最終更新 2026-10-10

ゲートスタックとは

Gate Stack
目次7項目
  1. 定義・解説
  2. 図解
  3. よくある質問
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連用語
  6. 比較・違いを学ぶ
  7. 出典・参考資料

定義・解説

ゲートスタック(Gate Stack)とは、MOSFETのゲート構造を形成する薄膜の積層体全体を指す用語です。現代の先端ロジックにおける標準的なHKMGゲートスタックは、Si基板側から①界面層(Interfacial Layer:SiON、~0.3〜0.8nm)→②High-k誘電体(HfO₂系、~2〜5nm)→③仕事関数メタル(WF Metal:TiN/TaN/TiAlC等、各1〜5nm×複数層)→④低抵抗ゲート充填金属(W/Co/Ru等)の4層構造で構成されます。

各層の役割は明確に分担されています。①界面層(SiON)はSi基板とHigh-k誘電体の間の界面欠陥密度(Dit)を低減し、キャリア移動度を守る役割を果たします。②High-k誘電体(HfO₂)はEOTを最小化しながらゲート容量を確保しリーク電流を抑制します。③仕事関数メタル(WF Metal)はNFET/PFETの閾値電圧を決定します。④ゲート充填金属(タングステン・コバルト・ルテニウム)はゲート電極の低抵抗化(Rg低減)を担います。ゲートスタック設計はこれら全層の特性を同時最適化する複雑なエンジニアリングです。

ゲートスタックの形成はRMG(リプレースメントメタルゲート)プロセスで行われます。ダミーポリシリコンを除去したゲートトレンチに対し、ALD(原子層堆積)で各層を順次堆積します。界面層形成(熱酸化またはプラズマ窒化)→High-k(HfO₂)ALD→仕事関数メタルALD(複数サイクル)→充填金属CVD/ALD→CMP平坦化の順です。各層の成膜後にはIn-situ計測や膜厚モニタリングで品質を確認します。

GAAトランジスタではゲートスタックの形成難易度が格段に高まります。複数のナノシート(3〜4枚スタック)の間隔(約5〜8nm)に全ての層を均一に充填する必要があり、特に充填金属(ルテニウム・コバルト)のボイドフリー充填とその後のCMP均一性が歩留まりを直接決定します。またゲートスタック形成後にCFET(相補型FET)では同一ゲートトレンチ内にNFET・PFETの異なる仕事関数メタルを分離形成する「Gate-Cut + Regrowth」技術が必要になります。

ゲートスタックの主要装置サプライヤーは、ALD成膜装置でASM International・Applied Materials・Lam Research・東京エレクトロン(TEL)、ゲート充填金属(ルテニウムALD)でASM International・Applied Materials(Endura Ru)が特に強みを持ちます。膜厚・組成計測はKLA(エリプソメーター・光学式)・Bruker(XRR)・日立ハイテク(TEM-EDX)が担います。前駆体材料はMerck・Entegrisが主要サプライヤーです。

図解

HKMGゲートスタックの層構成(充填金属・仕事関数メタル・High-k膜・界面層・チャネル)
各層はnm以下の厚さで、ALDで作られることが多い。

関連するデータ・ツール

計算・換算ツールEOT・MOSキャパシタ(C–V特性)計算ツール

よくある質問(FAQ)

ゲートスタックとは何ですか?
ゲートスタック(Gate Stack)とは、MOSFETのゲート機能を実現する薄膜の積層構造全体です。現代の先端ロジックでは、Si基板側から①界面層(SiON:〜0.3〜0.8nm)→②High-k誘電体(HfO2系:〜2〜5nm)→③仕事関数メタル(WF Metal:TiN/TiAlC等、各1〜5nm複数層)→④低抵抗充填金属(W/Co/Ru等)の4層構成が標準です。
ゲートスタックの各層の役割は何ですか?
各層には明確な役割があります。①界面層(SiON):Si基板とHigh-kの界面欠陥(Dit)を低減しキャリア移動度を守る。②High-k誘電体(HfO2):EOTを最小化しゲート容量を確保、リーク電流を抑制。③仕事関数メタル(WF Metal):NFET/PFETの閾値電圧(Vth)を精密に設定。④充填金属(W/Co/Ru):ゲート電極全体の抵抗(Rg)を低減し高周波特性を改善。
ゲートスタックはどのように形成されますか?
RMGプロセスで形成されます。ダミーポリシリコンゲートを除去したトレンチに対し、①熱酸化またはプラズマ窒化でSiON界面層形成、②HfO2前駆体(TDMAH・HfCl4)のALDでHigh-k成膜、③仕事関数メタル(TiN/TiAlC)のALDを複数サイクル積層、④低抵抗充填金属(ルテニウムALD・タングステンCVD)を充填、⑤Gate CMPで平坦化、の順に進みます。
GAAトランジスタのゲートスタック形成でFinFETとの違いは?
GAAではナノシート(3〜4枚)間の狭いギャップ(5〜8nm)に全てのゲートスタック層を形成する必要があります。FinFETのゲートはフィン外面を囲むだけでしたが、GAAはナノシートを全周から囲む構造です。ALDのコンフォーマル性・充填金属のボイドフリー充填・WF Metal層のGate-Cut(ゲート分断)技術が新たな難題として加わります。ゲートスタック形成の工程数はFinFETの1.5〜2倍程度増加します。
ゲートスタックの主要装置・メーカーは?
ALD装置(High-k/WF Metal成膜):ASM International・Applied Materials・Lam Research・東京エレクトロン。充填金属(Ru ALD):ASM International・Applied Materials(Endura)が特に強み。計測装置(膜厚・組成):KLA(エリプソメーター)・Bruker(XRR)・日立ハイテク(TEM)。前駆体材料:Merck・Entegrisが主要サプライヤーです。

設備の製造メーカー

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出典・参考資料

  1. SCREENセミコンダクターソリューションズ「初心者のための半導体入門:High-k膜技術」(2026/10/10 確認)