最終更新 2026-10-07

レチクルとは(フォトマスク)

Reticle / Photomask

レチクル(フォトマスク)とは、回路パターンをウェハに転写するための原板です。石英基板上にクロムや位相シフト材料でパターンを描画し、露光装置がこれを一般に1/4へ縮小投影します。1枚のレチクルが1つの配線層に対応するため、先端チップの製造には数十〜百枚以上が必要で、EUV用は反射型でペリクルの扱いも異なります。

目次8項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連する製品
  6. 関連用語
  7. 比較・違いを学ぶ
  8. 出典・参考資料

定義・解説

レチクル(Reticle)とは、半導体リソグラフィで使用されるフォトマスクの一種であり、回路パターンをウェハに転写するための「原板」です。石英(SiO₂)基板上にクロム(Cr)または位相シフト材料で回路パターンを描画したもので、露光装置がウェハ上に縮小投影(一般的に4倍縮小、4×レチクル)します。1枚のレチクルには1世代分の配線層パターンが含まれ、先端チップの製造には数十〜百枚以上のレチクルが使われます。

レチクルの製造プロセスは「電子ビーム(EB)描画」→「現像・エッチング」→「検査・修正」→「洗浄」の流れで行われます。EB描画にはNuflare Technology(ニューフレアテクノロジー)やJEOL製のマスク描画装置が使用されており、Nuflareは世界シェア80%超の圧倒的な市場地位を持ちます。描画後の欠陥検査にはLasertec(レーザーテック)のマスク検査装置が使われ、特にEUVマスク向けの「Actinic(実波長)検査機」はLasertecが世界唯一の供給メーカーです。

EUVレチクルはDUVレチクルと根本的に構造が異なります。DUVレチクルが透過型(光を通す)なのに対し、EUVレチクルは反射型で、Mo/Si多層膜ミラー基板上にRu・TaN吸収体パターンが形成されます。また、EUVは大気中の酸素・水分でも吸収されるため、搬送・保管には専用のEUVレチクルポッド(EUVレチクル対応SMIF)が使用されます。EUVレチクルのブランクス製材は信越化学・SKエレクトロニクスが主要サプライヤーです。

OPC(Optical Proximity Correction:光近接効果補正)はレチクルパターン設計の重要技術です。光の回折・干渉により実際の転写パターンが設計値からずれる「光近接効果」を補正するため、レチクル上のパターンをあらかじめ意図的に変形させます。先端ロジックでは数十億個以上のOPC補正点があり、EDA(電子設計自動化)ツールによる高性能計算が必要です。InverseリソグラフィーやAI活用OPCなど新手法の研究も進んでいます。

レチクルの管理・保護も半導体製造の重要課題です。ペリクル(Pellicle)と呼ばれる薄膜保護フィルムをレチクル表面に取り付け、パーティクル付着によるパターン欠陥を防ぎます。DUV用ペリクルは比較的容易に製造できますが、EUV用ペリクルはEUV光の高透過率(90%以上)と耐熱・耐久性の両立が困難で、三井化学・旭化成・ASMLが開発を競っています。

図解

レチクル(フォトマスク)の縮小投影・必要枚数・DUV用とEUV用の違い
露光装置用のマスクを特にレチクルと呼ぶ。

関連するデータ・ツール

計算・換算ツールオーバーレイ・EPE 誤差バジェット計算ツール

この用語を扱う職種

前工程(ウェハプロセス)OPCエンジニア(計算リソグラフィ)

よくある質問(FAQ)

レチクルとフォトマスクの違いは何ですか?
厳密には、ウェハ全面のパターンを1:1で持つものをフォトマスク、一部の領域(ショット)を縮小投影するものをレチクルと呼びます。現在の縮小投影露光ではほぼすべてレチクルが使われるため、実務上は両者がほぼ同義で使われています。
レチクルは1枚いくらくらいしますか?
成熟ノード向けの単純なレチクルは数十万円程度ですが、先端ロジック向けの位相シフトマスクやOPCを施したものは1枚数千万円、EUV用レチクルはさらに高価です。先端チップ1製品には数十〜百枚以上のレチクルセットが必要で、合計では数億〜数十億円規模になります。
EUVレチクルは従来のレチクルと何が違いますか?
EUV光はあらゆる物質に吸収されるため、光を透過させる従来型ではなく、多層膜ミラーで反射させる反射型マスクになります。Mo/Siの多層膜を約40〜50ペア積層した上に吸収体でパターンを描き、扱いも真空中に限られます。ペリクルも透過率と耐熱性の両立が難しく、EUV固有の課題です。

設備の製造メーカー

この用語に関連する製品

型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

Centura® Tetra™ Z Photomask EtchApplied Materials・マスクエッチング装置
JBX-3200MVS日本電子(JEOL)・マスク描画装置(EB描画)
Teron™ 6xx シリーズKLA・マスク検査装置
Centura® Tetra™ EUV Advanced Reticle EtchApplied Materials・マスクエッチング装置

関連する装置カテゴリ

同じトピックの用語

EUV露光・リソグラフィ のトピックで関連する用語です。

同じトピックの企業

キヤノン(Canon)日本カール・ツァイスSMT(Carl Zeiss SMT)ドイツコーニング・トロペル(Corning Tropel)米国

比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. Applied Materials「Centura® Tetra™ Z Photomask Etch 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  2. 日本電子(JEOL)「JBX-3200MVS 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  3. KLA「Teron™ 6xx シリーズ 製品ページ」(2026/10/07 確認)