アニール(熱処理)とは

Annealing / Thermal Processing

最終更新:2026-10-07・前工程装置|用語集のExcel・PDF版をダウンロード

定義・解説

アニール(Annealing/熱処理)は、半導体製造において、ウェハを特定の温度プロファイルで加熱することで、材料の物性を変化させる熱処理工程の総称です。イオン注入後の結晶ダメージ回復・不純物の活性化、薄膜の緻密化・応力緩和、金属シリサイド形成、熱酸化膜の品質改善など、多様な目的で適用されます。

主なアニール手法はプロセス目的によって使い分けられます。炉アニール(Furnace Anneal)はバッチ処理で均一性が高く、長時間・低温の熱処理(酸化膜の緻密化、水素アニールなど)に適しています。RTP(Rapid Thermal Processing)は単枚ウェハを数秒〜数十秒で急速加熱・冷却し、ドーパント活性化(スパイクアニール)や金属シリサイド形成に使います。

フラッシュランプアニール(FLA)やレーザーアニール(Laser Spike Anneal:LSA)は、ミリ秒〜マイクロ秒の超短時間加熱で表面のみを1000℃以上に加熱します。これにより、深い領域への熱拡散を防ぎつつドーパントを最大限活性化でき、先端ロジック(3〜5nm)のソース/ドレイン浅接合形成に不可欠な技術です。

イオン注入後のアニールでは、注入によって非晶質化(アモルファス化)した結晶領域を回復(固相エピタキシャル再成長:SPER)し、電気的に活性な置換位置にドーパント(ボロン、リン、ヒ素など)を配置します。アニール温度・時間・雰囲気(N₂、H₂、Ar)の最適化が、デバイスの接合深さ・シート抵抗・漏れ電流に直接影響します。

主要装置メーカーは、RTP/フラッシュ/レーザーアニールではApplied Materials(Vantage Radiance、Vantage Astra)、Mattson Technology、Screen Semiconductor Solutionsなどです。温度計測の精密化(パイロメーター、サーモカップル)とプロセス再現性の向上が装置競争力の鍵となっています。

製造工程フローでの位置

アニール(熱処理)は全21ステップのうち STEP 11 にあたります(青枠)。

前工程(ウェハプロセス)後工程(組立・実装・テスト)01シリコンウェハの準備02エピタキシャル成長03↻洗浄04熱酸化05↻成膜06↻レジスト塗布07↻露光(リソグラフィ)08↻エッチング09↻アッシング(レジスト除去)10イオン注入11アニール(活性化熱処理)12↻CMP(平坦化)13↻配線形成(ダマシン)14↻ウェハ検査・計測15ウェハテスト(プロービング)16ウェハ薄化(裏面研削)17ダイシング18ダイボンディング19ワイヤボンディング20モールディング(封止)21最終テスト
↻ は配線などの層の数だけ繰り返す工程です。各工程をクリックすると用語解説へ進みます。

図解

アニール(熱処理)の目的(活性化・緻密化・シリサイド・界面改善・銅の粒成長)
目的に応じて、炉・RTP・ミリ秒・ナノ秒アニールを使い分ける。

関連するデータ・ツール

計算ツール半導体エンジニアのための単位換算ツール計算ツールイオン注入プロファイル計算ツール(Rp・ピーク濃度・接合深さ)計算ツール不純物拡散(拡散係数・接合深さ)計算ツール

設備の製造メーカー

Kokusai Electric(国際電気)日本

バッチ式縦型CVD・熱処理装置の世界的リーダー。酸化・窒化・ALD成膜を高スループットで実現し、DRAM・NA…

Applied Materials米国

世界最大の半導体製造装置サプライヤー。成膜、除去、改質、分析の包括的な製品ポートフォリオで、ウェーハ製造の全工…

この用語に関連する製品

型番は各社の公式製品ページで確認したものです。出典のリンクは各製品ページに載せています。

Vantage Vulcan RTPApplied Materials・RTP(急速熱処理)装置
TELINDY PLUS東京エレクトロン(TEL)・拡散炉
SONORAASMインターナショナル・拡散炉
QUIXACE®-IIKokusai Electric(国際電気)・CVD装置
VF-5700光洋サーモシステム・LPCVD(低圧CVD)
Helios® XPMattson Technology・RTP(急速熱処理)装置
LA-3100SCREENホールディングス・レーザーアニール装置
VertaCure™ XPYield Engineering Systems(YES)・ベーク・UVキュア装置
Therma-Probe® 680XPKLA・イオン注入量測定装置
熱電対付きシリコンウェーハ AW シリーズ安立計器工業・センサウェハ(T/C付ウェハ)
Vantage® Astra™ DSAApplied Materials・レーザーアニール装置
AdvancedAce®-IIKokusai Electric(国際電気)・LPCVD(低圧CVD)

ほか 5 製品は製品一覧から探せます。

関連カテゴリ

同じトピックの用語

イオン注入・熱処理 のトピックで関連する用語です。

同じトピックの企業

Axcelis Technologies米国住友重機械イオンテクノロジー日本日新イオン機器日本PSK Holdings韓国Mattson Technology米国ウシオ電機日本

比較・違いを学ぶ

レーザーアニールとRTP(急速熱処理)の違い
RTP(Rapid Thermal Processing)はハロゲンランプで基板全体を数秒〜数十秒で1000°C以上に急速加熱するのに対し、レーザーアニール(L…
→
イオン注入と熱拡散の違い(不純物導入プロセスの比較)
イオン注入(Ion Implantation)は不純物(ドーパント)をイオン化・加速して基板に物理的に打ち込む方法で、ドーズ量と加速エネルギーにより濃度と接合深…
→
スパイクアニールとフラッシュランプアニールの違い
イオン注入したドーパントを活性化するには高温が要りますが、高温に留まればドーパントが拡散して接合が深く広がってしまいます。この矛盾をどう解くかが活性化アニールの…
→
ビームライン式イオン注入とプラズマドーピングの違い
どちらもウェハにドーパントを打ち込む手法ですが、イオンの届け方が根本的に違います。ビームライン式は「選別したイオンを一本のビームにして走査する」、PLADは「プ…
→

出典・参考資料

  1. Applied Materials「Vantage Vulcan RTP 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  2. 東京エレクトロン(TEL)「TELINDY PLUS 製品ページ」(2026/10/07 確認)
  3. ASMインターナショナル「SONORA 製品ページ」(2026/10/07 確認)
← 用語集に戻る用語集をExcel・PDFで使う →