多値セル(MLC:Multi-Level Cell)は、1つのメモリセルに2ビット以上の情報を記憶する方式です。1セルに1ビットのSLC(Single-Level Cell)に対し、2ビットのMLC、3ビットのTLC(Triple-Level Cell)、4ビットのQLC(Quad-Level Cell)と、1セルあたりの記憶ビット数を増やすことで、同じ面積でより大容量・低コストなメモリを実現します。主にNANDフラッシュで使われます。
仕組みは、セルに蓄える電荷量(しきい値電圧)を多段階に作り分け、その段階を読み分けることで複数ビットを表現します。1ビットなら2段階、2ビットなら4段階、3ビットなら8段階と、ビット数を増やすほど1段階あたりの電圧マージンが狭くなります。
多値化はビット単価を下げる一方で、しきい値分布が近接するため、読み書き速度の低下、書き換え可能回数(耐久性)の減少、エラー率の上昇というトレードオフを伴います。これを補うため、強力なECC(誤り訂正)、リードリトライ、書き込みアルゴリズムの高度化が不可欠です。
3D NANDの多層化と多値化を組み合わせることで、SSDの大容量化・低価格化が進んできました。nand-flashや3d-nand、charge-trap-flash、nor-flashの各項とあわせて読むと、フラッシュメモリの大容量化技術が理解できます。Samsung・Kioxia・Micronなどが量産をリードします。