バックグラインダー(Back Grinder)とは、半導体ウェハの回路が形成された表面(おもて面)とは反対の裏面を研削し、ウェハを薄型化する後工程装置です。デバイス完成後のウェハ(完成後厚さ通常750〜780μm)を50〜150μmまで薄くすることで、パッケージの薄型化・放熱性向上・チップ積層(3D積層)への対応を可能にします。スマートフォン・ウェアラブル・メモリの薄型化需要に伴い、さらに極薄(20〜50μm)化の要求が高まっています。
バックグラインドのプロセスは「バックラッピング」→「ファインポリッシュ」→「ストレスリリーフ」の3段階で構成されます。第1段階の荒研削(Coarse Grinding)でダイヤモンド砥石を使い高速に材料除去し、第2段階の仕上げ研削(Fine Grinding)で表面粗さを低減します。最終段階ではプラズマエッチングや化学機械研磨(CMP)で研削ダメージ層を除去し、チップ強度を確保します。研削前にはウェハおもて面保護のためバックグラインドテープ(BGテープ)の貼付が必須です。
バックグラインダー市場では東京精密(Tokyo Seimitsu、ACCRETECH)と岡本工作機械(Okamoto)の日本2社が世界シェアの過半数を占めます。特に東京精密はウェハプローバーとの一体ソリューションで半導体メーカーとの深い顧客関係を持ちます。DISCOも裏面研削装置を提供しており、後工程全体のソリューションプロバイダーとして強みを発揮しています。
3D NANDメモリ・HBMスタッキング・先進パッケージング(CoWoS・SoIC等)の普及に伴い、バックグラインドの重要性は急速に高まっています。TSV(シリコン貫通電極)形成では、TSV後に200μm以下の薄型化が必要です。また「DBG(Dicing Before Grinding)」プロセスでは、先にダイシングで溝を入れた後でバックグラインドしてチップに分割するため、ダイ割れリスクと薄型化の両立が可能になります。
SiC(炭化ケイ素)パワー半導体の普及もバックグラインダー市場に大きな影響を与えています。SiCはシリコンより硬く(モース硬度9.5)、通常のSi向けの砥石では研削効率が大幅に低下します。SiC専用の超硬ダイヤモンド砥石・研削条件の最適化・研削後の表面品質確保が課題であり、EV・電力インフラ需要の拡大を背景にSiC対応バックグラインダーの開発競争が続いています。