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銅配線とコバルト・ルテニウム配線の違い(先端ノード配線材料の比較)

半導体の銅(Cu)配線は1997年にIBMが量産化して以来、ロジックチップの標準配線材料です。しかし5nm以下の先端ノードでは配線幅が10nm以下になり、銅の有効比抵抗がバルク値より大幅に上昇する「サイズ効果」が問題になっています。そこでコバルト(Co)・ルテニウム(Ru)・モリブデン(Mo)などの代替金属が下位金属層(M0・M1・ローカル配線)に採用され始めています。

最終更新: 2026-08-25

結論:銅(Cu)配線コバルト(Co)・ルテニウム(Ru)配線の違いは?

銅配線とコバルト・ルテニウム配線の最大の違いは「微細配線での実効比抵抗の振る舞い」です。銅はバルク比抵抗1.68μΩ・cmと最低クラスですが、配線幅10nm以下では表面散乱・粒界散乱により実効比抵抗が急上昇し、必須のTaN/Taバリアが有効断面積も削ります。Co(6.2μΩ・cm)やRu(7.1μΩ・cm)はバルクでは高抵抗でも細線での上昇が緩やかで、バリアレス成膜により断面積を最大化できるため、M0・M1などのローカル配線で採用が進んでいます。

比較表

銅(Cu)配線コバルト(Co)・ルテニウム(Ru)配線
銅(Cu)配線コバルト(Co)・ルテニウム(Ru)配線観点別比較
観点銅(Cu)配線コバルト(Co)・ルテニウム(Ru)配線
バルク比抵抗1.68 μΩ・cm(最低クラスの金属)Co: 6.2 μΩ・cm、Ru: 7.1 μΩ・cm(銅より高い)
微細配線での実効比抵抗配線幅10nm以下で急上昇(表面散乱・粒界散乱が支配的)細線でも比抵抗増加が銅より緩やか(平均自由行程が短い)
バリアメタル(ライナー)TaN/Ta等のバリアが必須(配線内での銅の有効断面積を削減)バリアレス成膜が可能な場合があり配線断面積を最大化できる
エレクトロマイグレーション耐性微細化で劣化・高温・高電流密度で断線リスクCoはCuより高いEM耐性・Ruも良好
成膜方法電解めっき(ECD)が主流CVD・ALD・スパッタが主流
採用ノード・用途M2以上のグローバル配線・セミグローバル配線M0・M1のローカル配線(TSMC 5nm/3nm・Intel 4等)
コスト材料自体は安価・電解めっきの設備も成熟材料コスト・CVD/ALD装置コストが高い

なぜ先端ノードで銅配線が限界を迎えるか

金属の電気伝導性は結晶粒界と表面での電子散乱で低下します。配線寸法が電子の平均自由行程(銅で約40nm)に近づくと、散乱の影響が急増し比抵抗が上昇します。銅の場合、配線幅が10nmを切ると実効比抵抗がバルク値の3〜5倍になるケースがあります。またバリアメタル(TaN/Ta層)の厚さが相対的に大きくなり銅の有効断面積がさらに減少します。コバルト・ルテニウムは平均自由行程が銅より短いため細線での比抵抗増加が緩やかで、バリアレス成膜も可能です。

IntelとTSMCの代替金属配線採用状況

IntelはIntel 4(7nm相当)以降、下位金属層(M0・M1)にコバルトを採用しています。TSMCのN5・N3ではローカル配線層にルテニウムの採用を段階的に拡大しています。さらにモリブデン(Mo)が下位配線での比抵抗特性でルテニウムより優れるとの研究結果が出ており、N2以降への採用が検討されています。将来の1nm台ノードでは全配線層での銅代替金属採用が必要になるという見方もあります。

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よくある質問

金(Au)や銀(Ag)は半導体配線に使えないのですか?
銀はバルク比抵抗が銅より低い(1.59μΩ・cm)ですが、シリコンへの拡散(マイグレーション)が非常に起きやすく配線材料には使えません。金は抵抗が高く(2.44μΩ・cm)コストも膨大です。銅が1990年代に採用されたのも当時の代替材料の中で最適だったためです。
コバルト配線はルテニウムより優れていますか?
用途によります。コバルトはエレクトロマイグレーション耐性が高く、IntelがM0・M1層に採用しています。ルテニウムはバリアレス成膜の安定性が高く、HKMGゲートメタルにも使われています。将来的にはモリブデンがさらに細い配線での比抵抗特性で有力候補になっています。
裏面電源供給(PowerVia・BSPDN)と配線材料の関係は?
裏面電源供給(Back Side Power Delivery Network)はウェーハ裏面に電源配線を引き回すことで表面の信号配線層を増やす技術です。IntelのPowerViaやTSMCのBSPDNが代表例です。裏面配線にも銅や代替金属が使われますが、配線長が短くなることで抵抗損失を減らせる利点があります。

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