最終更新 2026-10-19

電子ビーム描画とは

E-Beam Mask Writer
目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. 設備の製造メーカー
  4. 関連する製品
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

電子ビーム描画装置(E-Beam Mask Writer)は、フォトマスク製造において、電子ビームをマスクブランク上に精密に照射・走査することでパターンを直接描画する装置です。光リソグラフィと異なり「マスクなしで」任意のパターンを書けるため、マスク製造の必須設備です。高エネルギー電子ビームを集束・偏向させてレジストに露光し、現像・エッチング後にマスクパターンが形成されます。

電子ビーム描画装置には主に2種類あります。ガウシアンビーム方式(Gaussian beam)は細く絞った電子ビームで逐次走査する方式で、単純・低コストですが時間がかかります。可変成形ビーム方式(VSB:Variable Shaped Beam)はビームを矩形に成形して面積露光するため高速ですが、複雑形状には多数の照射が必要です。さらに現在は多電子ビーム方式(マルチビーム)が最先端で、数千本の電子ビームを並列で描画します。

マルチビーム描画装置(MBES:Multi-Beam E-beam System)はIMS Nanofabricationsが開発し、AppliedMaterialsとのJVによりマスマーケット展開しています。従来のVSB方式に比べ10〜100倍の描画スループットを実現し、EUV用マスク(大量の複雑なOPC補正パターンを含む)の現実的な製造時間での描画を可能にしました。

描画精度の指標として、CDU(Critical Dimension Uniformity)と位置精度(Registration)が重要です。先端EUVマスクでは、CDU 1σ<0.5nm、Registration 2σ<1nm程度の精度が求められます。この精度を達成するために、電子光学系の収差補正、ステージ干渉計による位置制御、温度・振動・電磁場の精密管理が行われます。

マスク描画時間はマスクコストの主要要因の一つです。EUV用マスクの描画に従来のVSB装置では24時間以上かかるケースもあり、スループット向上が製造コスト削減の鍵です。装置メーカーとしてはNuFlare Technology(東芝子会社)、IMS Nanofabricationsが主要プレイヤーで、寡占的な市場となっています。

図解

電子ビーム描画装置の方式(可変成形ビームとマルチビーム)の比較
マスク製造に欠かせない装置。先端マスクではマルチビームの採用が進む。

この用語を扱う職種

前工程(ウェハプロセス)フォトマスクエンジニア

設備の製造メーカー

この用語に関連する製品

型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

JBX-8100FS日本電子(JEOL)・電子ビーム直接描画装置
ELS-BODEN シリーズエリオニクス・電子ビーム直接描画装置
MBM-3000ニューフレアテクノロジー・マスク描画装置(EB描画)
JBX-3200MVS日本電子(JEOL)・マスク描画装置(EB描画)

デバイスの製造メーカー

TSMC(台湾積体電路製造)台湾

世界最大の半導体ファウンドリ。3nm、5nm、7nmなど最先端プロセスノードで業界をリード。Apple、NVI…

Samsung Electronics(サムスン電子)韓国

世界最大のメモリメーカーであり、先端ロジックファウンドリでもあるIDM。DRAM・NANDフラッシュで市場をリ…

Intel米国

世界最大のCPUメーカー。従来はIDMとして自社プロセスでCPUを製造してきたが、Intel Foundry …

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. 日本電子(JEOL)「JBX-8100FS 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  2. エリオニクス「ELS-BODEN シリーズ 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  3. ニューフレアテクノロジー「MBM-3000 製品ページ」(2026/10/07 確認)