最終更新 2026-10-19

NBTIとは(負バイアス温度不安定性)

Negative Bias Temperature Instability

NBTI(負バイアス温度不安定性)とは、pMOSFETに負のゲート電圧を高温で印加し続けると、しきい値電圧が時間とともに上昇し駆動能力が低下していく信頼性劣化現象です。長期間動作させる先端CMOSの寿命とタイミングマージンを決める重要な経時劣化モードで、設計段階でのマージン確保が必要になります。

目次6項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 関連用語
  5. 比較・違いを学ぶ
  6. 出典・参考資料

定義・解説

NBTI(Negative Bias Temperature Instability:負バイアス温度不安定性)は、pMOSFETに負のゲート電圧を高温で印加し続けると、しきい値電圧(Vth)が時間とともに上昇し、駆動能力が低下していく信頼性劣化現象です。長期間動作させる先端CMOSの寿命とタイミングマージンを決める、重要な経時劣化モードの一つです。

メカニズムは、ゲート絶縁膜とシリコンの界面(SiO₂/Si界面)での界面準位の生成や、膜中への正孔トラップによるものと考えられています。温度が高いほど、また電界が強いほど劣化が加速し、High-k絶縁膜の導入でその挙動はさらに複雑になりました。pMOSのNBTIに対し、nMOSにはPBTI(正バイアス側)が対応します。

NBTIによりVthが上がるとトランジスタが遅くなるため、回路の動作速度が経年で低下し、設計時に見込んだタイミングマージン(ガードバンド)を消費します。バイアスを取り除くと劣化が一部回復する「リカバリー現象」があるのも特徴で、これが評価・モデル化を難しくしています。

対策は、ゲート絶縁膜の材料・プロセス最適化、適切なガードバンド設計、動作電圧・温度の管理などです。ホットキャリア注入(HCI)やTDDBと並ぶ主要劣化要因として、DTCO(設計-技術協調最適化)や信頼性試験で重点的に評価されます。tddbやhot-carrier-injectionの項とあわせて理解すると信頼性設計の全体像が見えます。

図解

NBTI(負バイアス温度不安定性)によるpMOSの劣化の流れ
長く動かす先端CMOSの寿命とタイミングの余裕を決める劣化の1つ。

この用語を扱う職種

後工程(実装・テスト)信頼性エンジニア

よくある質問(FAQ)

NBTIはなぜ起きるのですか?
pMOSFETに負のゲート電圧を高温で印加し続けると、ゲート絶縁膜とシリコンの界面にあるSi-H結合が切れ、界面準位や正の固定電荷が生成されるためです。これがしきい値電圧を上昇させ、駆動電流を低下させます。
NBTIとPBTIの違いは何ですか?
NBTIは負バイアスを受けるpMOSFETで起きる劣化、PBTI(正バイアス温度不安定性)は正バイアスを受けるnMOSFETで起きる劣化です。従来のSiO₂ゲートではNBTIが支配的でしたが、High-k(HfO₂)ゲートの導入によりnMOS側のPBTIも無視できなくなりました。
NBTIは設計でどう扱いますか?
経年でしきい値が上がり回路が遅くなることを前提に、タイミング解析の段階で劣化後の特性を織り込んだマージンを確保します。製品寿命(例えば10年)にわたって仕様を満たすよう、エージング解析を行うのが一般的です。

デバイスの製造メーカー

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世界最大の半導体ファウンドリ。3nm、5nm、7nmなど最先端プロセスノードで業界をリード。Apple、NVI…

Intel米国

世界最大のCPUメーカー。従来はIDMとして自社プロセスでCPUを製造してきたが、Intel Foundry …

Samsung Electronics(サムスン電子)韓国

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比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. JEDEC「NBTI」(2026/10/10 確認)
  2. JEDEC「A PROCEDURE FOR MEASURING P-CHANNEL MOSFET NEGATIVE BIAS TEMPERATURE INSTABILITIES」(2026/10/10 確認)