3D NAND(3D NAND Flash)は、フラッシュメモリセル(NAND型)を平面ではなく垂直方向(Z軸方向)に多層積層した構造のNAND型フラッシュメモリです。平面(2D)NANDではセルの微細化によって容量を増やしてきましたが、スケーリングの物理的限界(セル干渉・書き込み回数劣化・歩留まり低下)に直面したため、層数を増やすことで容量を拡大する3D化が主流となりました。Samsung・SK Hynix・Micron・Kioxia・Western Digital・YMTCが主要サプライヤーです。
3D NANDの主要技術方式には、(1)Charge Trap Flash(CTF)方式:Samsung V-NAND・SK Hynix・Micron・Kioxia/WDが採用。セル絶縁膜(SiN)に電荷を蓄積する構造で、スケーリングに有利。(2)Floating Gate(FG)方式:初期のIntel/Micronが採用するも現在は主流から外れています。現在は各社とも100層超(Samsung:286層、SK Hynix:321層、Micron:276層)の高層数化競争を展開しています。
3D NANDの製造では、多数の薄膜層(SiO₂/SiN交互成膜→一括エッチングでチャンネルホール形成)を積層するプロセスが必要です。チャンネルホール(高アスペクト比50:1以上)の形成にはLam Research・Tokyo Electronのエッチング装置が、各層の成膜にはApplied Materials・Lam Research・TELのCVD/ALD装置が使われます。層数増加に伴い一製品当たりのウェハ処理時間が延びるため、生産性向上が主要課題です。
3D NANDはSSD・eMMC・UFS(スマートフォン用)・エンタープライズストレージの主記憶媒体として普及しており、AIデータセンターのストレージ容量需要増大を背景に旺盛な需要があります。各セルのビット数によりSLC(1ビット)・MLC(2ビット)・TLC(3ビット)・QLC(4ビット)に分類され、ビット数が増えるほど容量単価は下がりますが、書き込み耐久性・速度は低下します。
3D NANDの最新技術動向として、(1)200〜300層超の高層数化(Samsung 1000層超を宣言)、(2)QLC・PLC(5ビット)化によるビット単価の低減、(3)CMOS under Array(CuA)構造によるフットプリント縮小、(4)スループット向上のための高速書き込みアーキテクチャ、(5)YMTC(中国)の台頭による供給・価格競争激化などが競われています。