NBTI(Negative Bias Temperature Instability:負バイアス温度不安定性)は、pMOSFETに負のゲート電圧を高温で印加し続けると、しきい値電圧(Vth)が時間とともに上昇し、駆動能力が低下していく信頼性劣化現象です。長期間動作させる先端CMOSの寿命とタイミングマージンを決める、重要な経時劣化モードの一つです。
メカニズムは、ゲート絶縁膜とシリコンの界面(SiO₂/Si界面)での界面準位の生成や、膜中への正孔トラップによるものと考えられています。温度が高いほど、また電界が強いほど劣化が加速し、High-k絶縁膜の導入でその挙動はさらに複雑になりました。pMOSのNBTIに対し、nMOSにはPBTI(正バイアス側)が対応します。
NBTIによりVthが上がるとトランジスタが遅くなるため、回路の動作速度が経年で低下し、設計時に見込んだタイミングマージン(ガードバンド)を消費します。バイアスを取り除くと劣化が一部回復する「リカバリー現象」があるのも特徴で、これが評価・モデル化を難しくしています。
対策は、ゲート絶縁膜の材料・プロセス最適化、適切なガードバンド設計、動作電圧・温度の管理などです。ホットキャリア注入(HCI)やTDDBと並ぶ主要劣化要因として、DTCO(設計-技術協調最適化)や信頼性試験で重点的に評価されます。tddbやhot-carrier-injectionの項とあわせて理解すると信頼性設計の全体像が見えます。