HTOL(High Temperature Operating Life:高温動作寿命試験)とは、デバイスを高温かつ規定以上の電圧で連続動作させ、通常使用時の寿命を推定する加速寿命試験です。125℃前後で1,000時間の連続動作が代表的な条件で、車載など高信頼が要求される用途ではさらに長時間・高温の条件が課されます。
目的はバーンインとはっきり異なります。バーンインは初期不良(バスタブ曲線の左側)を出荷前に炙り出して取り除くスクリーニング工程であり、全数または抜取りで実施して不良品を除去します。対してHTOLは摩耗故障(右側)の発生時期を推定する評価試験で、少数のサンプルを長時間ストレスにさらし、そこから製品寿命とFIT(故障率)を見積もります。合否ではなく寿命予測が成果物です。
加速の考え方はアレニウス則に基づきます。温度を上げると化学的・物理的な劣化反応が指数関数的に速く進むため、高温での短時間試験を常温での長時間動作に換算できます。活性化エネルギーを仮定して加速係数を求め、1,000時間の試験結果を10年相当の使用条件に読み替える、といった計算を行います。電圧ストレスによる加速も併用されます。
HTOLで顕在化するのは、主に前工程起因の摩耗劣化です。TDDB(ゲート酸化膜の経時破壊)、NBTI(負バイアス温度不安定性)、HCI(ホットキャリア注入)、エレクトロマイグレーションといった機構が高温・高電圧で加速され、しきい値電圧のシフトや配線抵抗の増大として現れます。試験前後で電気特性を測定し、規定の変動幅に収まっているかを判定します。
実施には恒温槽とバーンインボード、動作させるためのパターン発生機能が必要で、ESPEC・Chroma ATE・Aehr Test Systemsなどが装置を供給します。新規プロセスや新製品の立ち上げ時、そしてプロセス変更時に実施される、信頼性認定(クオリフィケーション)の中核試験です。