ステルスダイシング(Stealth Dicing:SD)は、ウェハ内部にレーザー光を集光して改質層(多光子吸収による加工痕)を形成し、その後のエキスパンド(テープ拡張)でウェハを割断して個片化する、DISCOが実用化したダイシング技術です。ブレード(砥石)で削り取る従来法と違い、表面を物理的に切削しないため、切りくず(デブリ)が発生せず、極薄ウェハや脆い材料の加工に適します。
最大の利点は、カーフ(切り代)がほぼゼロで、チッピング(端面の欠け)や微小クラックを大幅に抑えられることです。これによりダイの抗折強度が向上し、メモリの多段積層やカード用途など、50μm以下に薄化したウェハでも高い歩留まりで個片化できます。乾式(ドライ)プロセスのため、純水や切削水を使わない点も洗浄負荷の低減につながります。
プロセスは、ウェハ厚みに応じてレーザーの集光位置(改質層の深さ)を複数段に分けて形成し、ダイシングテープのエキスパンドで応力を加えて割断します。MEMSやイメージセンサーのように表面構造を傷つけたくないデバイス、SiCなど硬脆材料の加工にも応用が広がっています。
ステルスダイシングはDISCOの登録商標・中核技術であり、レーザーダイシングやプラズマダイシングと並ぶ次世代の個片化手法として位置づけられます。ブレードダイシングが残すコスト・スループット上の優位とのトレードオフを踏まえ、薄型・高信頼が求められる用途で採用が進んでいます。