SEMICONDUCTOR BASICS — 比較記事

原子層エッチング(ALE)とプラズマエッチング(RIE)の違い

反応性イオンエッチング(RIE)は半導体前工程の主力エッチング技術で、プラズマで活性化したラジカル・イオンを使って連続的に薄膜を除去します。原子層エッチング(ALE)は表面改質ステップとイオン除去ステップを交互に繰り返し、原子層(0.1〜数Å)単位でエッチングを制御できる次世代技術です。5nm以下の先端ノードでGAA・EUV後処理・High-NA EUVパターン整形でALEの採用が急増しています。

最終更新: 2026-08-02

結論:原子層エッチング(ALE)プラズマエッチング(RIE)の違いは?

ALEとRIEの最大の違いは「自己制限反応で原子層単位に制御できるか」です。ALEは表面改質ステップとイオン除去ステップを交互に繰り返し、0.1〜数Å/サイクルという原子層レベルの制御が可能で、自己制限により高選択比が得られ低エネルギーイオンでダメージも小さく抑えられます。RIEはプラズマで連続的にエッチングするため高速・高スループットですが、高エネルギーイオンによる下地ダメージが発生しやすくなります。

比較表

原子層エッチング(ALE)プラズマエッチング(RIE)
原子層エッチング(ALE)プラズマエッチング(RIE)観点別比較
観点原子層エッチング(ALE)プラズマエッチング(RIE)
エッチング制御単位原子層〜数Å/サイクル(自己制限反応)連続エッチング(レート制御)
エッチング精度極めて高い(原子層レベルの均一性)ALEより精度は低いが高速・高スループット
選択比(下地材への影響)高選択比が実現しやすい(自己制限で止まる)材料によっては選択比確保が難しい
プラズマダメージ低エネルギーイオン使用でダメージが少ない高エネルギーイオンで下地へのダメージが発生しやすい
スループット(処理速度)遅い(多サイクルが必要)速い(連続エッチングで高スループット)
装置コスト・複雑性高い(精密なガス切替・制御が必要)成熟した装置・コスト最適化済み
主な適用箇所GAAナノシートリリース・EUVパターン修正・FinFETプロファイル整形トレンチ・コンタクトホール・ゲートスタック・ビア形成全般
主要装置メーカーLam Research(EOS・Vector ALE)・TEL・Applied MaterialsLam Research・TEL(Tactras)・Applied Materials・Hitachi High-Tech

GAAナノシート製造でALEが必須になる理由

GAA(ゲートオールアラウンド)トランジスタのナノシートチャネル形成では、Si/SiGeの積層膜からSiGeを選択的に除去してシリコンナノシートを開放する「ナノシートリリース」工程が必要です。この工程ではSiGeのみを原子層単位で選択除去し、シリコンチャネルへのダメージを最小化する必要があります。連続プラズマエッチングでは選択比確保が困難なため、ALE(特にサーマルALE)が採用されます。TSMC N2・Intel 18A・Samsung 3GAE以降のGAA採用ノードではALEが標準プロセスになっています。

EUVパターン整形とALEの組み合わせ

EUV露光後のレジストパターンはラインエッジラフネス(LER)・ラインウィズスラフネス(LWR)などの寸法ばらつきを含みます。ALE(特に等方性ALE)でレジストパターンを均一に数Å削ることで、粗さを平滑化しファイナル寸法精度を高める用途(Smoothing ALE)が実用化されています。High-NA EUVでは確率論的欠陥の影響が増大するため、EUV後のALE処理がパターン品質を確保する上で重要性を増しています。

関連ページ

ドライエッチング vs ウェットエッチング 比較
ALD vs CVD 比較
EUV vs DUV 比較
FinFET vs GAA 比較
High-NA EUV vs EUV 比較
エッチング装置カテゴリ

よくある質問

ALEは将来すべてのエッチング工程をRIEに代替しますか?
そうはならないと見られています。ALEは精度が要求される特定工程(ナノシートリリース・EUV後処理・ゲート整形等)に適用されますが、スループットが低くコストが高いため、精度が許容される大部分の工程ではRIEが引き続き使われます。AとRIEの最適な組み合わせが先端プロセスの設計となります。
サーマルALEとプラズマALEは何が違いますか?
サーマルALEは熱エネルギーのみを使い化学吸着と熱脱離で原子層除去を行います。プラズマダメージがゼロで選択比が高い反面、処理温度が高くプロセス設計が複雑です。プラズマALEはプラズマイオン・ラジカルを使い、より広い材料・温度範囲で適用できます。GAAのSiGeリリースにはサーマルALEが多く使われます。
Lam ResearchとApplied Materialsのどちらがエッチング装置市場をリードしていますか?
エッチング装置市場はLam Researchが世界シェア45〜50%でリードしており、ALE装置でも先行しています。Applied Materialsはエッチングよりも成膜(CVD・ALD・PVD)で強みがあります。TEL(東京エレクトロン)はアジア市場を中心に強い存在感を持ち、Tactrasシリーズ等でシェアを伸ばしています。

関連する比較記事

エッチング

ドライエッチングとウェットエッチングの違い

読む →
装置部品

石英部品とセラミック部品の違い(装置内部材の比較)

読む →

レーザーアニールとRTP(急速熱処理)の違い

読む →

トランスファーモールドとコンプレッションモールドの違い

読む →
設計・AI

CPUとGPUの違い(アーキテクチャ・用途・製造プロセス比較)

読む →

関連するデータ・ツール

データ半導体製造装置サプライヤー相関図(工程別)計算ツール圧力・真空度の単位換算ツール(Torr・Pa・mbar)
← 比較記事一覧に戻る