仕事関数一覧(金属・電極材料)
最終更新:2026-10-03
要点
仕事関数は金属の中の電子を真空へ取り出すのに必要な最小のエネルギーで、アルミニウムは約4.1〜4.3eV、タングステンは約4.5eV、白金は約5.6〜5.9eVです。MOSトランジスタのゲートの仕事関数はしきい値電圧を左右し、NMOSには約4.1eV、PMOSには約5.1eVが理想です。値は結晶面や表面の状態で変わる目安です。
主な金属・電極材料の仕事関数
| 材料 | 仕事関数(eV・目安) | 半導体での主な用途 |
|---|---|---|
| Hf(ハフニウム) | 約3.9 | 低い仕事関数の例 |
| Al(アルミニウム) | 4.1〜4.3 | 配線、NMOS向けの仕事関数調整 |
| Ta(タンタル) | 約4.25 | バリアメタル |
| Ag(銀) | 約4.3 | はんだ・電極 |
| Ti(チタン) | 約4.3 | 密着層・シリサイド |
| Cr(クロム) | 約4.5 | フォトマスクの遮光膜 |
| W(タングステン) | 4.5〜4.6 | コンタクトプラグ・ワード線 |
| Mo(モリブデン) | 4.4〜4.6 | 次世代の配線・ワード線 |
| Cu(銅) | 4.5〜4.7 | 配線 |
| Ru(ルテニウム) | 約4.7 | 次世代の微細配線 |
| Co(コバルト) | 約5.0 | 微細配線・コンタクト |
| Ni(ニッケル) | 5.0〜5.2 | シリサイド(NiSi) |
| Au(金) | 5.1〜5.4 | ワイヤ・電極 |
| Pd(パラジウム) | 5.1〜5.6 | めっき・電極 |
| Pt(白金) | 5.6〜5.9 | ショットキー電極・研究用 |
| TiN(窒化チタン) | 4.4〜4.8(組成で変化) | メタルゲート・バリア |
| TaN(窒化タンタル) | 4.0〜4.5(組成で変化) | バリア・メタルゲート |
| n⁺ポリシリコン | 約4.05 | 従来のNMOSゲート |
| p⁺ポリシリコン | 約5.17 | 従来のPMOSゲート |
※ 参考:シリコンの電子親和力は約4.05eV、バンドギャップは約1.12eVで、伝導帯の端が約4.05eV、価電子帯の端が約5.17eVにあたります。
仕事関数がトランジスタのしきい値を決める
仕事関数は、金属の中の電子を真空中へ取り出すのに必要な最小のエネルギーです。MOSトランジスタのゲートの仕事関数はしきい値電圧を直接左右し、NMOSにはシリコンの伝導帯の端に近い約4.1eV、PMOSには価電子帯の端に近い約5.1eVのゲートが理想です。ポリシリコンのゲートは不純物の型を変えるだけでこれを実現できましたが、メタルゲートでは仕事関数メタルの材料と厚さでNMOSとPMOSを作り分けます。
金属と半導体の接触でも仕事関数が重要です。理想的には金属の仕事関数と半導体の電子親和力の差でショットキー障壁の高さが決まりますが、実際には界面の準位によって障壁の高さが仕事関数にあまり依存しなくなるフェルミレベルピニングが起こります。障壁を低くして接触抵抗を下げることは、オーミック接触の形成の要になります。