに運べるうえ、電荷を電圧に変える増幅器が出力部にしかないので、画素間のばらつきが生じにくいのが特長です。CMOSイメージセンサーでは、各画素にフォトダイオードと数個のトランジスタを置き、画素の中で電荷を電圧に変えて増幅します。読み出しはメモリのように行と列を選んで行うため、電荷を長い距離運ぶ必要がありません。この違いが、消費電力、速度、集積度のすべての差につながっています。

CCDが長く画質で優位だった理由

初期のCMOSイメージセンサーは、画素ごとに増幅トランジスタを持つため、そのばらつきが固定パターンノイズとして画像に現れました。画素の中にトランジスタを置く分だけ受光面積が狭く、感度でも不利でした。CCDは電荷転送に特化した専用プロセスで作られ、暗電流も少なく、高画質が求められるデジタルカメラや放送用カメラで長く主役を担いました。CMOSが追いつくには、読み出しノイズを打ち消す相関二重サンプリング、暗電流を抑える埋め込み型フォトダイオード、画素ごとに光を集めるマイクロレンズなど、多くの改良の積み重ねが必要でした。

CMOSが主流になった決め手

決め手になったのは、裏面照射型(BSI)と積層型の登場です。表面照射型では配線層が光を遮っていましたが、ウェハを薄くして裏側から光を入れるBSIによって、小さな画素でも高い感度が得られるようになりました。さらに、画素アレイのチップと信号処理回路のチップを別々に作って貼り合わせる積層型では、画素の面積を削らずに高速なAD変換や画像処理を組み込めます。低消費電力と高速読み出しというCMOS本来の強みに画質が加わり、スマートフォンの普及とともにCMOSが市場を占めるようになりました。ソニーは2010年代半ばにCCDの生産終了を発表しています。

製造技術の違い

CCDは電荷を損失なく転送するために、重なり合う多層のポリシリコン電極など専用の構造と工程を必要とし、ロジック回路と同じラインでは作れません。CMOSイメージセンサーはCMOSロジックの製造技術をベースに、低暗電流のフォトダイオード形成やカラーフィルター、マイクロレンズの工程を加えて作ります。BSIではウェハを数µmまで薄くする工程と支持基板への貼り合わせが、積層型ではチップ同士を銅電極で直接つなぐハイブリッドボンディングが鍵になり、先端パッケージングと技術を共有する部分が大きくなっています。

まとめ(どちらを選ぶか)

低消費電力、高速読み出し、小型化、カメラ機能の1チップ化が必要な用途では、CMOSイメージセンサー以外の選択肢はほぼありません。CCDが今も選ばれるのは、長時間露光での低ノイズや画素間の均一性が最優先される科学計測や、既存システムとの互換性が必要な一部の産業用途です。判断の軸は、速度と集積度を取るか、特定条件での均一性を取るかにあります。

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よくある質問

CCDはもう使われていないのですか?
民生用途ではほぼCMOSイメージセンサーに置き換わりましたが、CCDは完全には消えていません。長時間露光で低ノイズが求められる天体観測や分光などの科学計測、一部の産業検査や医療用途で使われています。ただし、これらの分野でも高性能なCMOSセンサーへの移行が進んでいます。
グローバルシャッターとローリングシャッターの違いは何ですか?
グローバルシャッターは全画素を同じ瞬間に露光するため、動く被写体も歪まずに写ります。ローリングシャッターは行ごとに少しずつ時間をずらして露光・読み出しするため、高速で動く被写体が斜めに歪むことがあります。CMOSでグローバルシャッターを実現するには、画素内に電荷を一時保存する構造が必要です。
CMOSイメージセンサーの主なメーカーはどこですか?
ソニーセミコンダクタソリューションズが世界最大手で、Samsung、OmniVisionが続きます。車載や産業用ではonsemiも大きな存在感を持っています。
CMOSイメージセンサーの製造にはどんな装置が必要ですか?
CMOSロジックと共通の前工程装置に加え、BSI化のためのウェハ薄化・貼り合わせ装置、積層型のためのハイブリッドボンディング装置、カラーフィルターやマイクロレンズを形成するための塗布現像・露光装置などが必要です。

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