半導体サイクルとは

Semiconductor Cycle

最終更新:2026-10-07・製造プロセス|用語集のExcel・PDF版をダウンロード

定義・解説

半導体サイクル(Semiconductor Cycle)とは、半導体産業における需要と供給のアンバランスによって周期的に発生する景気の拡大期(ブーム)と収縮期(ダウンターン)の波動現象を指す。「シリコンサイクル」とも呼ばれ、過去の歴史では概ね3〜4年周期でアップサイクルとダウンサイクルが繰り返してきた。サイクルの振幅と長さはキャパシティ投資の大型化と技術転換期によって変動し、業界全体の設備投資(CAPEX)戦略に大きな影響を与える。

半導体サイクルの発生メカニズムとして、①需要の急増期に供給不足が発生→②各社が過剰投資を行い新規ファブを稼働→③供給過多となり価格が急落→④在庫調整・設備投資抑制のダウンターン→⑤需要回復で再びブーム、というブルウィップ効果(Bullwhip Effect)が根本にある。製品リードタイムが長く(ファブ建設に2〜3年)、在庫調整に時間がかかる産業特性がサイクルを増幅させる。

近年のサイクルの特徴として、①AIサーバー向けHBM・先端ロジックがサイクルから切り離されて高成長を維持する一方、②スマートフォン・PC向けコモディティDRAM・NANDがサイクルの影響を強く受ける「二極化」が進んでいる。2022〜2023年のダウンターンではNAND価格が60〜70%下落し、SK Hynix・Samsung・Micronが大幅な生産調整を実施した。

半導体装置業界はサイクルの影響を1〜2クォーター遅れて受ける。ウェーハファブ装置(WFE:Wafer Fab Equipment)市場は2021年に年間1,000億ドル超に達した後、2023年に700億ドル台まで縮小し、2024年以降は再び成長軌道に入っている。Applied Materials・Lam Research・TEL・KLAは各サイクルでの受注残(バックログ)管理と工場稼働率調整が経営の核心課題となる。

投資家・アナリストはBook-to-Bill比(受注額÷売上高)、DRAM/NANDのスポット価格、メモリメーカーの在庫日数(Days of Inventory Outstanding)をサイクルの先行指標として重視する。長期トレンドとして、AIクラウドインフラへの継続的投資がサイクルの底値を切り上げており、従来の深い谷を伴うシリコンサイクルから、よりフラットな成長サイクルへの構造変化が進んでいる。

図解

半導体サイクル(シリコンサイクル)が起きる仕組み
AIのような大きな需要の波で、周期の長さや振れ幅は変わる。

関連するデータ・ツール

データDRAM価格の推移と変動の要因計算ツールウェハ生産能力の換算ツール(8インチ換算・12インチ換算)

この用語を扱う職種

ファブ運営・インフラ生産管理(半導体工場)装置・材料メーカー技術営業(セールスエンジニア)ファブ運営・インフラ設備投資・キャパシティ計画事業・サプライチェーン半導体の需給計画(SCM)事業・サプライチェーン半導体の市場アナリスト事業・サプライチェーン中古半導体装置の営業事業・サプライチェーン半導体デバイスの営業

設備の製造メーカー

TSMC(台湾積体電路製造)台湾

世界最大の半導体ファウンドリ。3nm、5nm、7nmなど最先端プロセスノードで業界をリード。Apple、NVI…

Samsung Electronics(サムスン電子)韓国

世界最大のメモリメーカーであり、先端ロジックファウンドリでもあるIDM。DRAM・NANDフラッシュで市場をリ…

SK hynix(SKハイニックス)韓国

世界第2位のDRAMメーカー、第3位のNANDフラッシュメーカー。AI/HPC向けHBM(高帯域メモリ)で業界…

Micron Technology(マイクロン)米国

米国最大のメモリメーカー。DRAM、NANDフラッシュの両方を製造し、データセンター、自動車、産業用途に強み。

Applied Materials米国

世界最大の半導体製造装置サプライヤー。成膜、除去、改質、分析の包括的な製品ポートフォリオで、ウェーハ製造の全工…

Lam Research米国

エッチング装置の世界的リーダー。約39%の市場シェアを持ち、原子層エッチング(ALE)技術で先端3Dチップアー…

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