GLOSSARY

ホットキャリア注入(HCI)とは

Hot Carrier Injection
最終更新:2026-09-01信頼性試験装置

ホットキャリア注入(HCI)とは?

ホットキャリア注入(HCI)とは、トランジスタのドレイン近傍の強い電界で加速された高エネルギーのキャリアが、ゲート絶縁膜に飛び込んで界面準位やトラップを生成し、デバイス特性を経時的に劣化させる信頼性現象です。微細化でチャネルが短くなり電界が強まるほど顕在化するため、ドレイン構造の工夫で緩和します。

定義・解説

ホットキャリア注入(HCI:Hot Carrier Injection)は、トランジスタのドレイン近傍の強い電界で加速された高エネルギーのキャリア(ホットキャリア)が、ゲート絶縁膜に飛び込んで界面準位やトラップを生成し、デバイス特性を経時的に劣化させる信頼性現象です。微細化でチャネルが短くなるほど顕在化します。

メカニズムは、ドレイン端の高い横方向電界が電子(または正孔)を加速し、衝突電離(インパクトイオン化)でさらにキャリアを増やしつつ、一部が酸化膜中へ注入されることによります。チャネルが短いほど電界が強まるため、短チャネル効果(short-channel-effect)と表裏一体の問題です。

HCIが進むと、しきい値電圧のシフトや相互コンダクタンス(gm)の低下、駆動電流の減少が起こり、回路の速度・特性が経年で変化します。NBTIやTDDBと並ぶ主要な経時劣化モードであり、長期信頼性設計で必ず考慮されます。

対策としては、ドレイン近傍の電界を緩和するLDD(低濃度ドレイン)やエクステンション構造、電源電圧のスケーリングなどが用いられます。nbti・tddbとあわせて評価され、信頼性試験で寿命が見積もられます。short-channel-effectの項と関連づけると、微細化と信頼性のトレードオフが理解できます。

よくある質問(FAQ)

ホットキャリアはなぜ発生するのですか?
ドレイン近傍では電界が最も強くなり、そこを通過するキャリアが十分に加速されて格子との衝突で失うエネルギーより多くのエネルギーを得るためです。この高エネルギー状態のキャリアが「ホット」と呼ばれ、ゲート絶縁膜の障壁を越えて飛び込みます。
HCIとNBTIはどう違いますか?
HCIはドレイン近傍の強電界で加速されたキャリアが原因で、スイッチング動作中(電流が流れているとき)に進行します。NBTIは負バイアスと高温が原因で、電流が流れていない状態でも進行します。劣化のメカニズムも発生条件も異なります。
HCIの対策は何ですか?
ドレイン近傍の電界を緩和する構造が基本で、LDD(Lightly Doped Drain)構造が代表的です。加えて動作電圧の低減や、微細化に伴うチャネル設計の最適化で緩和します。

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