GLOSSARY

Low-k絶縁膜(低誘電率材料)とは

Low-k Dielectric
最終更新:2026-08-30成膜装置CMP装置

定義・解説

Low-k絶縁膜(Low-k Dielectric、低誘電率材料)は、多層配線の層間絶縁膜(ILD:Inter-Layer Dielectric)に使用される、低い誘電率(k<3.9)を持つ材料の総称です。従来の層間絶縁膜材料であるSiO₂(k≈3.9)よりも誘電率を下げることで、配線間の寄生容量を低減し、信号遅延(RC遅延)と消費電力を削減することが目的です。

配線の微細化が進むと隣接配線間の距離が狭まり、配線間容量(寄生キャパシタンス)が増加してRC遅延が大きくなります。この問題への対策が低誘電率材料の採用です。k値が下がるほど配線遅延が小さくなるため、ロジックチップの動作速度向上と省電力化に直結します。

Low-k材料の主な種類として、フッ素添加SiO₂(FSG、k≈3.5〜3.7)、炭素添加SiO₂(CDO、SiOC、k≈2.7〜3.3)、多孔質SiO₂や多孔質SiOC(Porous Low-k、k≈2.0〜2.5)があります。Air Gap(k≈1.0、真空に近い誘電率)を配線間に形成するUltra Low-k技術も先端ノードで採用されています。

多孔質Low-k材料は機械的強度・熱伝導率・化学耐性がSiO₂より低く、CMP工程でのダメージや銅の拡散(信頼性低下)が課題です。また、CVD成膜やUVキュア(多孔質化のためのUV照射硬化)の最適化が膜質管理の鍵となります。先端ロジック(5nm以下)では特定の配線層にAir Gap(配線間に意図的に空隙を設ける)構造が採用されています。

Low-k材料の成膜には主にPECVD(プラズマ強化CVD)とスピンコート(SOD:Spin-On Dielectric)が使われます。主要材料サプライヤーはMerck(SILK、Aurora)、Honeywell(NANOGLASS)、JSR、Dow(CYCLOTENE)などです。配線遅延の問題は先端ノードでの主要な性能ボトルネックであり、Low-k技術の重要性は変わりません。

銅ダマシン配線では、Low-k膜へのトレンチ/ビア形成 → バリアメタル(TaN/Ta)成膜 → Cuシード層スパッタ → 電解めっき → CMP平坦化という工程を、配線層ごとに繰り返します。多孔質Low-kは機械的強度が低いため、CMPの圧力による剥離・クラックや、エッチング/アッシングのプラズマによるk値劣化を抑える条件出しが各層で必要になります。

設備の製造メーカー

Applied Materials米国

世界最大の半導体製造装置サプライヤー。成膜、除去、改質、分析の包括的な製品ポートフォリオで、ウェーハ製造の全工…

企業詳細を見る →
Lam Research米国

エッチング装置の世界的リーダー。約39%の市場シェアを持ち、原子層エッチング(ALE)技術で先端3Dチップアー…

企業詳細を見る →
DuPont(半導体材料)米国

化学大手DuPontの電子材料部門。Low-k絶縁材・銅配線CMP材料・ArFフォトレジスト・半導体実装向け接…

企業詳細を見る →
Merck KGaA(半導体材料)ドイツ

ドイツの特殊化学・製薬大手Merck KGaAの半導体材料部門。ALD前駆体・高誘電材料・フォトマスクブランク…

企業詳細を見る →
Honeywell Electronic Materials米国

米国ハネウェルの電子材料部門。半導体製造向け特殊ガス(NF3・WF6・HF)・フォトレジスト・低誘電率(Low…

企業詳細を見る →

関連カテゴリ

成膜装置
CMP装置
材料

関連用語

CMPとは →銅配線(ダマシン法)とは →成膜とは →エレクトロマイグレーションとは →CVDとは →ALDとは →バリアメタルとは →PVDとは →PECVDとは →スクラッチ(CMP傷)とは →メタルCMP(Cu・W研磨)とは →

同じトピックの用語

配線・メタライゼーション のトピックで関連する用語です。

コバルト配線とは →ルテニウム配線とは →モリブデン配線とは →デュアルダマシンとは →多層配線とは →裏面配線技術とは →

同じトピックの企業

東京エレクトロン(TEL)日本荏原製作所日本ASMインターナショナルオランダKokusai Electric(国際電気)日本

比較・違いを学ぶ

銅配線とコバルト・ルテニウム配線の違い(先端ノード配線材料の比較)
半導体の銅(Cu)配線は1997年にIBMが量産化して以来、ロジックチップの標準配線材料です。しかし5nm以下の先端ノードでは配線幅が10nm以下になり、銅の有
銅配線とアルミ配線の違い(半導体配線の比較)
アルミ配線は古くから使われた成膜+エッチングで形成する配線、銅配線は低抵抗・高信頼性を求めて導入されたダマシン(溝埋め込み)で形成する配線です。1990年代後半
Cu-CMPとW-CMPの違い(メタルCMPの比較)
メタルCMPは、配線を作るための「余分な金属を削り落とす」工程です。銅ダマシン配線の余剰Cu除去と、コンタクトプラグのタングステン除去という二大用途がありますが
ALDとPVDの違い(原子層成膜 vs スパッタ成膜)
ALD(Atomic Layer Deposition:原子層堆積)とPVD(Physical Vapor Deposition:物理気相成長)は、どちらも半導
← 用語集に戻る