ウェーハ生産能力(Wafer Capacity)とは、半導体ファブ(製造工場)が一定期間内に処理できるウェーハの総枚数を指し、通常は「wafer starts per month(月間投入枚数)」または「wafer outs per month(月間出荷枚数)」で表現される。300mmウェーハ換算(WEqv:Wafer Equivalent)での統一比較が業界標準であり、TSMCの月産能力は2024年時点で約130〜140万枚/月(300mm換算)と推定されている。
ウェーハ生産能力の構成要素として、①インストール容量(物理的に設置可能な装置容量)、②有効稼働容量(稼働率×装置台数×スループット)、③歩留まり率(良品率)がある。有効生産能力は装置稼働率(通常85〜95%)と技術ノード毎の歩留まりに大きく依存するため、単純な装置台数から生産能力を推定することは難しい。
先端ノードと成熟ノードでの生産能力の動向が異なる。2nm/3nmなどの先端ロジックはTSMC・Samsung・Intelの限られたファブに集中しており、供給弾力性が低い。一方、28nm以上の成熟ノードは中国メーカー(SMIC・CXMT等)の積極的なキャパシティ追加により世界的な供給過多が発生している(2024〜2025年)。
ウェーハ生産能力の拡張(Capacity Expansion)は巨額の設備投資を伴う。最新鋭の300mm EUVファブの建設コストは一棟あたり200〜300億ドルに達し、月産10万枚規模のファブ立ち上げには3〜5年の工期が必要である。このリードタイムの長さがシリコンサイクルの需給アンバランスを生む主要因のひとつである。
ウェーハ生産能力のモニタリング指標として、SEMI発行のWorld Fab Watch(ファブ別設備投資・生産能力データベース)やICInsightsのMCMC Report が業界で広く参照されている。AI・データセンター向け需要の急増により先端ノードの生産能力はほぼ満杯状態が続いており、2026〜2028年に計画されている新ファブ稼働まで供給タイト局面が継続すると見込まれている。