結論:銅(Cu)配線とコバルト(Co)・ルテニウム(Ru)配線の違いは?
銅配線とコバルト・ルテニウム配線の最大の違いは「微細配線での実効比抵抗の振る舞い」です。銅はバルク比抵抗1.68μΩ・cmと最低クラスですが、配線幅10nm以下では表面散乱・粒界散乱により実効比抵抗が急上昇し、必須のTaN/Taバリアが有効断面積も削ります。Co(6.2μΩ・cm)やRu(7.1μΩ・cm)はバルクでは高抵抗でも細線での上昇が緩やかで、バリアレス成膜により断面積を最大化できるため、M0・M1などのローカル配線で採用が進んでいます。
比較表
| 観点 | 銅(Cu)配線 | コバルト(Co)・ルテニウム(Ru)配線 |
|---|---|---|
| バルク比抵抗 | 1.68 μΩ・cm(最低クラスの金属) | Co: 6.2 μΩ・cm、Ru: 7.1 μΩ・cm(銅より高い) |
| 微細配線での実効比抵抗 | 配線幅10nm以下で急上昇(表面散乱・粒界散乱が支配的) | 細線でも比抵抗増加が銅より緩やか(平均自由行程が短い) |
| バリアメタル(ライナー) | TaN/Ta等のバリアが必須(配線内での銅の有効断面積を削減) | バリアレス成膜が可能な場合があり配線断面積を最大化できる |
| エレクトロマイグレーション耐性 | 微細化で劣化・高温・高電流密度で断線リスク | CoはCuより高いEM耐性・Ruも良好 |
| 成膜方法 | 電解めっき(ECD)が主流 | CVD・ALD・スパッタが主流 |
| 採用ノード・用途 | M2以上のグローバル配線・セミグローバル配線 | M0・M1のローカル配線(TSMC 5nm/3nm・Intel 4等) |
| コスト | 材料自体は安価・電解めっきの設備も成熟 | 材料コスト・CVD/ALD装置コストが高い |
なぜ先端ノードで銅配線が限界を迎えるか
金属の電気伝導性は結晶粒界と表面での電子散乱で低下します。配線寸法が電子の平均自由行程(銅で約40nm)に近づくと、散乱の影響が急増し比抵抗が上昇します。銅の場合、配線幅が10nmを切ると実効比抵抗がバルク値の3〜5倍になるケースがあります。またバリアメタル(TaN/Ta層)の厚さが相対的に大きくなり銅の有効断面積がさらに減少します。コバルト・ルテニウムは平均自由行程が銅より短いため細線での比抵抗増加が緩やかで、バリアレス成膜も可能です。
IntelとTSMCの代替金属配線採用状況
IntelはIntel 4(7nm相当)以降、下位金属層(M0・M1)にコバルトを採用しています。TSMCのN5・N3ではローカル配線層にルテニウムの採用を段階的に拡大しています。さらにモリブデン(Mo)が下位配線での比抵抗特性でルテニウムより優れるとの研究結果が出ており、N2以降への採用が検討されています。将来の1nm台ノードでは全配線層での銅代替金属採用が必要になるという見方もあります。