選択エッチング(Selective Etching)とは、複数の材料が共存する表面において、特定の材料のみを選択的に除去し、他の材料はほとんどエッチングしない高選択比エッチング技術の総称である。半導体製造において、薄膜のパターニング、ゲート構造形成、FinFETや3D NAND構造の形成、チャネル開口(Inner Spacer形成)など、多くの重要工程で活用される。
選択比(Selectivity)は「ターゲット材料のエッチングレート ÷ 残したい材料のエッチングレート」で定義され、先端プロセスでは100:1以上の超高選択比が要求されることもある。選択性はプラズマガス組成、温度、バイアス電力などのプロセス条件を精密制御することで実現される。ウェットエッチング(フッ酸系、燐酸系など)も高い選択比を示す場合があり、シリコン窒化膜の選択除去(燐酸系)はSTI形成の最終工程として広く使用されている。
GAA(Gate-All-Around)トランジスタ製造では、選択エッチングが特に重要な役割を果たす。シリコン(Si)とシリコンゲルマニウム(SiGe)を交互に積層したナノシートスタックから、SiGeのみを選択的にエッチング除去することで、チャネルとなるSiナノシートを「解放」する工程(Channel Release)がGAA形成の核心プロセスとなっている。
原子層エッチング(ALE:Atomic Layer Etching)は選択エッチングの究極形態であり、表面改質と選択的除去を1原子層ずつ繰り返すことで、1Å以下の精度でのエッチング制御を実現する。Lam ResearchはALEを「制御可能な原子精度エッチング」として製品化しており、2nm以降の先端ロジック製造に展開している。
選択エッチングの今後の課題として、新材料(High-k、Low-k、2D材料など)に対する選択性の確立、および三次元構造での等方性エッチングと異方性エッチングの精密な使い分けが挙げられる。Applied Materials、Lam Research、東京エレクトロンがドライエッチング装置市場の三強として技術開発をリードしている。