SEM(Scanning Electron Microscope/走査電子顕微鏡)は、電子ビームを試料表面に走査照射し、放出される二次電子・反射電子を検出することで試料表面の形状・組成を高分解能で観察・分析する電子顕微鏡です。光学顕微鏡の分解能限界(約200nm)をはるかに超え、ナノメートルレベルの微細構造を可視化できます。半導体製造では欠陥観察・断面観察・パターン計測(CD-SEM)に広く使われています。
SEMの基本原理は、電子銃(LaB₆やFEG:電界放射型)から発射した電子ビームを電磁レンズで試料上に数nm〜数十nmの直径に収束させ、ラスタースキャンしながら各点から放出される二次電子を検出することで2次元像を形成します。試料は真空環境(約10⁻³〜10⁻⁶ Pa)に置かれます。加速電圧は500V〜30kVの範囲で調整され、低加速電圧では表面層情報を、高加速電圧では深部情報を得られます。
半導体製造での主な用途は、(1)CD-SEM(Critical Dimension SEM)によるパターン線幅・輪郭の精密計測(日立ハイテクが世界シェア約80%)、(2)レビューSEM(欠陥観察:欠陥検査装置が検出した欠陥箇所を高倍率で詳細観察)、(3)FIB-SEM(集束イオンビームと組み合わせた断面試料作製・観察:不良解析・プロセス評価)などです。
e-beam検査装置もSEMの派生技術を用い、電子線でウェハをスキャンしながら電位コントラスト(Voltage Contrast)によって電気的な欠陥(ショート・オープン)を非破壊で検出します。光学式では検出できない埋め込み欠陥の検出に強みを持ちます。
主要メーカーは日立ハイテク(CD-SEM・FIB-SEM・レビューSEM)、Carl Zeiss(FIB-SEM:Auriga・GeminiSEM)、Thermo Fisher Scientific(Helios FIB-SEM、Spectra SEM)、Applied Materials(SEMVision eBeam review)などです。解像度・スループット・低加速電圧でのコントラスト性能向上が継続的な開発テーマです。