トランスファーモールドとコンプレッションモールドの違い
半導体パッケージの封止(モールド)工程には、金型内にEMC(エポキシモールドコンパウンド)を注入するトランスファーモールドと、金型内にEMCを直接充填・加圧するコンプレッションモールドの2方式があります。従来はトランスファーモールドが主流でしたが、パッケージ薄型化・大面積化(ファンアウト・ウェハレベルパッケージング)の普及によりコンプレッション方式の採用が急増しています。
結論
トランスファーモールドとコンプレッションモールドの最大の違いは「EMCの供給方法」です。トランスファーモールドはタブレット状のEMCを溶融し、ランナー・ゲートを通じて金型キャビティに注入する方式で、QFP・BGA・QFNなど従来型パッケージが中心ですが、ゲート部の制約で0.5mm以下の薄型化が困難です。コンプレッションモールドは顆粒・液状EMCをキャビティに直接充填して上下の金型で加圧するため、ゲート跡がなくFOWLP・FOPLP・薄型BGAに適します。
主な違い
| 観点 | トランスファーモールド | コンプレッションモールド |
|---|---|---|
| 成形原理 | EMCタブレットを溶融し、ランナー・ゲートを通じて金型キャビティに注入 | 顆粒・液状EMCをキャビティに直接充填し、上下の金型で加圧成形 |
| 材料形態 | タブレット状固形EMCが主流 | 顆粒状・液状・フィルム状のEMCに対応 |
| 主な適用パッケージ | QFP・BGA・QFN・リードフレームパッケージなど従来品が中心 | FOWLP(ファンアウトウェハレベル)・FOPLP(パネルレベル)・薄型BGA |
| 薄型化対応 | ゲート部分の制約で薄型化(<0.5mm)が難しい | 直接加圧のためゲート跡がなく、より薄型パッケージに対応 |
| 大面積対応 | 金型サイズに制約(個別パッケージ対応が基本) | ウェハ全体・パネル全体を一括封止できる |
| EMC廃材 | ランナー・カルのEMC廃材が発生 | 廃材が少ない(充填量を制御しやすい) |
| スループット | 高い(量産ラインで確立された技術) | 改善が進んでいるが大面積処理には時間がかかる場合も |
| 装置コスト | 成熟した技術で装置コストは安定 | 新型装置のため初期投資が高い傾向 |
FOWLP/FOPLPでコンプレッションモールドが主役になった理由
ファンアウトウェハレベルパッケージング(FOWLP)では、チップをウェハ全面に配置してEMCで一括封止し、再配線層(RDL)を形成します。この工程ではウェハ(直径300mm)またはパネル(600×600mm以上)を丸ごと封止するため、トランスファーモールドのゲート注入方式では均一な充填が困難です。コンプレッションモールドは均一加圧により大面積・薄型封止を実現し、TSMCのInFO・AMKORのSWIFT・ASEのFoCoS等の先端パッケージ技術の基盤となっています。
よくある質問
半導体の封止(モールド)に使われる材料は何ですか?
EMC(エポキシモールドコンパウンド:Epoxy Mold Compound)が主流です。エポキシ樹脂に充填材(シリカ)・硬化剤・難燃剤などを配合した熱硬化性材料です。低線膨張係数・低吸湿性・高絶縁性が求められ、パッケージの信頼性(熱衝撃・落下耐性)を大きく左右します。
トランスファーモールドとコンプレッションモールドはどちらが主流ですか?
従来品(QFP・BGA・QFN等)では今もトランスファーモールドが主流です。一方、ファンアウト型(FOWLP/FOPLP)や薄型パッケージ向けには、コンプレッションモールドの採用が急速に拡大しています。用途・パッケージ構造によって使い分けられています。
封止装置の主要メーカーはどこですか?
TOWA(東和)・Apic Yamada(アピック山田)が封止専業メーカーとして有名です。また、BESI(BEセミコンダクター)・ASMPT(アズムプト)も封止装置を手がけています。Nordsonはディスペンス・充填装置分野で関連技術を提供しています。
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出典・参考資料
- SCREENセミコンダクターソリューションズ「初心者のための半導体入門:モールディング」(2026/10/10 確認)