最終更新 2026-10-19

NANDフラッシュメモリとは

NAND Flash Memory

NANDフラッシュメモリとは、フローティングゲートまたはチャージトラップに電荷を蓄えてデータを記録する不揮発性メモリです。セルを直列(NAND)接続することで高密度・大容量・低ビットコストを実現し、SSD・スマートフォンのストレージ・USBメモリに使われます。現在の量産品はほぼすべてセルを垂直に積む3D NANDで、積層数の競争が続いています。

目次9項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. 紛らわしい言葉の切り分け
  4. よくある質問
  5. 設備の製造メーカー
  6. 関連する製品
  7. 関連用語
  8. 比較・違いを学ぶ
  9. 出典・参考資料

定義・解説

NANDフラッシュはSSD・スマートフォン・USBメモリに使われる不揮発性メモリ。SLC/MLC/TLC/QLCで容量・寿命・速度が変わる。3D NAND(200層超)の仕組み、Samsung・SK Hynix・Kioxia・Micronのシェアと最新技術動向をわかりやすく解説。

NAND Flashは、複数のフローティングゲートトランジスタをNAND(否定論理積)接続した不揮発性半導体メモリです。電源を切っても記憶を保持でき、SSD(ソリッドステートドライブ)・スマートフォンのストレージ・USBメモリ・データセンターのフラッシュストレージとして世界中で大量に使われています。

NAND Flashは記憶方式によって、SLC(1セルに1ビット:高速・高耐久性)、MLC(1セルに2ビット)、TLC(1セルに3ビット:現在の主流)、QLC(1セルに4ビット:大容量・低価格)に分類されます。セルあたりのビット数が増えるほど大容量・低コストになりますが、耐久性(書き換え回数)と速度は低下します。

現代のNAND Flashは3D NANDと呼ばれる立体構造を採用しており、セルを垂直方向に積み重ねることで面積効率を飛躍的に向上させています。2015年にSamsungが初めて量産を開始し、現在は200層以上の積層が実現されています(Samsung、SK Hynix、Kioxia/WD、Micron、Intel(旧SolidIgm)が主要メーカー)。

3D NANDの製造では、数十〜200層以上のSiO₂/SiN交互積層のCVD、超高アスペクト比(100:1以上)のトレンチエッチング(チャネルホールとスリット形成)、High-k材料(Al₂O₃、HfO₂)のALD成膜、多重金属充填など高難度プロセスが連続します。層数増加に伴い、エッチングの均一性制御が最大の技術課題です。

NAND Flash市場はデータセンターのAI・クラウドストレージ需要を主要ドライバーとし、QLC大容量SSDへのシフトと3D NANDの積層数競争が続いています。AIサーバーの普及に伴うデータ量の爆発的増加が、長期的なNAND Flash需要を下支えしています。

図解

NANDフラッシュのフローティングゲート方式とチャージトラップ方式の比較
どちらも電荷の量でしきい値電圧が変わることを使って記憶する。

紛らわしい言葉の切り分け

NANDとNOR。メモリセルのつなぎ方が違います。NANDはセルを直列につなぐため集積度が高く大容量向き、NORは並列につなぐためランダム読み出しが速く、プログラムをそのまま実行する用途に向きます。 比較記事 →

2D NANDと3D NAND。2D NANDはセルを平面に並べ、微細化で容量を増やしてきました。3D NANDはセルを縦方向に積み重ね、層数を増やすことで容量を増やします。現在の量産品は3D NANDです。 比較記事 →

SLC・MLC・TLC・QLC。1セルに何ビット記憶するかの違いで、順に1・2・3・4ビットです。ビット数が増えるほど容量単価は下がりますが、書き換え耐性と書き込み速度は下がります。

NANDとDRAM。違いは電源を切るとデータが消えるかどうかです。DRAMは消える揮発性メモリで、高速な作業用メモリに使います。NANDは残る不揮発性メモリで、SSDやスマートフォンのストレージに使います。 比較記事 →

MRAMとNANDフラッシュ。違いは記録の原理です。MRAMは磁気トンネル接合の磁化の向きで記録し、書き込みが速く書き換え回数にほぼ制限がないため、組み込みメモリに向きます。NANDは電荷の蓄積で記録し、書き込みは遅く回数も限られますが、大容量で安価なためストレージに使われます。 比較記事 →

関連するデータ・ツール

計算・換算ツール3D NAND 容量・ビット密度 計算ツール

この用語を扱う職種

設計・デバイス開発メモリ設計エンジニア

よくある質問(FAQ)

NANDフラッシュメモリとは何ですか?
電源を切ってもデータが消えない不揮発性メモリです。SSDやスマートフォンのストレージ、USBメモリに使われます。
SLC/MLC/TLC/QLCの違いは?
1セルに記録するビット数の違いです。SLC(1bit)が高速・長寿命、QLC(4bit)が大容量・低コストで、用途で使い分けます。
3D NANDとは?
メモリセルを垂直に積み重ねて容量を増やす方式です。200層を超える積層でビットあたりのコストを下げ続けています。

設備の製造メーカー

この用語に関連する製品

型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

T5851/T5851ESアドバンテスト・メモリテストシステム
Vantex®Lam Research・酸化膜エッチャー
Axion® T2000KLA・光学式寸法測定装置(OCD)
CV7300日立ハイテク・CD-SEM
XP8 Magma PEALDASMインターナショナル・ALD装置
Aspect®Onto Innovation・光学式寸法測定装置(OCD)
CIRIUS シリーズレーザーテック・欠陥検査装置
Magnum VTeradyne(テラダイン)・メモリテストシステム
T5835アドバンテスト・メモリテストシステム
Metior®Lam Research・膜厚計測装置
Magnum 2Teradyne(テラダイン)・メモリテストシステム
T5830アドバンテスト・メモリテストシステム

ほか 6 製品は製品一覧から探せます。

デバイスの製造メーカー

Samsung Electronics(サムスン電子)韓国

世界最大のメモリメーカーであり、先端ロジックファウンドリでもあるIDM。DRAM・NANDフラッシュで市場をリ…

SK hynix(SKハイニックス)韓国

世界第2位のDRAMメーカー、第3位のNANDフラッシュメーカー。AI/HPC向けHBM(高帯域メモリ)で業界…

Micron Technology(マイクロン)米国

米国最大のメモリメーカー。DRAM、NANDフラッシュの両方を製造し、データセンター、自動車、産業用途に強み。

関連する装置カテゴリ

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アドバンテスト日本

比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. 東京エレクトロン nanotec museum「半導体用語集:NAND型フラッシュメモリ」(2026/10/07 確認)
  2. アドバンテスト「T5851/T5851ES 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  3. Lam Research「Vantex® 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  4. KLA「Axion® T2000 製品ページ」(2026/10/07 確認)