最終更新 2026-10-19

熱酸化とは

Thermal Oxidation
目次8項目
  1. 定義・解説
  2. 製造工程フローでの位置
  3. 図解
  4. 設備の製造メーカー
  5. 関連する製品
  6. 関連用語
  7. 比較・違いを学ぶ
  8. 出典・参考資料

定義・解説

熱酸化(Thermal Oxidation)は、シリコンウェハを高温(800〜1200℃)の酸化性雰囲気(乾燥酸素またはスチーム)にさらすことで、ウェハ表面のシリコンと酸素を反応させてシリコン酸化膜(SiO₂)を形成するプロセスです。1960年代から用いられる最も基礎的な半導体プロセスの一つで、形成されるSiO₂の品質と界面の清浄さが極めて高いことが特長です。

熱酸化は2つのモードに分かれます。乾燥酸化(Dry Oxidation)は純粋な酸素(O₂)を用い、成長速度は遅いですが緻密で高品質な薄膜が得られ、ゲート酸化膜など品質を最優先する用途に使われます。湿式酸化(Wet Oxidation)は水蒸気(H₂O)を用い、成長速度が速く厚い酸化膜の形成(フィールド酸化膜・STI補助)に適しています。

熱酸化によって形成されるSiO₂の最大の特長は、Si/SiO₂界面の欠陥密度が極めて低い点です。この清浄な界面は、トランジスタのゲートリーク電流の低減とキャリア移動度の維持に寄与します。ただし、一般的な熱酸化では酸化膜厚さが増すにつれ成長速度が低下するため(Deal-Grove モデル)、数nm以下の超薄膜ゲート絶縁膜の形成には限界があります。

現代の先端ロジックでは、ゲート絶縁膜として従来のSiO₂に代わりHigh-k材料(HfO₂など)がALDで形成されます。それでも熱酸化は、ゲート絶縁膜直下のInversion LayerのSiON界面層(1〜2nm)の形成、STI(浅溝素子分離)の酸化ライニング、パッシベーション膜など、多くの工程で依然として使われています。

熱酸化装置は縦型・横型の拡散炉(Diffusion Furnace)が主流で、東京エレクトロン(TEL)、Kokusai Electric(旧日立国際電気)、ASM International(垂直炉)が主要サプライヤーです。温度均一性と酸化雰囲気の清浄度の管理が膜品質を決定する重要な因子です。

製造工程フローでの位置

熱酸化は全21ステップのうち STEP 4 にあたります(青枠)。

前工程(ウェハプロセス)後工程(組立・実装・テスト)01シリコンウェハの準備02エピタキシャル成長03↻洗浄04熱酸化05↻成膜06↻レジスト塗布07↻露光(リソグラフィ)08↻エッチング09↻アッシング(レジスト除去)10イオン注入11アニール(活性化熱処理)12↻CMP(平坦化)13↻配線形成(ダマシン)14↻ウェハ検査・計測15ウェハテスト(プロービング)16ウェハ薄化(裏面研削)17ダイシング18ダイボンディング19ワイヤボンディング20モールディング(封止)21最終テスト
↻ は配線などの層の数だけ繰り返す工程です。各工程をクリックすると用語解説へ進みます。

図解

熱酸化のドライ酸化とウェット酸化の比較(速さ・膜質・用途)
800〜1200℃で行う、最も基本的な半導体プロセスの1つ。

関連するデータ・ツール

計算・換算ツール熱酸化膜厚計算ツール(Deal-Groveモデル)計算・換算ツール薄膜応力・ウェハ反り 計算ツール(Stoney の式)計算・換算ツール酸化膜の色と膜厚 計算ツール(干渉色)

設備の製造メーカー

この用語に関連する製品

型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

TELINDY PLUS東京エレクトロン(TEL)・拡散炉
SONORAASMインターナショナル・拡散炉
QUIXACE®-IIKokusai Electric(国際電気)・CVD装置
VF-5700光洋サーモシステム・LPCVD(低圧CVD)
Vantage® RadOx™ RTPApplied Materials・RTP(急速熱処理)装置
H83/H84ULVAC(アルバック)・拡散炉
TELFORMULA™東京エレクトロン(TEL)・拡散炉
AdvancedAce®-IIKokusai Electric(国際電気)・LPCVD(低圧CVD)
VF-1000H光洋サーモシステム・アニール炉
ALPHA-8SE™ i東京エレクトロン(TEL)・拡散炉
VERTEX RevolutionKokusai Electric(国際電気)・酸化炉
VF-5300H光洋サーモシステム・酸化炉

ほか 1 製品は製品一覧から探せます。

関連する装置カテゴリ

同じトピックの用語

イオン注入・熱処理 のトピックで関連する用語です。

同じトピックの企業

Axcelis Technologies米国住友重機械イオンテクノロジー日本日新イオン機器日本PSK Holdings韓国Mattson Technology米国ウシオ電機日本

比較・違いを学ぶ

出典・参考資料

  1. 東京エレクトロン(TEL)「TELINDY PLUS 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  2. ASMインターナショナル「SONORA 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  3. Kokusai Electric(国際電気)「QUIXACE®-II 製品ページ」(2026/10/07 確認)