GLOSSARY

自己組織化単分子膜(SAM)とは

Self-Assembled Monolayer (SAM)
最終更新:2026-04-28製造プロセス材料

定義・解説

自己組織化単分子膜(SAM:Self-Assembled Monolayer)とは、特定の分子が基板表面に自発的に吸着・整列して形成する単分子厚の有機薄膜です。分子の頭部基(Head Group)が基板に化学結合し、疎水性または親水性の尾部基(Tail Group)が表面に規則的に配向します。半導体プロセスでは主に「エリアセレクティブ堆積(ASD:Area-Selective Deposition)」の阻害膜として活用されています。

エリアセレクティブ堆積(ASD)とは、ウェハ上の特定の材料表面にのみ選択的に薄膜を堆積し、他の表面への堆積を阻害する技術です。SAMはASDの阻害膜(インヒビター)として機能します。例えば金属表面にはSAMが吸着して後続のALD堆積を阻害する一方、酸化膜表面にはSAMが吸着せず堆積が進む、という選択性を利用します。これにより微細パターン形成に必要なリソグラフィ工程を削減できます。

SAMを用いたASDは「ボトムアップ型」パターニング技術として、EUVや電子ビームリソグラフィによる「トップダウン型」パターニングを補完・代替する技術として注目されています。特に先端ノード(3nm以下)では、リソグラフィの限界に起因する寸法変動(LWR:Line Width Roughness)を補正するリセルフアライン工程への応用が研究されています。

使用されるSAM分子の種類は基板材料と目的によって異なります。チオール系SAM(アルカンチオール等)は金・銅表面への吸着に優れ、シラン系SAM(ODTS等)は酸化シリコン・酸化アルミ表面への選択的吸着に使われます。成膜は液相処理(基板を溶液に浸漬)または気相ALD様プロセス(SAM前駆体蒸気曝露)で行います。熱安定性・化学安定性・成膜均一性が実用化の鍵です。

SAMを用いたASD技術はまだ研究・開発段階が多いですが、imec・MIT・Applied Materials・Intelなどが積極的に取り組んでいます。ASDが実用化されれば、リソグラフィ工程の削減による製造コスト低減・プロセス簡略化・欠陥密度低下が期待されます。SAM前駆体分子を提供する化学メーカー(Merck・JSR・Air Products等)と、SAM成膜を組み込んだALD装置メーカーにとって成長機会となっています。

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