比較トランジスタ最終更新 2026-10-19

FinFETとGAAトランジスタの違い

FinFETは垂直に立つシリコンフィンの三面をゲートで囲む構造で、22nm世代から広く採用されました。GAAはナノシート(または円柱状のナノワイヤ)の全周をゲートが包む構造で、ゲート制御性がさらに高まります。Samsungは3nm世代からGAAを採用し、TSMCも次世代ノードでの移行を進めており、微細化の主役が交代しつつあります。

結論

FinFETとGAAの最大の違いは「ゲートがチャネルを囲む面数」です。FinFETは垂直に立つシリコンフィンの三面をゲートが囲む構造で、22nm世代から広く採用されました。GAAは水平ナノシートの全周をゲートが包む四面ゲート構造で、短チャネル効果の抑制がさらに進み、ナノシートの枚数・幅で駆動力を柔軟に設計できます。Samsungが3nm世代から、TSMCもN2世代からGAAへ移行しています。

主な違い

FinFETとGAA(ナノシート)の観点別比較
観点FinFETGAA(ナノシート)
ゲートが接触する面フィンの3面(三面ゲート)チャネルの全周(四面ゲート)
チャネル形状垂直フィン(幅5〜7nm程度)水平ナノシート(複数枚積層)
ゲート制御性・短チャネル効果抑制FinFETで大幅に改善、ただし限界がある全周ゲートでさらに高い制御性を実現
電流駆動力の調整フィン本数で調整(段階的)ナノシートの枚数・幅で柔軟に設計可能
製造プロセスの複雑さ成熟、装置エコシステムが確立犠牲層(SiGe/Si超格子)の選択エッチング等が追加
主な採用ノード22nm〜5nm(TSMC/Samsung)3nm以降(Samsung GAA、TSMC N2等)

なぜGAAへの移行が必要になったか

FinFETはフィン幅の縮小とともにゲート制御性の限界が近づき、短チャネル効果(SCE)の抑制が困難になりました。GAAはチャネル全周をゲートが包むため静電制御が本質的に優れており、同じノードでのリーク電流削減と電流駆動力の両立が可能です。また、ナノシートの積層数・幅を変えることで、同一プロセス内で高性能型と低消費電力型のトランジスタを混在設計できる柔軟性も大きな利点です。

プロセス装置への影響

GAAの製造ではSiとSiGe(シリコンゲルマニウム)を交互に積層した超格子構造を形成し、その後SiGe犠牲層を選択的に除去してナノシートチャネルを解放するプロセスが加わります。この選択エッチングには高い選択比(SiGe/Si選択比100以上)が要求され、原子層エッチング(ALE)技術や新世代のエッチング装置、さらに高精度なALD(原子層堆積)による内側ゲート絶縁膜・ゲート金属形成が不可欠です。

よくある質問

GAAはいつから量産されましたか?
Samsungが2022年に3nmノードでGAA(MBCFET)量産を開始したのが世界初とされています。TSMCはN2世代(2nmノード相当)からGAA(ナノシートFET)を採用する計画です。
GAAとナノワイヤの違いは何ですか?
ナノワイヤは円柱状の細いシリコン柱をゲートが全周で囲む構造です。GAAナノシートはナノワイヤを横に押しつぶして平板状にしたもので、同じ幅あたりの電流駆動力が高く設計の自由度が増します。現在の量産GAAはほぼナノシート型です。
FinFETからGAAへの移行でどんな装置が新たに必要になりますか?
SiGe/Si超格子形成のためのエピタキシャル成長装置、高選択比のSiGe除去向けエッチング装置(原子層エッチング含む)、ナノシート内側へのゲート絶縁膜・金属ゲート形成のためのALD装置高度化が特に重要です。

あわせて読む


出典・参考資料

  1. Applied Materials「FinFET」(2026/10/16 確認)
  2. Applied Materials「Gate-All-Around」(2026/10/16 確認)
  3. 日本半導体歴史館(SHMJ)「Early 2010s: Full-scale use of FinFETs has started」(2026/10/16 確認)
  4. TSMC「2nm Technology」(2026/10/10 確認)