GLOSSARY

歪シリコン(ひずみシリコン)とは

Strained Silicon
最終更新:2026-08-02製造プロセス

歪シリコン(ひずみシリコン)とは?

歪シリコンとは、トランジスタのチャネル領域に機械的な歪みを加えてキャリアの移動度を高め、駆動電流と動作速度を向上させる技術です。微細化だけでは性能向上が難しくなった90nm世代前後で本格導入され、SiGeによる圧縮歪みや窒化膜による引張歪みで、以降の高性能CMOSに不可欠な移動度ブースターとなりました。

定義・解説

歪シリコン(Strained Silicon)は、トランジスタのチャネル領域に機械的な歪み(ストレス)を加えることでキャリアの移動度を高め、駆動電流と動作速度を向上させる技術です。微細化だけでは性能向上が難しくなった90nm世代前後で本格導入され、以降の高性能CMOSに不可欠な「移動度ブースター」となりました。

歪みの種類は極性で使い分けます。nMOS(電子伝導)にはチャネルを引っ張る引張歪み、pMOS(正孔伝導)には押し縮める圧縮歪みを与えると移動度が上がります。代表的手法に、pMOSのソース・ドレインにSiGeを埋め込んで圧縮歪みを与えるeSiGe(embedded SiGe)や、応力ライナー膜(窒化膜)による歪み付与があります。

歪シリコンは、ゲート長の微細化が頭打ちになっても性能を伸ばせる手段として、デュアルストレスライナーやeSiGeといった形で各社が採用してきました。短チャネル効果やキャリア移動度(carrier-mobility)と密接に関係し、トランジスタ性能を物理的に底上げします。

FinFETやGAA(ゲートオールアラウンド/ナノシート)の世代でも、フィンやナノシートへの歪み導入による移動度向上は継続して使われています。Intel・TSMCなどがプロセスに作り込み、Applied Materialsなどの装置がSiGeエピやストレス膜成膜を担います。finfetやmobility関連の項とあわせて理解すると効果が明確になります。

よくある質問(FAQ)

なぜ歪みを加えると性能が上がるのですか?
結晶格子に歪みが加わるとバンド構造が変化し、キャリアの有効質量が小さくなったり散乱が減ったりして移動度が向上するためです。移動度が上がれば同じ電圧でより多くの電流を流せるため、トランジスタの動作速度が上がります。
nMOSとpMOSで歪みの与え方は違いますか?
違います。nMOSはチャネルに引張(tensile)歪みを加えると電子移動度が上がるため、窒化膜のストレスライナーなどを使います。pMOSは圧縮(compressive)歪みで正孔移動度が上がるため、ソース・ドレインにSiGeを埋め込む手法(eSiGe)が使われます。
歪みシリコンはいつから使われていますか?
Intelが90nm世代(2003年)で本格導入したのが実用化の代表例で、以降45nm・32nm世代とともに歪み技術も強化されてきました。FinFETやGAAの時代になっても、移動度を高める手法として引き続き使われています。

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