TEOS(Tetraethyl Orthosilicate:テトラエトキシシラン、Si(OC₂H₅)₄)は、シリコン酸化膜(SiO₂)をCVDで形成する際に広く使われる液体の原料(前駆体)です。常温で液体のため気化させて供給し、熱やプラズマで分解・反応させてウェハ上に酸化膜を堆積します。シラン(SiH₄)を使う酸化膜より段差被覆性(コンフォーマル性)に優れ、膜質も良好なことから、層間絶縁膜やSTI埋め込みに多用されます。
TEOSを用いた酸化膜成膜には複数の方式があります。PE-TEOS(プラズマCVD)は低温で高スループットに層間絶縁膜(ILD)を形成し、SACVD(準大気圧CVD)でオゾンと組み合わせるO₃-TEOSは優れた段差被覆性で狭いギャップを埋め込みます。LPCVDによる高温TEOS酸化膜は均一性に優れ、ゲート周辺やスペーサ形成に使われます。
TEOSベースの酸化膜は、配線間を絶縁する層間膜、素子分離のSTI(シャロートレンチアイソレーション)埋め込み、サイドウォールスペーサ、パッシベーション膜など、半導体製造のあらゆる工程で使われる最も基本的な絶縁膜形成手段の一つです。膜中の水分・炭素残留や応力の制御が、デバイス信頼性に影響します。
TEOSなどの高純度プリカーサは、Tosoh・Air Liquide・Merck(Versum)・Entegrisなどの電子材料メーカーが供給します。先端プロセスでは低誘電率(Low-k)膜やフローアブルCVDへと材料が多様化していますが、TEOS酸化膜は成熟・先端を問わず幅広いノードで使われ続ける基幹材料です。